日本日時3月24日11:00pm

(現地Dresden 日時:3月24日3:00pm)

 

 

ベルリンを早めに出発することにして、ホテルを出たところでタクシーを呼びました。

 

ドイツでは運転手が左側なので、つい実車と見間違えてしまうことがありましたが、さすがになれました。

 

ベルリンのタクシーの運転手さんは、概ね英語が話せますが、うっかり、英語で話し始めてしまうと、Englisch nein, nur Deutsch (英語はダメ、ドイツ語だけ!) 少しでも英語が混じろうものなら、激しくかぶりを振って拒否する人や、日本人と見て、はじめから英語で話しかけて来る運転手さんなど、まちまちです。

 

ある程度、ドイツ語が解らないと一人旅はお勧めできません。

 

 

もっとも語学ができるかどうかより、地頭が良い人は、あの手この手の道具を駆使して用を足しているようですが、残念ながら私はそこまで器用ではないので、語学を磨くしかなさそうです。

 

ドイツ心身医学会が無事終了した翌日のこの日は、国籍を間違えられることの連続でした。

 

 

最初のエピソード

 

その日のタクシーの運転手さんに、行き先を伝えたら、いきなりAus Türkei?(トルコから来たの?)と尋ねられました。

 

トルコ人に対する偏見はありませんが、少し動揺して、Nein!Nein! Ich bin nicht Türke. Ich bin Japaner aus Tokyo.(いえ、いえ、トルコ人ではありません。東京から来た日本人です。)と答えました。

 

少し癪に障るので、Nun kennst du Tokyo? (ところであんた、東京を知ってるの?)と聞き返すと、Natürlich!(もちろんさ!)と答えました。

 

すると運転手席に備え付けの携帯電話のコールがあり、幼い女の子の声が聞こえてきて(パパ、ワタシ今朝ご飯なの、パパと一緒に食べたいの。)するとその運転手さんは、(パパはお前たちといつも話がしたいから、タクシーの運転手になったんだよ。いつでも話ができるということは、いつも一緒にいることなんだよ。)と答えていました。

 

この運転手さん自身がトルコ系の移民のようでした。

 

さっきの問いかけは悪気はなかったのだと思います。

 

私も二人の娘をもつ父親ですが、この運転手さんのような優しい言葉を自分の娘たちにかけた経験がなかったので、身につまされるような、切ない想いと罪悪感にかられました。

 

(自分は、ベルリン市内で移民の多い地区に住んでいる。環境は良くないけれど、家賃が安い。それでも自分は幸せだと感じている。何たって、自分には家族という宝があるから。家族に勝る宝はないからね。)

 

このような、彼の会話の中に、私たち日本の父親が忘れがちな大切なこと、家族の絆の大切さを教えてもらったような気がしました。

 

 

そういえば、ベルリンでは忙しいのでよくタクシーを利用しますが、トルコ系の運転手さんに当たることが多いような気がします。

 

そして、おいしいケバブの店の話をしてくれたりもします。

 

しかし、トルコ出身の方にトルコ人に見えた、と真顔で言われると、なおさら不思議な気がします。

 

そこで、<トルコ人も日本人も、アジア人でしたね。>と言って互いに納得したような、しないような・・・。ただし、ドイツでドイツ語を話すアジア人は、ドイツ国内で職を漁ろうとしている移民ではないか、という目で見られがちな気がします。

 

 

ドイツ人同士のドイツ語は、学会などでは機関銃のように早いです。

 

一般人であっても、ドイツ語で、こちらが少しでも動揺したり、言葉に詰まって返答がスムーズでなかったりすると、英語ができるドイツ人の場合、これまた早口の英語で話しかけてきたりします。

 

私は英語であれば、相手が早口であろうがなかろうが、動揺しません。

 

逆にわざと倍速で返答することもあるくらいです。

 

英語ができないドイツ人に限って、聞き取りにくいドイツ語を話す傾向があります。

 

英語が通じないドイツ人は、表情がこわばっていて愛想が悪い傾向なので、神経質な人、気が弱い人の単独旅行はトラブルの元になるので要注意です。

 

最近では、ドイツ語の訛も少しは判るようになってきました。

 

言葉は悪いですが、たいていは地方出身で低学歴のドイツ人です。

 

自信が無い人は国籍を問わず、外国人に対して余裕が無いので、相手に優しく親切に接することが難しくなりがちです。

 

 

私は、こうした人を相手にしなければならないときには、声を一オクターブ下げて、相手の目をにらみつけて、腹から少々ドスをきかせた声にして、わざとゆっくり、くっきり話して意思疎通を図ることにしています。

 

こちらが動揺すると、相手を余計にイラつかせかねないからです。むしろ、こうした発声法の方が自然にこなれているように聞こえることがあるようです。

 

やはり、いろいろな相手に優しく丁寧に接することができるようになるためには、基礎的教養と複数言語の知識と忍耐力とが必要になってくるように思われます。

 

私は、まだまだだと実感して反省を繰り返しつつ、工夫を重ねながら精進しているつもりです。

 

 

 

第二のエピソード

 

ベルリン中央駅でタクシーを降りるとすぐに、身なりの良い顔立ちも整った長身の男性が私に話しかけてきました。彼はホームレスだという。お金が欲しいという。

 

釈然としません。マフラーなども高級そうで、しっかりと身だしなみができていて、一片の汚れも、疲労感も、特有の臭気も伴っていない。むしろ、高級なアロマを漂わせている。こんな物乞いは初めてです。

 

そこで私は、<貴方はホームレスには見えないが、屋内で過ごすことが嫌になったのか、それとも元来、屋外で過ごすことが好きなのか>と尋ねたところ、<ホームレスなので>と答える有様。

 

 

先を急いでいたので、2ユーロ硬貨を手渡したら、<裕福で親切なアメリカの方ありがとう>、という言葉が返ってきた。

 

日本人以上にアメリカの旅行客は気前が良いのだろうか。

 

アメリカ人といえば合衆国というくらいで、人種のるつぼだから、私の様な日系アメリカ人で、しかもドイツ語を話すような人種がいても不思議ではありません。

 

重いトランクを引きずり、パソコンの入ったバッグを肩にかけ、タクシーで駅に駆け付けるのは、旅行客などではなく、ビジネスマンの姿にみえるのも不思議ではない、そんなことをあれこれ思いめぐらせながら駅構内に向かうエスカレーターに乗りました。

 

 

 

第三のエピソード

 

ベルリン中央駅を予定より2時間早く出て、はじめてのドレスデン中央駅に着くと、駅前にフィットネスクラブがあり、そこに室内プールがあることを発見しました。

 

ドレスデンでの水氣道紹介の会場にはもってこいの立地と環境でした。

 

ドレスデン中央駅から、エルベ河畔に向かって旧市街の石畳の上をトランクを引きずっていると、とてもきれいな、澄んだ声の合唱が聞こえてきました。しばらく立ち止まって聞き込んでいると、教会の布教活動に付随するキリスト教信者の声でした。

 

若者が中心で、子供たちも混じっていました。

 

幼い女の子が、道行く観光客などに福音書の抜粋や教会コンサートイベントなどが書かれていそうな小冊子を配布していました。

 

女の子は私を見るなり少し困惑気味でしたが、年長の隊員が私に小冊子を手渡してくれました、それは中国語版でした。

 

Nein Danke! Ich bin Japaner aus Tokyo, leider nicht Chinesisch! (折角ですが、私は東京から来た日本人で、あいにく中国人ではありません)と答えました。

 

私自身も旅先で、日中韓の区別がつかないことが多いので無理ならぬことだとはおもいますが、中国語はあっても日本語のパンフレットが準備されていないのは、少し寂しい気がしました。

 

 

ホテルに向かう途中で、市内観光バスを見つけました。

約2時間ほどをかけて市内の要所を巡り、乗り降り自由の一日チケットです。早目にチェックアウトしてきたので、チェックインまでの時間をどう過ごすかですが、丁度良いものを見つけました。

私はこれに乗って、市内を巡りました。旧市内から、ほどなくエルベ河の橋をわたって新市内の中を巡り、再びエルベ河の別の橋をわたって旧市街地に戻ってきたところの最初の停留所で降車しました。

そこからだとホテルがほど近いところにあります。

 

Hyperionというホテルは、私のドイツ語顧問のHansがお勧めのホテルです。

 

このドレスデンのホテルは、ドイツのこれまでのホテルの中で一番気に入りました。

受付の対応も良く、外観が現代的であるのに対して、回廊のような廊下は伝統的なお屋敷脳ようでもあり、また地下にはスパがあり、そこは宮殿の地下室をおもわせるつくりでした。ドイツの建築物の多くは、外観を伝統的なデザインにして、内部を現代的にしているのですが、それとは真逆の趣向であることに興味を覚えました。

もっとも、インターネット接続は問題なく、すぐに、こんかいの学会出席での成果の結果報告書の作成をはじめることができました。

 

 

三位一体大聖堂、ゼンパーオーパー(ザクセン国立歌劇場)、ジデンツ宮殿などのエルベ河沿いの歴史的風致地区の中にあるホテルにいるにもかかわらず、そうした世界に身を委ねているだけで、たとえようもない安らぎを感じました。

 

この3日間の学会活動は、心身共に多大なエネルギーを消費したはずなのですが、満足感、充実感に満たされているためか、実感できませんでした。

 

学会出席後のまとめの作業に没頭していると、隣接の古い大聖堂の鐘が鳴り渡り、そろそろ一息入れなさい、と赦しと恵みの響きが私の魂に響いてきました。

 

