心筋症とは、高血圧や虚血性心疾患などの特定の原因なしに、心筋の病変の首座を有する疾患を包含する概念です。

 

国内では日本循環器学会から、「肥大型心筋症の診療に関するガイドライン(2012年改訂版)」が示されホームページから参照可能です。

 

 

診断:

明らかな原因なく心筋肥大を来たし、不均一な心肥大の分布を特徴とします。

 

特に、左室流出路狭窄を有する状態を閉塞性肥大型心筋症とよびます。心筋βミオシン重鎖遺伝子などの多数の遺伝子異常が発見されており、家族歴の聴取が重要です。

 

心筋肥大に伴う相対的心筋虚血は狭心痛を生じ、拡張能障害による左室拡張末期圧上昇は息切れなどの心不全の原因となります。

 

重症不整脈や流出路狭窄と関連して失神、眼前暗黒感などの脳虚血症状を自覚します。

 

左室コンプリアンス低下に伴いⅣ音を聴取し、流出路狭窄を有する例では駆出性収縮期雑音を認めます。

 

心電図では左室高電位、ST-T変化、巨大陰性T波、異常Q波など左室肥大の所見を認め、スクリーニング検査としての感度が高いです。

 

心筋肥大を反映してBNP、心筋トロポニンが上昇し予後予測因子になります。

 

心エコーは診断の中心的な役割を果たします。非対称性中隔肥大が有名ですが、抗壁、前壁、心尖部に肥大が局在することもあります。流出路狭窄の場合は、僧房弁の収縮期前方運動を認めます。

 

心臓MRIでは遅延造影を60~80%の症例で認め心筋の線維化を反映します。

 

心筋生検では心筋細胞の肥大と錯綜配列を認めます。

 

 

 

管理・治療:

①薬物療法ではβ遮断薬は閉塞性肥大型心筋症で特に有効です。

 

内因性交感刺激作用やα遮断作用を有さない薬物が適しています。

 

ACE阻害薬、ARBは左室流出路圧較差を有さず、かつ左室収縮期が低下した症例に適応があります。

 

高度の流出路圧較差を示す場合は血圧低下を誘発するため禁忌です。

 

抗不整脈薬のうちⅠ型抗不整脈薬(ジソピラミド、シベンゾリンコハク酸塩)は陰性変力作用により左室流出路狭窄を軽減します。

 

β遮断薬、カルシウム拮抗薬は頻脈性心房細動合併例の心拍コントロールに用います。ただし、ジギタリスは流出路狭窄を増強させるため禁忌です。

 

アミオダロンは心房細動の予防に有効であり、β遮断薬とともに心室性不整脈に対して投与されますが、突然死予防効果には限界があり、高リスク症例では植込み型除細動器(ICDを積極的に検討します。

 

 

②非薬物療法では、心筋切開術、心筋切除術、僧房弁手術は左室流出路拡大と血行動態上の障害となる僧房弁収縮期前方運動の解除目的で行います。

 

経皮的中隔心筋焼灼術は流出路狭窄の原因となる肥厚した中隔心筋を灌流する冠動脈にエタノールを注入し局所壊死を作成して狭窄を解除します。

 

適応となるのは薬物療法に抵抗性の心不全、狭心症、失神などがあり、左室内圧較差が30mmHg以上、中隔壁圧5mm以上、左室駆出率が40%以上の症例です。

 

 

 

経過・予後:

2002年に行われた国内疫学調査では、肥大型心筋症の年間死亡率は2.8%、死因は不整脈32%、心不全21%でした。

 

肥大型心筋症は心臓突然死の原因となるためリスク評価を十分に行います。

 

高リスク症例では運動やスポーツ競技を禁止します。

 

突然死リスクが低いと判断された症例ではレクリエーション程度の運動は可能です。

 

日本人に多い心尖部肥大型心筋症の予後は良好とされています。肥大型心筋症の5~10%では心筋壁厚の減少と左室拡大が進行し、拡張型心筋症と類似の病態を呈します。

 

この病態を拡張相肥大型心筋症と称し、予後不良であるため経年的な評価が必要です。

前新潟県知事、米山隆一君に告ぐ!

