最新の臨床医学:4月13日<シェーグレン症候群>

シェーグレン症候群(SS)は涙腺、唾液腺などの外分泌腺に対するリンパ球浸潤と自己抗体産生を特徴とする自己免疫疾患です。

 

わが国では2015年7月よりSSが指定難病になりました。

 

専門医には診療ガイドラインに基づいた正確な診断・重症度判定が求められます。

 

2017年に厚生労働省「自己免疫疾患に関する調査研究班」拡大SS分科会による診療ガイドラインが公開されました。

 

 

一次性SS(他の膠原病を合併しない)が60%、二次性SS(関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの膠原病を合併する)が40%を占めます。

 

したがって、何らかの膠原病を診断した際にはSSの合併を考慮してスクリーニングを行うべきである。

 

臨床症状は、腺病変(乾燥症状を主体)と、腺外病変(その他の臓器病変)に分けます。

 

 

シェーグレン症候群の口腔乾燥症に対して、コリン類似薬セビメリン(エボザック®、サリグレン®)が用いられます。

 

これは末梢性副交感神経系の刺激薬であり、唾液腺に存在するM受容体を刺激することによって、唾液分泌を促します。

 

一般に副交感神経刺激薬(コリン作用薬)とは、副交感神経を刺激したときの効果と同様の作用を発現する薬物です。

 

直接型と間接型作用薬があります。前者はムスカリン(M)受容体に直接作用するものでコリンエステル類とアルカロイド類があります。

 

 

シェーグレン症候群(SS)に対する高円寺南診療所の対応

 

①一次性SSは基本的には予後良好です。

 

②しかし、経過中は腺病変の悪化と、新たな腺外病変の出現に注意します。

 

③予後に影響する合併症として、悪性リンパ腫や、頻度は低いけれども肺高血圧症があります。

 

④高リスク群では特に慎重に経過観察をさせていただきます。

 

 

悪性リンパ腫の発生予測因子として、耳下腺腫脹、リンパ節腫脹、紫斑、ESSDAI高値、M蛋白血症、低補体血症、クリオグロブリン血症、リウマトイド因子、小唾液腺生検における胚中心様構造などが知られています。