 

そういえば、このホテルの地下にはスパがあるので、さっそく地下のスパに降りていきました。

 

スパとはいっても、プールがあるわけではないので、残念ながら水氣道はできません。

 

簡単なエクササイズマシーン、サウナなどがあり、最も心惹かれたのは、休憩室です。

 

全体が薄暗く、相手の顔は良く見えません。せいぜい体型や性別ぐらいしかわかりません。

しかも、特に大柄でよく肥えた女性は、男性と区別がつかないくらいです。

 

ヒーリングミュージックが静かにゆっくりとしたテンポで流れ、休息用ベッドは絶妙な構造をしていて、丁度私の体型(身長170㎝+α)にうまく合っていたように感じました。

 

休息用ベッド間の感覚も十分あって、間に水分補給用のコップを置け台が一つあり、隣を気にしないで休めるのは良いことです。

 

 

 

第四のエピソード

 

私は一番奥で、中世の城壁の中の監獄のような荒々しい壁肌に囲まれ、室内はハーブの芳香に包まれていました。今回の、中欧研修は、毎日がハードスケジュールだったためか、ここでは、至福の贅沢な時間をゆっくりと過ごすことができました。

 

サウナから戻ってきたカップルのうちの若い男性が、小声でDer Mann ist schon da!Kommen hier später wieder.(あの男、まだあそこにいるよ。後でまた来ようよ。)と囁いているのが聴こえてきました。

 

彼らとの間は5メートルは離れていて、私の右側には、一つおきで他の宿泊客が休息していました。

 

そのあと、女性がその男性に向かって、(何言っているのよ。せっかくサウナで温まって、体もほぐれてこれからだというのに、あなたも愚図ね、意気地なし)などと言っていました。

 

男性が(普段から緩んでいるんだから、十分だよ)などと囁いています。

 

しかし、私も急にぐったり疲れが襲ってきていたので、そのまま聞き流していました。

 

すると、彼氏とのやりとりでいささかヒステリックになったその女性が、スタスタと歩み寄ってきて、私の足元に立ちはだかりました。180㎝はあろうかという体格の影が襲ってくるとちょっぴりホラーです。

 

そこでドスの効いたアルトの声で、(気の利かない野暮な男ね。いつもアンタ、そうして私たちの邪魔をするんだから。少しは気を使いなさいよ・・・)当然、すべてドイツ語で、ささやき声よりは少し大き目の声でしたが、聞き流して反応しませんでした。

 

すると、諦めたのか、人違いに気づいたのかは判りませんが、あきらめたように男と一緒に出ていきました。

 

誤解も甚だしいですが、当然ながら私には非はないはずです。そこで私は、せっかくなので、30分ほど改めてリラックスを楽しんだ後、自室に戻りました。

 

自室に戻って、不愉快な気分が湧き上がってくるかとの懸念がありましたが、もしドイツ語が解らなかったら、相当なショックだったに違いありません。

 

何が起こったかわからないことによるショックはしばしがトラウマとなります。相当気分を害されて、それを長く引きずってしまっても不思議はありません。

 

自室のベッドを眺めながら、しみじみと振り返ってみました。私には十分すぎるくらいの大きさですが、彼女にとって、客室のダブルベットは小さすぎるのが良くわかります。

 

先ほどの顛末を思い返していると、件の大柄な女性がいじらしく感じられてくるのですから、不思議なものです。

 

体格が特別良い女性は、それなりに性生活でも苦労するのでしょう。

 

それにしても、彼らの恋路を邪魔する男とは、やはり地元のドイツ人なのでしょうか?馬に蹴られて死んでしまうのが私でなくて良かったです。クワバラクワバラ。

 

今頃、あの二人は、機嫌を取り戻していれば宜しいのですが・・・水分補給をし、学会関連のまとめの作業をしたあと、観光はせずに休むことにしました。

 

 

そのとき、近くの三位一体大聖堂の方から鐘が鳴りはじめました。

 

「そうしなさい。今日は休みなさい。そして次はゆっくりいらっしゃい。」

 

との慰めの声のように感じました。神の声に従うことにしました。

 

 

<本日のまとめ>

 

第一のエピソード:トルコ系移民ではないかとみられる(トルコ系タクシー運転手)

 

第二のエピソード:アメリカのエグゼプティブ・ビジネスマンとみられる

(ドイツ人?ホームレス)

 

第三のエピソード:中国人旅行客だと思われる(ドレスデンのドイツ人クリスチャン)

 

第四のエピソード:地元のドイツ人?だと思い込まれる。(地元ドイツ人女性?)

 

 

たった24時間のうちに、いろいろ不思議な経験をしました。

 

私はこれからも懲りずにチャレンジします。

 

毎年3月の研修旅行は、私自身の人格、判断、行動、反省などの総合的な訓練になっていることを実感します。来年に、国際クリニックを立ち上げる上で、慣れている英語圏以外の言語圏で単独行動をすることは、貴重な情報収集の機会になっています。

 

ただし、一般的な日本女性の一人旅は決してお勧めできません!なるべく団体か、せめて二人以上で行動するのが安全だと思います。

日本日時3月24日11:00pm

(現地Dresden 日時:3月24日3:00pm)

 

ドレスデンのホテルは、ドイツのこれまでのホテルの中で一番気に入りました。

立地も良いです。しかし、ドレスデン滞在中のことは第11回に回すことにします。

 

昨日は、肝心の私の発表本番の日でした。今、改めて振り返ると発表は大成功でした。その結果、とても素晴らしい人々との出会いと今後に繋がる信頼関係を構築することもできました。

 

 

さて、昨日の私の行動をふり返ってみます。

ベルリン時間で5:00amには目を覚まし、シャワーを浴び、仕事を始めました

7:00amまでにホテルでの朝食を済ませ、明日の出立の準備もしました。

 

ドイツ心身医学会出席は3回目になるので、自分の発表のセッションの直前まで、他のセッションに参加できる余裕がでてきたのは、明らかな進歩の一つだと自負しています。

 

 

ドイツ心身医学会(3日目)参加

 

 

最初のセッション

展望としての心身症:全体会議、フンボルト大ホールにて 医学における心身症その成果または展望はいかに?

 

Psychosomatik als Perspektive: Plenarveranstaltung, Humboldt

23.03.2018, 09:00 – 10:30

Psychosomatik in der Medizin - Konsequenz oder Perspektive?

Vorsitzendede Zwaan, Hannover

 

Mit steigender Lebenserwartung in den westlichen Industrienationen nimmt auch der Anteil chronischer Erkrankungen stetig zu. Damit spielt die Heilung von Erkrankungen in der Breitenversorgung eine zunehmend geringere Rolle, während die Begleitung der Erkrankten an Bedeutung gewinnt.

 

欧米の先進国で平均余命が延長するにつれて、慢性疾患の割合も着実に増加しています。 それに伴い、一般人のケアに占める疾病治療の役割は益々減少していく一歩で、患者との協働はその重要性を増しています。

 

 

Kann die Medizin mit ihren bisherigen Strukturen den veränderten Anforderungen entsprechen oder ist die enorme Nachfrage nach Psychotherapie als  Epiphänomen  einer Überforderung der somatischen Fächer zu verstehen?

 

Liegt hierin Hoffnung für eine Wendung zurück zu einer beziehungsorientierten Medizin?  

 

Die Plenarveranstaltung wird auf die Bedeutung des Krankheitsmodells und die Beziehung für das Handeln in der Medizin eingehen.

 

医学は既存の構造のままで、こうした諸状況に対応することができるのでしょうか、あるいは、身体を扱う各専門領域に付随的に発生する諸症状に対する心理療法を理解できるのでしょうか。

 

こうした中にあって、希望は関係性志向の医学への再転換に向けての希望が背景をなしているのでしょうか。 本会議では、疾患モデルの意義と医学における行動の関係について議論する予定です。

 

 

Präsentation

1)Verkörperung - Ein neues biopsychosoziales / Modell T. Fuchs, Heidelberg

身体化-新しい生物・精神・社会性

 

2)Psychosomatik als Perspektive /P. Henningsen, München

展望としての心身医学

 

いずれの口演の内容も総論的な話であり、心身医学の専門医にとっては常識的な内容でしたが、ドイツ語のシンポジウムに参加する上では、恰好の耳馴らしでありました。

 

 

次のシンポジウムは診療について。アインシュタイン・ホールにて

患者が健康になるに何を変える必要がるか?

精神療法の成功を収めるための人格とプロセスの重要性について

 

Klinik: Symposium, Einstein

23.03.2018, 11:00 – 12:30

 

Was muss sich verändern, damit Patienten gesund werden?

Zur Bedeutung von Persönlichkeit und Prozessfaktoren für den Erfolg von Psychotherapie

Vorsitzende

Dinger, Heidelberg

 

Ausgehend von dem Befund, dass lege artis durchgeführte Psychotherapie wirksam ist, widmen sich die Beiträge des Panels der Frage, unter welchen Bedingungen Patienten besonders gut von Psychotherapie profitieren können. Welche therapeutischen Prozesse unterstützen die Genesung?

 

Sind die hilfreichen Prozesse abhängig vom jeweiligen therapeutischen Verfahren, oder den persönlichen Ausgangsbedingungen der Patienten?

 

パネルの貢献は、患者が心理療法から特に恩恵を受けることができる条件についての問題に取り組んでいます。どの治療プロセスが回復をサポートしていますか? 有用なプロセスは、特定の治療法や患者の個人的な開始条件に依存していますか?