 

神に懺悔し、真の友を求めよ、そうすれば君は必ず蘇り、使命を果たせるであろう。

 

 

大型連休の中日は、通常通り午前7時からの診療で始まり、

 

診療受付終了は30分延長して午後7時とし、7時半過ぎには終了できました。

 

 

朝早くから新患が続いて来院されました。

 

せっかくの連休なのにお気の毒に思いました。

 

しかし、あなた方はゆっくり休み、養生できればかえって幸いです。

 

 

連休というのは、よほど工夫をしない限り、あっけなく終わってしまうもののようです。

 

私の過ごし方といえば、移動(最も多いのは老母の居る郷里の水戸へ電車かバスでの移動です)と読書と音楽(コンサート出演もしくは鑑賞など)と相場が決まっています。

 

運動については水氣道以外まったくしません。目的もなく散歩するまでの境地には到達できていないようです。

 

 

移動の間は主に読書です。

 

私は妻と二人の娘たちという3人の身内の女性に恵まれているので有難い限りです。

 

しかし、スマホとマイカーを持たない主義なので空き時間活用のための書物は必携品です。

 

今話題の新潟県前知事の米山隆一氏の惨状を知るにつけても、私の家族環境と生活方針は私の名誉のため一定の安全弁になってきたことは間違いなさそうです。

 

必需品の書物といえば図書館に出向いて借りるのではなく、もっぱら書店で購入します。

 

最近では、土曜日の水氣道の稽古の後、新宿の紀伊国屋に立ち寄ることが増えてきました。

 

私は書き込みをせずに精読できない性質であり、書籍は消耗品だと考えています。

 

最近では語学の本か歴史関係の本、あるいは音楽関係の本に惹かれることが多いです。

 

専門の医学書は別ルートで入手しています。読書と言えるかどうかは微妙ですが、国内新聞2紙と時間があればJapanTimesとおまけのNewYorkTimes(国際版)を読む程度。

 

週刊誌は、毎週金曜朝ミサ後に立ち寄る喫茶室<あろうむ>で読む程度です。

 

財務省の福田や新潟県の米山の両君の下世話な情報はここで仕入れました。

 

 

残念なことは、福田・米山事件の後、読書はするが、一向に何かを執筆しようという意欲が湧いてこないことです。

 

何かの執筆に取り掛かろうとすると、他のことが疎かになりそうな気がするからです。一種の虚脱状態のようです。これは連休中に解消できることでしょう。

 

 

先日都内で開催された医学会は、参加が便利なようでいて中身が薄くなりがちでした。

 

なぜなら、極力休診にせず診療の合間で参加することを試みてしまったからです。

 

それに比べて、外国での学会や、国内でも遠方の学会は充実しました。

 

なぜなら、診療に従事しなければならない拘束時間が無いからです。

 

良い意味で夢中になれる、ありがたい機会でした。

 

このように振り返ってみると診療を犠牲にして各種学会に参加することは必ずしも臨床を軽視することにはなりませんでした。

 

むしろ、診療から解放されているから、学会発表内容を普段の診療への応用をじっくりと吟味して検討する心の余裕が生まれて来たのです。

 

 

さて前掲の鬼才、米山隆一氏は東京大学大学院医学系研究科を単位取得退学し、(医学)博士号取得はハーバード大学附属マサチューセッツ総合病院を経るなど3年後のことと知りました。

 

それに対して自分自身をふり返ってみると、まさに奇跡の連続でした。

 

一人開業医として、水氣道も声楽も普段通りに稽古を続けながら、留学経験もなく、よく年限内に博士号を取得できたものだと、改めて驚いています。

 

当時は想定外の様々な困難が待ち受けていましたが、諦めずに粘り強く辛抱し一心不乱に究めようとしていると、その都度ギリギリのところで私の見方になってくれる師や友が必ず現れたものでした。

 

彼らはいわば天使であって、神の使いのようでした。それに加えて、私の周りには常に家族や仕事仲間や多くの患者さんがいたことが幸いしました。

 

今後も心不乱に集中できる、そんな時間を是非持ちたいものです。ただし、そのためには、唯一の神と人生における真の家族に恵まれていなければ、ますます難しくなるような気がします。

 

米山君も神と真の友に恵まれさえすれば、必ず復活できるのではないでしょうか。

 

人の才能とはすべからく神から与えられたものと悟るならば、自分の才能も他者の才能も神からの賜物です。各人の貴重な賜物を各人が相互に尊重するならば、今回の様な残念なスキャンダルは起こり得ないはずでした。

 

私は、稀有の能力をもつ彼と、今後彼を支える彼の真の友と、彼によって救われるべき人々のために祈りたいと思います。

 

はしかの流行が国民的脅威になっています。高円寺南診療所でも麻疹はしか)ワクチン接種の問い合わせがあり、麻疹(はしか)抗体検査麻疹ワクチン接種の対応を始めました。

 

小児科で麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)を小学校入学時までに2回定期接種しておくことが望ましいのですが、接種しないまま成人期を迎えた方も少なくありません。

 

そのため、麻疹はしか)ワクチン接種は、主として小児科医の業務ですが、時代が変わり、内科医が積極的に対応しなくてはならないケースが増えてきました。

 

