最新の臨床医学:4月10日<季節性インフルエンザ…インフルエンザ迅速診断キットの欠点>

冬期に流行するインフルエンザは「季節性インフルエンザ」と呼ばれています。

 

これにより、わが国では毎年の流行期間中に1,000~2,000万人が医療機関を受診すると推定されています。

 

一般には、比較的予後良好な疾患ですが、高齢者や基礎疾患をもつ方では重症化することがあります。

 

季節性インフルエンザの治療については、日本感染症学会による「抗インフルエンザ薬の使用適応について(改訂版)」がわが国での治療ガイドラインと言ってもよいでしょう。

 

 

インフルエンザ迅速診断キットの正確さを検証した海外のメタアナリシスによると、検査の感度は62.3%(95%信頼区間57.9~66.6%)でした。

 

つまり、迅速診断キットでは3分の1以上も診断見落としがあるということです。

 

わが国からの報告では感度は80~90%以上とされますが、これは疑わしいです。

 

その理由は感度が低くなる条件が複数存在するからです。

 

それは、成人であること、B型インフルエンザの場合、発症6時間ないし12時間くらいまでの病初期、あるいは5日以降の病後期、高熱がない場合などです。

 

当方の説明にもかかわらず専門性と臨床経験のある医師による総合的な判断より、インフルエンザ迅速診断キットの結果を信頼する方は、初診の段階で他の医療機関を受診していただくようにお勧めしています。

 

 

季節性インフルエンザについて高円寺南診療所が説明していること

 

①健常成人では、季節性インフルエンザは通常予後良好であり、1週間程度で治癒するとされています。

 

②しかし、そもそも健康なライフスタイルを維持して、インフルエンザワクチンを接種していれば、季節性インフルエンザに罹るリスクが小さくなり、症状も軽度で済むことが多いです。

 

③また、季節性インフルエンザに罹る方は、たとえ本人が健常であると思い込んでいても、

実際には検診や人間ドック等を受けていないケースが散見され、根拠が乏しいことが多いです。その場合は、1週間では完全に治癒しない場合もあります。

 

④重症化・合併症のハイリスク者では、重症化、合併症併発により、重症化し、死に至ることもあり得ます。

 

⑤治療開始後、食事を摂ることができ、症状が改善傾向にあれば、そのまま様子をみてよいですが、その判断はできるかぎり、主治医と共に行ってください。

 

⑥治療開始後も発熱が続き、症状が悪化する場合は、必ず再受診してください。

 

⑦特に呼吸困難、意識障害、けいれんなどの症状が出現した場合は、直ちに救急車を呼んでください。

 

➇成人が季節性インフルエンザに罹患した場合の休職期間も、概ね学校保健安全法によるインフルエンザに罹患した場合の出席停止期間を参考にします。

「発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日を経過するまで」と決められていますが、事前に職場に連絡しておきましょう。

 

⑨禁忌でなければ、毎年流行期間が訪れる前に、早めにインフルエンザワクチンを接種してください。