 

Der erste Beitrag untersucht die Tiefe der emotionalen Verarbeitung.

Dazu wurden Aufzeichnungen von Sitzungen mit depressiven Patienten,

die im Rahmen einer kontrollierten ambulanten Therapiestudie mit einem der drei Verfahren der deutschen Therapierichtlinien behandelt wurden ausgewertet.

 

Der beobachtete Zusammenhang zwischen emotionaler Verarbeitung und Symptomreduktion stützt die Hypothese, dass eine hinreichende Tiefe der emotionalen Verarbeitung eine notwendige Voraussetzung für eine symptomatische Besserung darstellt.

 

 

最初の演題では、感情処理の深さの研究です。 これらはうつ病患者のセッションでされ、 これらは、ドイツの治療ガイドラインの3つの方法のうちの1つを使用して、コントロールされた外来療法研究の一部として治療された。 観察された感情的な処理と症状軽減との関連は、感情処理が十分に深いことが症状軽減に必要な前提条件であるという仮説を支持するものでした。

 

Der zweite Beitrag fokussiert den Zusammenhang von Bindungsstilen, dem Gruppenprozess und dem symptomatischen Therapieerfolg in einer großen Stichprobe von Patienten in Intensiven Rehabilitativen Nachsorgegruppen (IRENA).

 

Wie erwartet sagen die Bindungsmerkmale der Patienten das gruppentherapeutische Erleben vorher, und sind darüber hinaus prädiktiv für die symptomatische Belastung.

 

2番目の演題では、愛着様式が、集団過程や対症療法の成果との関連性をもつか、リハビリテーション・アフターケア・グループ(IRENA)の大規模な症例サンプルに焦点を当てます。我々が予想していた通り、患者の愛着特性は集団治療の経験を予測し、それによって症候的負荷を予測します。

 

Der dritte Beitrag untersucht die Bedeutung einer Selbstwertveränderung und der therapeutischen Beziehungen für den Erfolg von Psychotherapie bei depressiven Patienten in stationärer Psychotherapie. Dazu werden wöchentliche Messungen von Prozess und Symptomatik in Strukturgleichungsmodellen analysiert. Die Ergebnisse zeigen, dass sowohl die Verbesserung der Therapiebeziehungen, als auch die Entwicklung eines positiveren Selbstbildes der erfolgreichen Symptomreduktion vorausgehen.

 

第3の口演では、入院患者心理療法におけるうつ病患者の心理療法の成功のための自己価値の変化と治療的関係の重要性について検討します。この目的のために、プロセスおよび症状についての毎週の測定値を構造式モデルで分析します。結果としては、治療関係の改善と、より積極的な自己イメージの発現の両方が、症状の鎮静の効果発現より先行することを示します。

 

Der vierte Beitrag ist ein systematisches Review mit Metaanalyse zum Zusammenhang von selbstkritischem Perfektionismus und Psychotherapieerfolg. Hierzu erfolgte eine umfassende, systematische Literaturrecherche entsprechend des PRISMA Statements. In die Analyse wurden Originalstudien mit quantitativer Erfassung des Zusammenhangs von Selbstkritik und Therapieerfolg eingeschlossen. Zusätzlich wurden mögliche Einflussfaktoren (Moderatoren) des Zusammenhangs von selbstkritischem Perfektionismus und Therapieerfolg geprüft.

 

第4の口演は、自己批判的な完璧主義と精神療法の成功との関連性に関するメタ分析を用いた体系的なレビューです。このために、包括的で体系的な文献検索がPRISMAの声明に関連して行われました。この研究には、自己批判と治療成功との関係を定量化した独自の研究が含まれています。さらに、自己批判的完結主義と治療成功とが関連する可能性のある影響要因(モデレータ)について検討しました。

Zusammengenommen repräsentieren die Beiträge die methodische Breite des aktuellen „State of the Art“ der Psychotherapie-Prozessforschung.

 

以上を総括すると、今回の口演発表は、心理療法プロセス研究の現在の「最新技術」の方法論的な広がりを示すものです。

 

Präsentation

1)Emotionale Verarbeitung und Ergebnisse in Langzeitpsychotherapien – eine Prozess-Outcome Studie I. Grimm, Berlin

長期精神療法における情緒的治療とその成果 - プロセスアウトカム研究

/ I. Grimm、Berlin

 

2) Einfluss von Bindungsmerkmalen auf das Erleben von Gruppensitzungen im Rahmen der Intensiven Rehabilitativen Nachsorge/ (IRENA) R. Weber, Köln

集中リハビリテーション・アフターケア(IRENA)でのグループセッションの経験に対する愛着特性の影響/R.ウェーバー、ケルン

 

3)Veränderungsmechanismen in der Psychotherapie der Depression: Welche Rolle spielen das Selbsterleben und die therapeutischen Beziehungen?

/ U. Dinger, Heidelberg

うつ病の心理療法における変化のメカニズム:自己生存と治療的関係はどのような役割を果たすのか?/ U.ディンガー、ハイデルベルク

 

4) Selbstkritik und Psychotherapieoutcomes – ein systematisches Review mit Metaanalyse /C.A. Löw, Heidelberg

 

 

3番目のシンポジウムは政策と考え方。パスツール・小ホールにて

心身医学の基礎文書資料は総ての医療機関でまかなえるか。

 

Politik & Konzepte: Symposium, Pasteur

23.03.2018, 13:30 – 15:00

Psychosomatische Basisdokumentation für alle?

Vorsitzende

Croy, Dresden

 

Psychische Basisdokumentation ermöglicht die einheitliche Erfassung von Patientencharakteristika, die Dokumentation des Behandlungserfolges und die Identifikation von Schwachstellen in der Behandlung. Nicht zuletzt kann die Basisdokumentation auch im Entlassmanagement sicherstellen, dass der Bedarf einer Anschlussbehandlung frühzeitig identifiziert wird. Damit leistet eine solche Dokumentation einen wichtigen Beitrag zur Qualitätssicherung und ist aus therapeutischer und gesundheitsökonomischer Sicht zentral.

 

精神面での基礎文書資料は、患者の特性の統一的な記録、治療の成功の記録、治療における弱点を特定することができます。基礎文書資料は、退院管理において、外来フォローアップ治療の必要性を早期に確認できることを保証するものです。従って、このような文書化は治療の質的保証および健康経済の観点から重要となる貢献の中核となります。

 

Die konkrete Umsetzung birgt jedoch einige Herausforderungen, wie Art und Zeitpunkt der Erfassung, Operationalisierung der Konstrukte und technische Implementierungsmöglichkeiten. 25 Jahre nach Einführung der Psybado ist es daher Zeit, die Erfassung einer gründlichen Überprüfung zu unterziehen.

 

しかし、具体的な転換には、様式と登録のタイミング、設計の操作化および技術面での実施可能性など、いくつかの課題があります。 Psybadoの立ち上げから25年が経過した今こそ、登録することを徹底的に再検討する時です。

 

In diesem Symposium werden verschiedene Ansätze moderner psychologischer Basisdokumentation vorgestellt und diskutiert - mit dem Ziel, einheitliche und praktikable Erfassungsmöglichkeiten für den klinischen Alltag zu erhalten.

 

このシンポジウムでは、臨床上の日常的状況を保存するための統一的かつ実用的な方法を得ることを目指して、現代の心理学的な基本文書資料に対する様々なアプローチを提示し、議論する予定です。

 

 

Präsentation

1)20 Jahre Daten auf Daumendruck : 250.000 Fälle und die Folgen – Bado in Bayern and beyond/ T.H. Loew, Regensburg

   Daumendruckシステムでの20年間のデータ:250.000件の症例とその結果-バイエルン州におけるBadoシステムとそれを超えて

 

2) Koordinierte Erhebung von psychosomatischen Basisdaten - Eine Initiative der deutschen Universitätskliniken / S. Doering, Wien, Österreich

  心身医学的基礎データの調整の進展-ドイツの大学病院でのイニシアチブ

 

3) Das Gesundheitsinventar-Psychosomatik (GI-PSY)/M. Rose, Berlin

  健康目録-心身医学(GI-PSY)

 

今期大会長のRose先生の発表です。次のセッションで、このホールで発表する予定の日本代表のドクターがこのセッションに参加されているので、皆さんも、お時間に余裕のある方はご参加ください、とまでアナウンスしてくださったのには感謝です。ただし、先生のドイツ語でのレクチャーをどの程度深くまで理解できたのかは、少し自信がありませんでしたが、彼のスライドは簡潔で、要点はつかめたように思いました。実は、その理解の度合いが、次のセッションで明らかになったのでした。

 

 

4番目のシンポジウムも政策と考え方、同じくパスツール小ホールにて。

 

JSIPM / DKPMサテライトシンポジウム:心療内科学の展望 - ドイツ心身医学会(DKPM)と日本心療内科学会(JSIPM)による東西討論会

 

いよいよ最後のクライマックス、私たちの発表の順番です。

 

Politik & Konzepte: Symposium, Pasteur

23.03.2018, 15:30 – 17:00

JSIPM/DKPM Satelliten-Symposium: Perspectives of Internal Psychosomatc Medicine - Eastern-Western Discussion Group of the German College of Psychosomatic Medicine (DKPM) and the Japanese Society of Internal Psychosomatic Medicine (JSIPM)

Vorsitzende

H.C. Deter, Berlin

Rose, Berlin

 

In this Eastern - Western symposium we want to discuss conditions and possibilities of psychosomatic medicine within the speciality internal medicine as one example for many other specialities. Which should be there the focus in clinical activities. What kind of research is necessary in internal medicine and which kind of activities could be helpful to integrate psychosomatic methods and treatment in internal health care and medical clinics.

