肝癌は、国立がん研究センターの2016年報告によると、がん部位別罹患数第6位、死亡数5位の癌腫です。
罹患数は横ばいで、死亡数は減少傾向であり、わが国のがん診療への取り組みの成果の一つとされます。
しかし、肝癌は切除しても再発し易い癌腫であることが問題です。
原発性肝癌には、肝細胞癌(肝細胞由来)、肝内胆管癌(胆管細胞由来)などがあり、わが国では肝細胞癌が肝癌の90%を占めています。
わが国の肝癌の診断、治療には肝癌診療ガイドライン2017年版(日本肝臓学会)が重要です。
診断:
①腫瘍マーカー(AFP、PIVKA-Ⅱ)
②画像診断(超音波検査、dynamicCT、Gd-EOB-DTPA造影MRI)
治療:「肝細胞癌治療アルゴリズム」
5因子(肝予備能、肝外転移、脈管侵襲、腫瘍数、腫瘍径)により設定され、肝予備能評価はChild-Pugh分類に基づいて行われます。
肝切除を考慮する場合はICG検査を含む肝障害度を用いた評価が推奨されます。
切除焼却は腫瘍径3cm以内、腫瘍数3個以下、脈管侵襲・肝転移がなく、肝予備能Child-Pugh分類A,Bを満たすことが条件ですが、腫瘍径が3cm超では、切除塞栓の適応です。
さらに腫瘍数が4個以上になると、塞栓、動注/分子標的薬、さらに脈管侵襲があれば、塞栓/切除/動注/分子標的薬、さらに肝転移があれば分子標的薬が適応になります。
これらに対して、肝予備能Child-Pugh分類Cでは、ミラノ基準内であれば移植、移植不能であれば緩和医療となります。
肝癌の外科療法の対象は、したがって、腫瘍数3個以内で、腫瘍径は問題としません。
また、放射線療法は骨転移、脳転移に対してのみ「強い推奨」です。
薬物療法は、分子標的薬ソラフェニブ(ネクサバール®)が、PS良好なChild-Pugh分類Aの症例に対し、推奨されています。
これを投与後に増悪した肝癌の二次治療として、レゴラフェニブ(スチバーガ®)が使用されます。
経過:肝切除後の再発率は年率10%以上で5年後には70~80%に達します。
治療後2~3年までは最低でも超高危険群に準じた厳密なサーベイランスを行い、その後は高危険群に準じたサーベイランスが必要です。
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