高円寺南診療所の受診者の背景として、海外出張の多いビジネスマンや、国際的に活躍しているアスリートやアーティストの他に、頻繁に外国旅行を楽しむシニア層が多く、それに加えて帰国子女や外国人留学生・労働者が多いため、必要にせまられて、ちょうど今年の4月に日本旅行医学会に入会【会員番号00003799】したところでした。

 

 

ここで紹介するのは、沖縄旅行歴のある10歳代患者が、麻疹と疑われる前に受診した医療機関での事例です。

 

名古屋市内の医療機関で、医療事務に従事する職員が麻疹を発症したとの報告がありました。

 

国立感染症研究所感染症疫学センター第三室室長で小児科医の多屋馨子先生は、今一度、職員だけでなく出入りの業者やボランティアの人も含めて、麻疹ワクチン接種歴の記録を確認すべきと指摘しています。

 

高円寺南診療所でもさっそく記録書作成の準備に取り掛かります。

 

また「ゴールデンウイークを機に、輸入麻疹の流行リスクが高まることを考えるとなおさら」と強調しています。

 

「医療機関で麻疹が拡散するのは何としても防ぎたい」と繰り返し訴えてきた

 

 

多屋先生の講演の要旨

 

(国立感染症研究所のHPより)を添付します。

 

なお、重要なポイントには下線を施しました

 

2007~2008年のはしかの全国流行のことを覚えている方は多いと思います。

 

多くの大学がはしかで休校になり、社会的な問題にもなりました。

 

当時日本は、海外の国から、はしか輸出国と非難されていました。 その後対策は進んで国内の患者数は激減していますが、今年は海外の多くの国ではしかが流行しています。

 

そのため、海外で感染して帰国してから発病した人がたくさんいます

 

はしかは肺炎や脳炎を併発して、命に関わる重症の感染症です

 

発病すると効果的な治療法がありません。そのため、罹る前に予防することが最も大切です

 

はしかから身を守るには、麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)を1歳以上で2回接種します。

 

2回接種しておけば、99%以上の方が免疫を獲得します

 

どのくらいの人がワクチンを受けているのでしょう?是非自分の予防接種歴を確認してみましょう。

 

 

より詳しい説明(重複する部分もあります)

 

麻疹は麻疹ウイルス(ParamyxovirusMorbillivirus属)によって引き起こされる感染症であり、空気感染(飛沫核感染)、飛沫感染、接触感染と様々な感染経路を示し、その感染力は極めて強いです。

 

麻疹に対して免疫を持たない者が感染した場合、典型的な臨床経過としては10~12日間の潜伏期を経て発症し、カタル期(2~4日間)、発疹期(3~5日間)、回復期へと至ります。

 

ヒトの体内に入った麻疹ウイルスは、免疫を担う全身のリンパ組織を中心に増殖し、一過性に強い免疫機能抑制状態を生じるため、麻疹ウイルスそのものによるものだけでなく、合併した別の細菌やウイルス等による感染症が重症化する可能性もあります。

 

麻疹肺炎は比較的多い合併症で麻疹脳炎とともに二大死亡原因といわれています。

 

さらに罹患後平均7年の期間を経て発症する亜急性硬化性全脳炎(subacute sclerosing panencephalitis: SSPE)などの重篤な合併症もあります。

 

先進国であっても麻疹患者約1,000人に1人の割合で死亡する可能性があります。

 

わが国においても2000年前後の流行では年間約20~30人が死亡していました。

 

世界での2015年の5歳以下の小児の死亡数推計によれば、麻疹による死亡は全体の1.2%を占めています。

 

唯一の有効な予防法はワクチンの接種によって麻疹に対する免疫を獲得することであり、2回のワクチン接種により、麻疹の発症のリスクを最小限に抑えることが期待できます。

 

高円寺南診療所での麻疹対応(とくに予防接種について)

 

原則として、麻疹の予防接種は弱毒生ワクチン(乾燥弱毒生麻しんワクチン)を使用します。

目的は麻疹の予防であり、治療用薬剤ではありません。

使用上の注意点として、禁忌事項があります。

発熱、重篤な急性疾患、本剤成分によるアナフィラキシー既往歴、免疫機能異常、妊婦

とくにステロイド・免疫抑制剤使用時には併用禁忌です。麻疹用症状のおそれがあるためです。

ただし、麻疹弱毒生ワクチンは製造量が限られているため、乾燥弱毒麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)を選択せざるを得ないケースもあります。

最も良い適応は、麻疹ウイルスの抗体価および風疹ウイルスの抗体価がともに低い場合ですが、麻疹ウイルスの抗体価のみが低い場合は、乾燥弱毒生麻しんワクチンが第一選択であり、そのワクチンが入手困難の場合は、MRワクチンを用います。

 そこで、ワクチン接種に先だち、麻疹および風疹ウイルス等のウイルス抗体価検査を行うようにしています。