 

The final point should be a discussion, what organisational and practical activities are necessary to increase the quality and effectiveness of internal psychosomatic medicine and how we can cooperate with many other colleagues interested in psychotherapy and medical psychology.

 

Murakami as former chairman of the 2011 meeting of Japanese Society of Psychosomatic Internal Medicine (JSPIM), chairman of International Exchange Comittee of JSPIM, Tokyo, M. Rose as chair of a medical clinic with focus on psychosomatics in Berlin, H.C. Deter as em. chair of a clinic of general medicine, natural therapy and psychosomatics, Berlin, and Dr. Hashizume, chair of the asthma outpatient clinic, Osaka, and S.Zipfel will present the experiences, which he has made as DKPM president and professor in the psychosomaic clinic in Tuebingen and the medical clinic Heidelberg.

 

After short presentations (5`) an intense discussion will follow with the audience.

 

永らくドイツ心身医学会の理事長であったDeter教授をはじめ、今期大会の会長のRose教授、病院見学等でお世話になったSmolka博士をはじめドイツ側の参加者は二十名近くが集まり、この3年間で最も盛況を誇りました。水氣道参加者スケールには馴染んでいるので、アットホームで熱い展開をしやすい規模です。ドイツの心身医学会総会は同時進行で8つ以上のセッションが行われているため、この人数が集まるということは、とても有難いことです。昨日のプラセボ研究のセッションは、共同座長の2人の先生以外には、私を含めて3人の参加者でした。しかし、これらの発表内容は事前のサマリーだけでなく、DVDとして収録されるので、後で聞くこともできます。ただし、当然ながら現場での質疑応答や討論には参加できないのは残念です。

 

私は、学会開催中は、自ら抜け出して市内観光などをしない方針にして、予めどこかのセッションに参加しています。その甲斐あって、よく声を掛けられます。毎年出席しているので顔を覚えてくださっている先生方も増えてきました。そしてあなたの発表を聴くのを楽しみにしていた、とまで言ってくれる友人が増え、少なくとも参加者の過半数は、私の知人でした。勉強や研究のためには、単に受け身で聴いていればよいというのではなく、地道に情報交換をし、継続的に連絡を取り合うことによって、新しい気づきや見方を経験することが大切であると思いました。

 

 

Präsentation

1)Assessment of biological, psychological and adherence factors in the prediction of step-down treatment for patients with well-controlled asthma

Saito, Hirosaki, Japan

治療コントロール良好な喘息患者の治療ステップ・ダウン(投与薬物量の減量)の予測における生物学的、心理学的およびアドヒアランス因子の評価

初めての発表ということもあり、特別に時間延長が許されたようです。

 

2)Internistische Psychosomatische Medizin - hat sich in den letzten Jahrzehnten

etwas geändert? H.C. Deter, Berlin

心療内科学-最近10年間で変化したか

Deter教授は、精神科医が担っていた領域のほとんどを心療内科医が担っているという現状について自説を展開されていました。

 

日本の上智大学にも留学経験があるという心理学の教授が私の隣に座っていて、

 

かなりご不満の様であり、口演のあと積極的にコメントをしていました。

 

3)Future tasks of internal psychosomatic medicine

Hashizume, Osaka, Japan

心療内科の将来の課題

橋爪博士は、国際交流委員会の副委員長を務めていますが、彼は

森田療法という日本発祥の心身医学療法について紹介されました。

 

4)Challenges for Psychosomatic Medicine in Germany

Rose, Berlin

ドイツにおける心身医学の挑戦

 

Rose先生は、今期学会の大会長ですが、愛嬌のあるダンディーな方で、皆から愛されているのがわかります。公式の会議でもRoseではなくMathiusとよばれているのでマチアスとはいかなる人物なのか、最初は判らなかったくらいです。

 

タイトルは違っていますが、実は、彼が先ほど、ドイツ語でレクチャーしていたことを、今度は英語で発表していることに気づきました。スライドも共通でした。やはり、英語だとよくわかります。逆に言えば、私のドイツ語能力はそれだけ低レベルということにもなります。ただし、これは良い経験であり、私はドイツ語でのマチアスのレクチャーを7割程度は理解できていたことがわかりました。英語版で、やっと理解が2割増しで9割、しかし、1割程度はどうしても理解できないところがありました。これは国内の日本語での発表でもしばしば経験するので仕方がないことかもしれません。ただし、日本語であれば、疑問点はすぐに質問して解決できますが、ドイツ語ではまだどうにもならないことがあります。そういう時は、ドイツ語のセッションで相手がドイツ人であっても、無理をせず英語で質問します。今回も、たいていは、聞き取り易い英語で答えてくれるので助かりました。

 

5)Management of work-related stress by a Japanese psychosomatic practitioner

I. Masahiro, Tokyo, Japan

  ⇒演題修正

Work-related stress and the new role of the practical Psychosomatic Medicine in Japan

 

M.Iijima,Tokyo, K.Ishikawa,Nagoya, M.Ashihara,Nagoya, M.Yammaoka,Tokyo

 

日本における労働関連ストレスと実践的心身医学の新たな役割

 

私のあたりから、座長のDeter教授は、時間を気にし始めたようです。発表開始までのイントロが長かったのと、それまでの発表者の時間が延び過ぎたのと、質疑応答が活発であったため仕方ないことではあります。率直なところ、日本側の国際交流委員会の準備不足とコミュニケーション不足があったことも否めません。

 

私は、早めにきちんと資料を提出しているにもかかわらず、一昨年はM.Iijima(Osaka)と印刷されていたし、委員長のM教授は私を関西医大の出身と紹介するような有様であった上に、昨年は、日独心身医学会の姉妹関係締結が、きちんとした手続きを踏まずに、私の草案をそのまま手を加えずに正式の締結文書として通してしまっていたことが判明し、さらには今回も私の氏名がM.Iijimaでなく、I.Masahiroと印字されたりとか、さすがの私も不審感を覚えました。そのような中で、日本心療内科学会の重鎮である、芦原睦、山岡昌之の両博士が共同発表者として、私の口演のための参考資料を提供してくださいました。私が発表したPPスライドは、ここに添付しておきます。今回の発表の反応は取りわけ顕著でしたので、別の機会に改めてご報告します。

 

6)Oriental psychosomatic approach to Functional Dyspepsia - A role of Japanese traditional ‘Kampo’ medicine for psychosomatic medicine

Okumi, Osaka, Japan

機能性ディスペプシアに対する東洋の心身医学的アプローチ‐日本伝統の漢方薬の心身医学に向けての役割

 

奥見博士は、英語もドイツ語も堪能であり、世界初の全身麻酔による乳がん手術を成功させた花岡青洲を紹介したり、日本の漢方薬の幾つかが機能性消化管障害の治療薬として科学的・医学的な裏付けがあることなどを説明したり、立派に発表されました。もったいないことに、私と彼の発表時間は短縮されてしまったので、その点は残念でした。

 

質疑応答で、座長のDeter教授は、ドイツには日本の様な生薬を使う機会がほとんどないので興味深い発表であったと述べた後、フロアからの質問を求めたが反応が無かったため、私を指してDr.Okumiの意見はどうか、と尋ねられました。これには困りました。<私はDr.Iijimaであって、今の発表者がDr.Okumiです。>と一言断ったうえで、奥見博士に質問しました。<漢方薬は身体症状ばかりでなく精神症状にも同時に効果を及ぼすことを報告されました。それでは、このように心身両面で効果を期待できる生薬は、日本独自のものであると御考えでしょうか>と質問しました。奥見先生は少し答えに窮したご様子だったので、私は少しコメントを加えました。<この学会に出席するに先立ち、ビンゲンのヒルデガルトの調査のために、かの地を訪れました。彼女は12世紀のドイツで活躍した多彩な女性であり、彼女が当時用いた生薬レシピの多くは、現在われわれが日本で臨床的に用いている多くの生薬およびその組み合わせであるレシピであることが、残された記録により判明しました。私たちは、ややもすると過去の貴重な価値ある遺産を忘れがちになることを反省する必要があると思います。>

 

Deter教授は、ただいまのご発言は質問でしょうか、それともコメントでしょうか、とお尋ねになったので、<簡単な質問の後、私のコメントを付け加えさせていただきました。>と答えて、このセッションは終了、実質的にドイツ心身医学会総会は無事終了ということになりました。セッションの後、私と継続的なコンタクトをとりたいという参加者3名が私のもとに集まりました。それぞれの先生方には、メールアドレスを確認して、私の方から一両日中にメールする約束をして解散しました。

 

今年の学会は、大きな手ごたえを感じました。

皆様へお知らせです。

 

Nogucciは4月より、専門学校の通信教育を受けられることになりました。

 

「社会福祉士」の資格を取るために勉強していきます。

 

期間は1年7か月。

 

月に1回のスクーリングもあります。

 

大変ですが、工夫して時間を作り、楽しく勉強していきます。

 

 

今まで、自分から勉強しようとか、資格を取ろうとか考えもしなかったのですが…

 

自分でも勉強したい意欲がこんなに出てくるとは思ってもいませんでした。

 

 

変わったなあNogucciと感心してもらえるように精進していきます。

 

