たった3日間の学会ですが、内容が濃く、膨大な情報量になってしまいました。
以下の学会報告リポートは、いわば講義ノートのようなものですが、一般の皆様にも理解し易いように書き改めています。私の分析の他、感想や思い付きは朱書きとしました。
4.褐色細胞腫・パラガングリオーマの診断と治療:現状と課題 ……………京都医療センター 成瀬 光栄
褐色細胞腫もクッシング・サブクリニカルクッシング症候群と同様に、特徴的な身体所見や副腎偶発腫瘍として発見される例が増えています。
この疾患はホルモン過剰症のみならず悪性腫瘍の側面を有し、診断・治療は「褐色細胞腫診療指針2012」に準拠します。
診断のきっかけは、1)発作性高血圧・高血圧クリーゼ、2)頭痛、動悸等の多彩な症状、3)副腎偶発腫瘍、4)治療抵抗性高血圧・糖尿病等です。
機能診断としては血中カテコラミン分画、随時尿中メタネフリン分画(外来)、24時尿中カテコラミン排泄量(入院)測定によります。
局在診断は副腎のCTやMRIが第一選択で、約90%は副腎性で主要も大きいため、診断自体は容易です。
ただし、腫瘍を認めない場合は、全体幹CT、MRI、¹²³I-MIBGシンチグラフィを組み合わせます。
コレラも高血圧や耐糖能異常等合併症が多く、手術により著明な改善が期待されます。また¹⁸F-FDG-PETは悪性例の転移巣検索に有用です。
治療は腹腔鏡下腫瘍切除が第一選択です。
5.睡眠時無呼吸症候群… ………………………………………自治医科大学 苅尾七臣
日本人でも、肥満の増加に伴い、睡眠時無呼吸症候群(OSA)が多く、原発性アルドステロン症と並んで頻度が高いです。
高血圧、不整脈、多血症、代謝異常等、さまざまな合併症がみられ、重症者に対して、経鼻的持続陽圧呼吸(nasal CPAP)の導入や体重減量により期待されます。
日常診療では、薬物治療抵抗性高血圧や二次性高血圧に隠れているOSAを見落さないことがポイントです。
OSAを疑う徴候としては、昼間の眠気、一晩3回以上の夜間覚醒と覚醒時の窒息感と動悸等があり、脈拍70/分以上の頻脈、朝・就寝時血圧差(ME差)や日間血圧変動差が収縮期血圧で15~20mmHg以上の不安定変動型早朝高血圧ではOSAを疑います。
さらに、24時間血圧モニタリング(ABPM)や夜間高血圧を呈することが特徴です。
この血圧変動は睡眠時無呼吸発作により直接的に引き起こされ、OSAで多い睡眠中発症の循環器イベントの誘因となります。OSAの診断はパルスオキシメータを補助的に使用し、確定には睡眠ポリソムノグラフィを用います。
高円寺南診療所では、高血圧の方には家庭血圧測定を推奨しています。
その際には、少なくとも、朝と就寝前の血圧と脈拍数を測定し、記録していただけるようにお伝えしています。
それによって朝の頻脈の有無や朝・就寝時血圧差(ME差)を評価することができます。
また、肥満を伴う方にも、できる限り同じタイミングで体重測定をして記録していただいております。
治療法としては、生活習慣の改善、肥満の是正、マウスピース、CPAP等があります。
ただし、2017年AHA/ACC高血圧治療ガイドラインでは、「CPAPの降圧効果は確立していない」とされています。
一晩(7時間)の睡眠中に30回以上の無呼吸(10秒以上の呼吸気流の停止)があり、そのいくつかはnon-REM期にも出現するものを睡眠時無呼吸症候群と定義します。
1時間あたりでは、無呼吸回数が5回以上(AI≧5)で睡眠時無呼吸症候群とみなされます。
睡眠1時間あたりの「無呼吸」と「低呼吸」の合計回数をAHI(Apnea Hypopnea Index)=無呼吸低呼吸指数と呼び、この指数によって重症度を分類します。
なお、低呼吸(Hypopnea)とは、換気の明らかな低下に加え、動脈血酸素飽和度(SpO2)が3~4%以上低下した状態、もしくは覚醒を伴う状態を指します。
保険診療上のCPAP導入基準において、重視されているのが、日常の傾眠、起床時の頭痛などの自覚症状が強く、日常生活に支障をきたしていることであり、その場合は、無呼吸低呼吸指数が40以上であれば対象患者になるということです。
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