 

新年度の新たな決意としてお知らせさせていただきました。

 

応援よろしくお願いします。

日本日時3月23日11:00pm

(現地Berlin 日時:3月23日3:00pm)

 

 

Wiegkann Klinik 見学

 

9:00に学会会場前に集合して、R.Smolka博士が院長、指導医を勤める病院(Klinik für Psychogene Störungen, Psychosomatische Medizin und Psychothrapy, Wiegkann Klinik)内を案内していただきました。

 

 

このヴィークマンクリニークは心身医学および心理療法を専門として、他の多くの病院群の中の一つとして独立した建物になっています。

 

外来部門と入院部門を切り離すのではなく融合させる方向で発展しているとのことです。

 

病院内の外来待合室は日本の大病院に比べると比較的手狭な感じですが、外来の患者さんも、談話室や廊下にあるコミュニティー空間で屯している患者さんたちとも明るく挨拶を交わすことができました。

 

 

特徴的だったのは、病院の壁という壁に、デザイン画が掛けられていたことです。

 

それらの絵を描いた画家は日本人の女性で、和田淳子という方です。

 

青森の出身でベルリンと京都の綾部にオフィスをもって活動されているとのことです。

 

踊りながら描いたとされる彼女の作品は、決して最初から病院向けに掛れたのではないとのことですが、入院・外来の患者さんのみならず、病院の職員や院長のSmolka先生まで、これらの絵画に親しんでいるそうです。

 

いわゆる、実際的に絵画療法にもなっていて、作業療法室では、彼女のモチーフに沿って描かれた患者さんの作品もありました。

 

 

院長秘書の女性が、絵画の造詣が深い方で、一つ一つの作品の背景について、いろいろ示唆に富む解説をしてくれました。

 

私はこの女性とすぐに意気投合して、芸術のもつ治療効果についてSmolka先生とも共通の芸術観があることに気が付きました。

 

絵画から感じ取れるもの、その解釈と、癒しの力について、思いがけない対話ができたのは楽しいひとときでした。

 

 

今回は、これまでと違って、いろいろなものに関心が開かれてきました。

 

来年移転を考えるにあたって、新クリニックはより広い空間を、と考えています。

 

しかし、床面積が広いだけではなく、なるべく天井の高い物件を検討したいと思います。癒しの力のある絵画をリースで借りることも考えてみたいと思いました。

 

 

ドイツの医学の現状は、いまでも東西格差があるようです。ドイツの首都ベルリンが旧東ドイツ領域に位置していることの意味を感じました。

 

毎年、ドイツ心身医学会がベルリンで開催されていますが、東ドイツ側からの会員の参加のためにも良い取り組みだと思います。

 

つまり、旧西ドイツ側の病院は、心身医学が確立しているのですが、東ドイツ側の大学や病院をはじめクリニックは需要に対して不足しているとのことでした。

 

 

雪が降って少し寒い中て、Smolka先生がタクシーをよんでくださり、一同、学会会場へ戻りました。

 

到着したのは11:30頃でしたが、目当てのセッションは同一のテーマのもとに短時間の発表がいくつかあるセッションなので、昨日とは異なり聴きやすかったです。

 

 

 

ドイツ心身医学会(2日目)参加

 

「政治と考え方」というシンポジウムで、

ポスト産業社会における労働力

操作可能性に向けての経験と考え方

 

Politik & Konzepte: Symposium, Curie

22.03.2018, 11:00 – 12:30

Arbeitsfähigkeit in der post-industriellen Gesellschaft: "Selbstevidentes" Erleben, Konzepte zur Operationalisierung

VorsitzendeHillert, Prien am Chiemsee

Linden, Berlin

Präsentation

Teilhabestörungen am Arbeitsplatz in Abhängigkeit von Fähigkeitsdefiziten bei allgemeinärztlichen Patienten M. Linden, Berlin

 

Arbeitsfähigkeit als Inhalt und Ziel der stationären Psychotherapie: empirische Befunde, Therapeuten und Patientenperspektive T. Bauman, Prien am Chiemsee

 

Fähigkeitsbeeinträchtigungen nach Mini-ICF-APP bei Soldaten mit verschiedenen (posttraumatischen) psychischen Erkrankungen B. Muschalla, Berlin

 

1)Wie hängen – selbstdefinierte – Arbeitsfähigkeit, Depressivität, Burnout- und Gratifikationskrisenerleben zusammen? A. Hillert, Prien am Chiemsee

 

2)Effekte einer Psychosomatischen Betriebsambulanz auf die Arbeitsunfähigkeitszeiten der Teilnehmer – eine Analyse anhand von Sekundärdaten M. Gantner, Ulm

 

3)Effektivität von Führungskräfteschulungen zur Prävention psychischer Erkrankungen am Arbeitsplatz E. Boysen, Ulm

 

 

以上の演題の中で、最初から通しで聴くことができたのは最後の3番目の演題でした。

 

「職場での心の病気の予防に向けての指導者講習の効果について」という話は、関心があったためかわかり易かったです。

 

ただし、労働者の心の健康管理について、企業がどれだけ主体的に取り組む姿勢を持つようになるか、という課題の方がより重要な検討事項ではないかと感じました。

 

 

次のセッションまで小一時間あるため、司会者が到着するより前に着席していました。

 

このセッションは、英語でのセッションであることと、テーマが面白そうだと思いました。

 

ただし、Forschungというのはドイツ語で、研究発表のシンポジウムです。

 

タイトルは身体症状の発生と治療に対して<期待すること>の役割について、というテーマです。

 

座長は二人とも女性で、早々と着席している私に好意の眼差しをむけてくれました。

 

Forschung: Symposium, Austen

22.03.2018, 13:30 – 15:00

The Role of Expectations for Development and Treatment of Somatic Symptoms

Vorsitzende

Nestoriuc, Hamburg

Benson, Essen

 

Significant placebo as well as nocebo effects have been identified across a variety of bodily symptoms such as pain, nausea, fatigue, or gastrointestinal symptoms. 

 

Research into the mechanisms driving these effects has revealed a key role of patients’ expectations and prior experience with symptoms as well as treatments.

 

Importantly, these mechanisms might be exploited in clinical practice to optimize medical treatments in terms of fostering efficacy by way of eliciting positive expectations and in terms of increasing tolerability by reducing negative expectations about treatment side effects.

 

This symposium gathers the latest evidence regarding possible clinical applications of research into the effect of expectations on somatic symptoms.

 

Prof. Benson and colleagues show clinical effects of an optimized information on post-operative pain in a sample of patients with breast cancer. The clinical trial led by Prof.

 

Nestoriuc investigates the clinical impact of an expectation optimization intervention aimed at reducing side effects and optimizing quality of life and adherence during adjuvant endocrine treatment for breast cancer.

 

Prof. Elsenbruch presents current findings regarding the nocebo effect and underlying neural mechanisms in visceral pain model and draws conclusion regarding potential application in patients with chronic gastrointestinal disorders such as irritable bowel syndrome.

 

Finally, Dr. Weimer will present latest results of an experimental study investigating placebo analgesic effects in children, specifically comparing expectations induced by verbal suggestion versus expectations induced by social modelling in boys and girls.

 

Gender specific effects regarding the effect of observed versus verbally induced positive expectations will be discussed.

 

<プラセボ(プラシーボ)効果>は効きなれていて一般の方までが良く知っている言葉ですが、これに対して<ノセボ(ノーシーボ)効果>というのは、私にとっても初めての言葉でした。

 

有無が鎮痛効果に大きな影響を及ぼしていることを実感しています。

 

ところで、ノーシーボ効果(ノセボ効果)とは【反偽薬効果】と訳されることがあり、偽薬(プラセボ)の投与によって、望まない有害な作用が現れること、とされます。偽薬効果(プラセボ効果)とは逆に、薬物や医師に対する不安感などの心理作用によるものとされるものです。

 

Präsentation

 

1)Increasing positive treatment expectations in patients with post-operative pain:

a promising approach to improve the efficacy of pharmacological treatments?

 

Benson, Essen

 

術後の患者における治療に対する前向きな期待の増加:

 

薬物療法の効果を高めるために有望なアプローチであるのか?

 

この女医さんは、発表形式が英語なのに、準備不足でドイツ語のスライドになってしまったことを断って発表をはじめたのが印象的でした。

 

彼女の発表の後の質疑応答で、「日本人にもわかりやすい英語で、ドイツ語のスライドも簡潔で良くまとまっており素晴らしかった旨を伝えた上で、私は「<期待すること、希望を持つこと>によって薬物療法の効果を高め、副作用の発生を抑制することが可能である結果が出ましたが、そのメカニズムについて教えてください」という意味の英語で質問しました。

 

しかし、彼女はメカニズムについての答えではなく、この方法が、いかにいろいろな病気に有用であるかを熱心に説明してくれました。

 

彼女は、時間の許す限り、質疑応答でもそのことを述べたかったようです。

 

もう一つの理由は、私の質問に対しては、次の演者が口演の中で示してくれるだろうという事だったことに、後で気が付きました。

 

 

2) Expectation management to diminish cancer treatment side effects: results of the multisite randomized controlled PSY-BREAST trial /Y. Nestoriuc, Hamburg

   

がん治療の副作用を減らすための期待の管理:

多施設間でのランダム・コントリールによる精神-乳房試験の結果について

 

これは、ふんだんな画像データを供覧してくれて、エヴィデンスレベルの高い発表でした。

 

がん患者の期待や希望は、プラセボ効果によって治療効果を上げるだけでなく、ノセボ効果を抑制することによって癌の治療薬による副作用発現をも軽減する直接のメカニズムは不明でしたが、期待している癌患者さんの脳画像と不安を抱いている癌患者さんの脳画像に明らかな違いがあることは印象的でした。

 

 

3) Nocebo effects and the brain-gut axis: when gut feelings turn into visceral pain/ S. Elsenbruch, Essen

 

ノセボ効果と脳-腸相関基軸:腸管の感覚が内臓痛になるとき

 

腸の機能と脳の機能が相互に密接な影響を与えていることを腸・脳相関といいます。

 

日本では機能性腸疾患について、東北大学の臨床研究グループが積極的に取り組んでいます。

 

高円寺南診療所でも、逆流性食道炎(胃・食道逆流症)、過敏性腸症候群など多数の症例に対して、豊富な経験があるので、これからはプラセボ効果、ノセボ効果の両面を配慮することによって、お一人お一人に沿った対応を工夫することによって、自然治癒能力がより有効に発揮できるように支援させていただきたいと考えました。

 

 

4) Gender differences in social learning of placebo analgesia in children K. Weimer, Tübingen

 

プラセボ鎮痛を社会的に学習させる際の子供の性差

    

これは意外でしたが、女の子の方が男の子よりプラセボでの鎮痛効果が得られやすいということでした。

 

研究の対象は子供でしたが、成人にも当てはまるかどうかはたいへん興味がある所です。

 

最近では、私は患者さんにとってベストな薬だと判断して、説明した上で勧めても、患者さんが拒否する場合は、以前ほど熱心に説得を続けることはしないようになりました。

 

理屈では理解できても、情緒的に受け入れることができない、という患者さんの立場に寛容にならなければと考えるからです。(ただし、禁煙指導はこれとは別に考えてください。)

 

その場合は、患者さんが、私自身や私の処方薬に対して不安を抱いているのではないか、と反省してみますが、それ以外にもノセボ効果が出易いタイプがあります。

 

それは、典型的な例では医療費に対する不安です。初診で、しかも診療時間を過ぎて来院して、最初から診療費の心配ばかりして、必要な診療を自ら妨げるような方がいらっしゃいます。

 

今後はこのような方々に対しては、率直なところ、警戒レベルを上げなければならないと考えています。

 

なぜなら、ノセボ効果が発生し易いからです。これは患者さん側、医療者側の双方にとって不利益となるのではないでしょうか。

 

 

プラセボ効果やノセボ効果を最大限に活用して、患者さんの自然治癒力を最大限に引き出すことを考えていた治療家がいました。

 

12世紀のドイツの貴族の女性でヒルデガルトという名の聖人です。このセッションが終ったときに、個人的に座長を務めた二人の女医先生に、ビンゲンのヒルデガルトについて尋ねましたが、余り詳しいことはご存じなかったようですが、興味を持ってくれた様子でした。

 

 

次の研究セッションは、自殺に際してのリスク因子と介入調査:

実態調査結果明後日宿泊する予定のライプニッツ出身の二人の先生が共同座長を務めました。

 

これは、早口のドイツ語なので、聞き取るのが大変でした。最後まで気を抜くことができませんでしたが、スライド上のキーワードや図表が理解を助けてくれました。

 

Forschung: Symposium, Newton

22.03.2018, 15:30 – 17:00

Risikofaktoren und Interventionen bei Suizidalität:

Ergebnisse aktueller Forschung

Vorsitzende

Spangenberg, Leipzig

Glaesmer, Leipzig

 

Im Jahr 2015 starben in der Bundesrepublik Deutschland 10.070 Menschen durch einen Suizid (Statistisches Bundesamt [DeStatis], 2017). Die RateSuizidversuchen wird als bis zu 20-fach höher eingeschätzt als die der izide (World Health Organization, 2011).

 

Nicht zuletzt unter diagnostisch-therapeutischen Gesichtspunkten stellt sich somit die Frage, weloximalen intra- und interpersonalen Faktoren ein erhöhtes Suizidrisiko vorhersagen.

 

Psychologische Theorien spielen daher eine immer größere Rolle zur Erklärung, Vorhersage und Prävention suizidalen Verhaltens (Hawton et al., 2013).

 

Aber obwohl in jüngerer Zeit mehrere solcher Theorien entwickelt wurden, konnten in den letzten 50 Jahren keine überzeugenden Fortschritte zur Vorhersage von Suizidalität gemacht werden (Franklin, Ribeiro et al., 2016).

 

Suizidgedanken und  Suizidversuche sind – alters- und störungsübergreifend – die zentralen Risikofaktoren für vollzogene Suizide.

 

Entsprechend stellen die Untersuchung dieser Faktoren und darauf fokussierende Interventionen einen wichtigen Schritt in der Prävention von Suiziden dar. In dem geplanten Symposium werden verschiedene Studien vorgestellt, die sich die sich mit diesen Themen aus verschiedenen Perspektiven beschäftigt haben.  

 

So wird eine klinische Studie vorgestellt, die den Einfluss der Kurztherapie ASSIP (Attempted Suicide Short Intervention Program) auf die Entwicklung von Suizid spezifischen Bewältigungsstrategien analysiert (Dr. Anja Gysin-Maillart).

 

Zwei Vorträge beinhalten die empirische Prüfung von Annahmen der Interpersonalen Theorie suizidalen Verhaltens mithilfe von Ecological Momentary Assessments, einerseits der Stabilität von Acquired Capability for Suicide (Dr. Lena Spangenberg), andererseits der Prädiktion von Suizidgedanken durch Perceived Burdensomeness und Thwarted Belongingness (Nina Hallensleben).

 

Ein weiterer Beitrag beleuchtet die prädiktive Bedeutung von zwei zentralen Konstrukten (Defeat und Entrapment) des Integrativen Motivational-Volitionalen Modells für Suizidgedanken (PD Dr. Thomas Forkmann).

 

Außerdem werden Ergebnisse zur Häufigkeit von Suizidgedanken und suizidalen Verhaltensweisen bei Tiermedizinern präsentiert und mögliche Risikofaktoren diskutiert (PD Dr. Heide Glaesmer).

 

Präsentation

1)Einfluss der Kurztherapie für Patienten nach Suizidversuch ASSIP (Attempted Suicide Short Intervention Program) auf die Entwicklung spezifischer Bewältigungsstrategien. Ergebnisse der 2 Jahres-Follow-up Effektivitätsstudie / A. Gysin-Maillart, Bern, Schweiz

 

自殺企図の特異的対処法開発ASSIP(自殺短期介入プログラム)における短期療法の影響。 2年間のフォローアップ効果試験の結果

 

 

2)Stabilität und zeitliche Dynamik von Acquired Capability:

Echtzeitanalyse bei stationären Patienten mit Depression /

Spangenberg, Leipzig

 

獲得能力の安定性とタイミング:うつ病入院患者のリアルタイム解析

 

 

3)Defeat und Entrapment als Prädiktoren von suizidalen Gedanken im Rahmen des Integrativen Motivational-Volitionalen Modells Suizidalen Verhaltens /T. Forkmann, Aachen

 

自殺行動の集積的な動機づけ - 意志モデルにおける自殺思考の予測因子としての敗北感と困難感

 

 

4Depressivität und Suizidalität bei Tiermedizinern in Deutschland im Vergleich mit der deutschen Bevölkerung / H. Glaesmer, Leipzig

 

ドイツの人口との比較による獣医師におけるうつ病と自殺率

 

 

この演者のGlaesmer先生は大柄の女性で、このセッションの共同座長を務め最後にまとめてくれました。

 

それよりも、この先生は、発表の後半から少し涙ぐんでいるのに気づいて、彼女の人間的な優しさに私も強い感銘を受けました。

 

これらの結果がなぜ生じるかについての理由として、獣医師は動物が好きで動物を愛する人たちが選ぶ職業ですが、実際には<安楽死>を余儀なくされることに絶望感を覚えがちなこと、大きな動物に対して人間よりはるかに大量の薬物を投与することが多いので、投与薬物の上限に対する警戒心が弱まり易いこと、そして危険な薬物を入手し易い環境にあること、などを背景として挙げていました。

 

Eutanasie(安楽死)という言葉が増えてきた後半の口演では、言外に、<人間の安楽死は決して認めてはならない、それを医師が行ったら、獣医師以上に医師のうつ病と自殺率が高まるに違いない>と訴えたいのではないか、と感じました。

 

私は、彼女がなぜ、この研究を行ったか、ということに思いを馳せ、深い共感を覚えました。

 

 

 

ベルリン国立歌劇場

 

 

私は、本当にオペラが好きなんだと思いました。

 

今晩は、モーツアルトの「魔笛」、モーツアルトの作品にはイタリア語のものとドイツ語のものがありますが、これはドイツ語。だから、いつでもドイツ語圏のお客さんが多く、万年のロングセラー。

 

しかも、中高年層ばかりでなく、子供連れの親子や、若いカップルなど、現代の社会にしっかりと根を下ろしています。

 

そうした雰囲気に囲まれてオペラを鑑賞するのはとても気分の良い物なのであります。

 

それに引き換え、国内ではほとんどオペラには行きません。知っている歌い手が出演しているものに、ほぼ限定されます。

 

ですから、毎年の3月の下旬は、私にとって、オペラ三昧習慣でもあるのです。新装オープンしたベルリン国立歌劇場は、ウィーンでいえば国立歌劇場とフォルクスオーパーの中間ぐらいのスペースに感じられました。

 

しかし、オーケストラピットの前に繋がる踊場は、まるで宝塚歌劇が始まるかのような構造で、観衆にはたまらない魅力の一つになっているのではないかと思いました。

 

そういえば、日本語を話している若者たちが目につきます。

 

いずれにしても、マナーの良い若い人たちなので、こうした日本人の観衆ばかりだと、私の機嫌も良くなり、癒しの効果も抜群となります。

 

夜の女王を歌ったソプラノは美声でしたが、残念ながら、感腎の聞かせどころで3度、4度声が不安定になりました。

 

耳の肥えた観衆はすぐに気付いて反応していました。

 

そのソプラノ自身大変な思いで歌い切り、オペラの全体の流れに責任を果たしていたのは立派でした。

 

やはり、これは、誰が歌っても難しい役であることを誰もが承知なので、幕が下りてからの拍手には陰りはありませんでした。

 

しかし、それを考えてみると、ウィーン国立音大の夜の女王役の学生のソプラノは、安定した声を備えていました。

 

彼女はすぐにでも活躍できるのではないかと思いました。

 

 

日中の学会での疲れが出た模様で、幕が下りる直前から睡魔に襲われたため、劇場前からタクシーを拾い、ホテルに戻り、翌日の自分の発表に備えて休憩することにしました。

もう少しツボの世界を見ていきましょう。

 

 

今回は「期門(きもん)」です。

 

IMG_2433

 

場所は、みぞおちの上端から下に指2本分の高さで乳頭直下の肋骨の間にあります。

 

 

「肋間神経痛」「胆嚢炎」「しゃっくり」「胸膜炎」「月経痛」等に効果があります。

 

<参考文献>

 

 

このツボが効く 先人に学ぶ75名穴       谷田伸治 

 

 

経穴マップ イラストで学ぶ十四経穴・奇穴・耳穴・頭鍼      監修  森 和

                                      著者  王 暁明・金原正幸・中澤寛元 

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

日本日時3月22日11:00pm

(現地Berlin 日時:3月22日3:00pm)

 

 

ドイツ心身医学会会場へ

 

会場はホテルから至近距離なので便利でした。

 

狙っていたプログラムに途中から参加しました。

 

講師は背の高いカナダ人で英語でのレクチャーでしたが、とても聞き取りにくい英語でした。

 

幸いビデオ画像を駆使してくれたので、凡その話の筋はつかめました。

 

しかし、いやしくも医学の世界で大体わかった、というのは全然わからなかったときよりも有害でさえあることがあるので要注意です。

 

質疑応答も、当然ながら英語ですが、最初から出席していたドイツ人医師は、質疑のやりとりから察するところ、きちんと聞き取れていたようでした。

 

私の耳が悪いのかと心配しましたが、他の出席者も、講師の英語が耳に馴染むのに1時間かかったと言っていました。

 

そういえば、国内学会の日本語でのレクチャーでも、途中からだと全く見当がつかないことがあります。

 

やはり、勉強をするには、途中参加はムダを生む可能性がたかまります。

 

 

この後から、学会の開催中の時間の表記はプログラム記載に準じることにします。

 

Fortbildung, Darwin

21.03.2018, 12:30 – 15:30

Carus Master Class: Direct diagnosis of emotional contributors to somatic problems using Intensive Short-term Dynamic Psychotherapy

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Vorsitzende

  1. Abbass, Halifax, Kanada

In this workshop, we will review a metapsychology of unconscious operations derived by Habib Davanloo from 40 years of video based research. Using this evidence-based framework, direct interviewing is used to activate unprocessed impulses/feelings, unconscious anxiety and unconscious defenses that result in somatic and health anxiety presentations. Five mechanisms of somatization will be illustrated and the treatment techniques for each will be reviewed

 

 

この後は、学会の開会式のあいさつでしたが、ドイツの心身医学の現状を把握する上では有意義だったと思います。

 

ドイツ語でしたが、気楽に聴ける内容でした。

 

耳馴らしには好適でした。最後の話者であるS. Zipfel教授は、二年前に日本の水氣道のメンバーに対して激励のメッセージをくださった方です。

 

Psychosomatik als Perspektive: Plenarveranstaltung, Humboldt

21.03.2018, 16:00 – 17:00

Eröffnungsveranstaltung

 

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Präsentation

1)Deutsche Gesellschaft für Psychosomatische Medizin und Ärztliche

Psychotherapie J. Kruse, Gießen

2)Bundesärztekammer U.M. Clever, Freiburg/Stuttgart

3)Bundespsychotherapeutenkammer E.D. Munz, Stuttgart

4)Deutsches Kollegium für Psychosomatische Medizin S. Zipfel, Tübingen

 

 

この日の最後は、招待講演者のWilkins教授は英国人で、社会疫学と健康科学の専門家であって、臨床現場の医師ではないようでした。プログラムはドイツ語で書かれていますが、レクチャーは聞き取り易い英語でした。

 

結論を一言でいえば、『社会の不平等が少ない程、国民は健康である』ということです。

 

しかし、そもそも横断研究での相関関係の調査であるにもかかわらず、因果関係として結論付けていました。

 

これば基本的な誤りです。

 

そして、日本は社会の不平等が小さいので、健康な人の割合が多い、というコメントがありました。

 

不平等が小さいというのは、個人間の収入格差が小さいことを根拠にして論じていましたが、これも妥当ではありません。

 

労働時間や労働内容を考慮しない統計では意味がありません。非正規雇用など雇用形態や、裁量労働制などの現状についての質的な検討はなされていません。

 

 

それから、もう一つ大切な視点は、平等(equality)であることと公正性(fairness)であることは、しっかりと区別すべきだという点です。

 

長い実質労働時間のうえに社会的に重い責任を負わされ、保健医療という国家統制の中で、裁量権が制限されている日本の医師たちはこれまで忍耐し続けてきましたが、とても健康的であるとは言えません。

 

若い世代のドクターは既に価値観が変わりつつありますが、当然のことのように思います。残念ながら、お人柄の良さそうな先生は、日本で医療崩壊が始まっていることは、到底ご存じない模様で残念でした。

 

Psychosomatik als Perspektive: Plenarveranstaltung, Humboldt

21.03.2018, 17:00 – 18:00

Carus Lecture: Sind gerechtere Gesellschaften gesünder?

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Vorsitzende

  1. Zipfel, Tübingen

Die diesjährige Carus Lecture wird der britische Sozialepidemiologe und Gesundheitswissenschaftler Prof. Richard G. Wilkinson halten, der u.a. mit Prof. Kate Pickett das Buch „Gleichheit: Warum gerechtere Gesellschaften für alle besser sind“ veröffentlicht hat. Prof. Dr. Wilkinson wird in seinem Vortrag anhand von empirischen Untersuchungen argumentieren, dass eine gerechtere Verteilung auch für das Gesundheitssystem günstige Folgen haben würde und damit für den Rest des Kongresses die Frage aufwerfen, warum wir unser gesellschaftliches Zusammenleben dennoch anders organisieren.

 

Präsentation

Are more equal societies healthier? R. Wilkinson, Nottingham, Vereinigtes Königreich

 

 

ホテルでの短時間の休憩の後、我々日本代表団4名は20:00に学会会場前に集合し、ドイツ側の理事の先生方から夕食会のお招きに向かうことになりました。

 

ドイツ側からは、DKPM2018の学会大会長のM.Rose教授、H.Schüffel名誉教授、R.Smolka博士の皆様が、ドイツ連邦議会議事堂を見学させていただき、議事堂内のレストランで会食しました。

 

国会議事堂だけあって、セキュリティ管理は厳格で、丁度、空港の入国審査のように、パスポート提示と所持品、身体検査を受けて入場が許される仕組みです。

 

ドイツの先生方とはすこぶる会話が弾み、有意義な勉強ができました。

 

そして、翌朝は9:00に学会会場に集合して、ベルリン有数の病院であるWiegmann Klinik(DRK Klinik Berlin)の施設見学をさせていただきました。

 

1884年着工の旧ドイツ帝国議会議事堂が1933年に炎上、東西ドイツ統一後、8年の工期をかけて大改築を済ませた建造物です。

 

ガラス張りのドームが屋上を形成し、そこから議事堂の議員席を見下ろすことができます。

 

 

小雪や小雨交じりのベルリンの夜でしたが、ドイツにおける医学や医療の現状を深く理解する良い機会をいただきました。

 

そして、翌日は9:00に学会会場前に集合して、R.Smolka博士が院長、指導医を勤める病院(Klinik für Psychogene Störungen, Psychosomatische Medizin und Psychothrapy, Wiegkann Klinik)の案内をしていただくことになりました。

日本日時3月21日11:00pm

(現地Berlin 日時:3月21日3:00pm)

 

 

Wienで3回目の朝を迎えると、実質的にはWien研修の最終日です。

 

研修といってはいますが、いろいろな定義があることでしょう。

 

私の研修は限りなく自己研鑽に近いです。

 

それは、一個の人間が造物主から与えられた潜在能力を如何なく発揮できるように、絶えず神からのメッセージを受け止めて自己修養することです。

 

私は、先日お世話になった心理臨床家のHarald Mori先生に、彼の趣味について尋ねました。

 

趣味とは、すなわち彼の関心がある領域であり、ほとんど彼の職業に関わりがある内容でした。それは、私も同じです。

 

私も逆に尋ねられたので、こう答えました。

 

<トランペットが唯一の私の永遠の趣味です。その他は趣味で始めたことに熱中するために、完成度はともかく、ほとんどすべてが仕事に結びついてしまうからです。>

 

 

音楽とくに声楽は、私の心身の健康の維持・向上に役立っているばかりではなく、積極的に臨床応用を始めています。水氣道については言うまでもありません。

 

問題は、どれだけ世間に受け入れていただけるかです。

 

しかし、俗世間に迎合はしません。

 

受け入れていただくことを望みますが、決して受け狙いはしません。

 

 

家内の名言があります。

 

<すべからく三流の人々に無視されるくらいでなければ一流にはなれません>

 

 

そこで、私はこう答えました。

 

<それでは、超一流を目指して、二流の人々に馬鹿にされる位に励むことにしましょう>

 

 

逆に言えば、水氣道に価値を見出し、私と共に水氣道を続けている皆さんは一流の素質を持った方たちです。

 

水氣道と共に聖楽院のレッスンに喜びを見いだせた方々は、他の人々にも喜びを与えることができる才能を持っていると思います。

 

 

ホテルでの朝食

6:30am(日本時間:2:30pm) 

 

野菜は日本ほど豊富ではありません。

 

大きめの輪切りのキュウリ、カラフルなパプリカ、それにトマト。ウィーンの定宿のレストランではこの三種の野菜が主であり、私の朝食(日本時間では昼食)のメインになります。

 

 

Claudia Visca教授のレッスンNo.2

10:00am(日本時間:6:00pm)

 

ウィーン国立音楽大学のレッスン室の窓の外は、雪が舞い降りはじめました。

 

コンコーネ50番の第1曲・第2曲をそれぞれ日本語(小倉百人一首)と英訳版で歌い、Visca先生のアドヴァイスをいただきました。

 

Visca先生は永らくWien国立音楽大学の教授を勤めていますが、本来は米国の出身です。

 

英語でもドイツ語でもレッスンができる方なので、コンコーネ50番(英訳歌詞)について、どのような評価をいただけるか気になっておりました。

 

英訳版にとても関心をもってくださったので、第50曲も日本語で歌わせていただきました。

 

この曲はコンコーネ50番50曲のテクニックの総まとめというべき練習曲ですが、詞は図らずも小倉百人一首の選者である藤原定家の和歌です。

 

 

<来ぬ人を まつほの浦の 夕凪に 焼くや藻塩の 身も焦がれつつ>

 

曲の最後は、下の句の《 焼くや身も焦がれつつ、焦がれつつ 》を歌いこんだ後で、《焼くや身も焦がれつつ、焦がれつつ》で終結させていました。

 

しかし、Visca先生は《 Yakuya Mimo kogaretsustu, kogaretsutsu, kogaretsutsu 》と歌うことはできないかと仰るのでした。

 

そう歌えたらずっと音楽的になり感動が伝わる、と言うのですから大変な驚きです。

 

 

実際にそのように歌っても歌詞としての意味は通るし、自然でありました。それにしても、これはどうしたことでしょうか、Visca先生はヤマト言葉の意味はおろか、意味のまとまりである句切れや文節さえもご存じないはずなので、とても不思議でした。

 

言葉は音であり、抑揚があるのですから、自然にそれが普遍的な音楽の要素にもなっているのではないかと考えます。

 

古来、ヤマト言葉には魂が宿っていると考えられていて、それを言霊(ことだま)と呼ぶことがあります。

 

その言霊の本質は、言葉がもつ音楽性と無関係ではないのではないでしょうか。

 

 

その後に、昨日ドナウディ(イタリア語の歌曲)のレッスンの後で、シェーンブルグ宮廷歌劇場でモーツアルトの《魔笛》の稽古に触発されたこともあり、本日はモーツアルト(ドイツ語の歌曲)のレッスンをお願いしました。

 

#1.An Ghloe

 

#2.Das Veilchen

 

いずれの曲を歌うときにも、名詞、動詞、形容詞など実質的な意味をもつ重要な言葉のアクセントに配慮して明瞭に発音することと、それ以外の単語を無意味に強調しないようにすることに注意を促すように教えていただきました。

 

ところで、言語というものは、互いに最低限の信頼関係が無いとうまく伝わらないようです。

 

これは、声楽でも診療でもいえることです。

 

たとえ母国語である日本語でも例外ではありません。たとえば初診のときの患者さんは、不安な気持ちになりがちなのはわかります。

 

しかし、いかにも不信感たっぷりな表情で、胡散臭そうな目つきでこちらの様子をうかがったり、診察室を見まわしたりする方が、残念ながらときどきいらっしゃいます。

 

このようなタイプの方との対話はどうしても音楽的にはなりません。

 

誠意をもって接することによって素朴な音楽のアンサンブルにも似た信頼関係を築くことができることがあります。

 

そのため、できるだけの配慮はしますが、音楽と同じで、相手に合わせ過ぎて無理を続けると良い結果を生まないようです。

 

 

Visca先生は今年68歳。来年の3月のレッスンは今まで通り音大で、しかし、その次の年には定年を迎えるので自宅でのレッスンになるとのことです。

 

音大ではレッスン時間に制約がありますが、自宅であればゆったりとレッスンができると仰ってくださいました。

 

 

ホテルに帰還して昼食

11:30am(日本時間:7:30pm)

 

グリーンサラダとクリームスープのみの食事を摂って、少し休憩をしました。

 

自室に戻って最初の仕事は、メール確認です。これが毎日数十通届くので、一応の確認をすませるだけでも時間がかかります。

 

 

Pablo Cameselle先生のレッスンNo.3

3:30pm(日本時間:11:30pm)

 

発声練習のあとに、昨日パブロ先生に紹介していただいたスペイン語の2曲の特訓を受けました。

 

この2曲は、私のレパートリーに加えて、コンサートで歌ってみるように改めて勧めていただきました。

 

Alberto Ginastera作曲 / Cancion al arbol olvido Carlos Guastavino作曲 / Ya me voy a retirar...

 

 

ホテル帰還

5:00pm(日本時間:1:00am)

 

Wienの最後の夜は、さすがにオペラ観劇はなし。

 

明日のBerlin出発に向けて調整に充てます。

 

仮眠を取ってから、朝まで毎日の自己研鑽を続けます。

 

声楽のレッスンや、オペラ観劇の他に、ホテルでは、ドイツ語番組を流しっぱなしにしていいます。

 

そのめか、少しずつ耳が慣れてきたのを感じます。

 

ベルリンでの医学界での第一公用語は、当然ドイツ語で、第二公用語は英語です。

 

帰国後に悪影響を残さないためにも、絶えず日本時間を意識しながら、しかも、ドイツでの日中の研修を充実させるため、ある程度の準備はできたように思います。

日本日時3月20日11:00pm

(現地Wien 日時:3月20日3:00pm)

 

 

ようやく欧州時間での生活リズムでの体調・気分が整ってきました。

 

感性も理性もようやく欧州モードに切り替えることができました。

 

ホテルの部屋での放送スクリーンではドイツ語放送を流しっぱなしにしながら、学会参加のための資料をまとめています。

 

 

今回は、本来の自分の発表に加えて、他の3人のドクターの最近の活動状況もドイツ側に報告するので、特に慎重を期しています。

 

この調整のためのプロセスを生産的かつ芸術的な方法で行う、それが確立できたように思います

 

 

Claudia Visca教授のレッスン

 

9:45am ウィーン国立音楽大学にて

(日本時間:5:45pm)

 

Visca先生は、朝早くからのレッスンなので大丈夫か、と心配してくださいますが、私の体のリズムは午後6時頃なので、かえって好都合です。

 

 

日本に戻って早々のコンサートで歌う予定のドナウディの歌曲のレッスンをお願いしました。

 

発音:子音nは口を閉じないで、舌先を上顎につけるようにする。

 

フレーズの作り方:StretchとSkating

 

 

ドナウディの歌曲から

 

#1.O del mio amato ben

 

Visca先生十八番の一曲とのこと。

 

O del mio …mioの発音、mi-oと発音しているつもりですがmiが十分に表現できていないperduto incanto! のin…、nの発音は顎を縦に開けてしっかり締める

 

その後のフレーズでもiが出現するたびに顎が絞まりがちになるので、開けた状態を保ちながら歌いきる

 

 

a tempo の所からSkatingするように前に前にと進み、休符のあとtempoを少し緩める

 

cerco invan, chiamo invan!ですっかり吐ききってから、息を取り込む

 

後半も顎が絞まらないように、フレーズをノビノビStretchingするように歌いすすめる

 

 

#2.Quando ti rivedro

 

Tante lagrime ho pianteは大切なフレーズでありlagrimeのla, pianteの響きを丁寧に

 

A tempo のあとのanimando un poco では、しっかりと前に進み、その後のtornadoでは逆に戻していく

 

最後のcosì?は疑問形なので、丁寧に響きを保ちながらデミュネンドしていく

 

 

#3.Spirate pur,spirate

 

出だしは、1小節を1拍と感じながら歌い始める

 

mio bene のnの発音の際は、口を閉じないで舌先でコントロールする

 

spira-teのaの長母音の発声はau・au・au …と歌うことで安定する

 

pの表示があるフレーズであても、大切な言葉のアクセントは明確に

 

f largamente では声を強めるのではなく、たっぷり息を流して響きを生み出す高音での母音aは開口位を保つ

 

 

#4.Vaghissima sembianza

 

第20~24小節(allarg. mf. tornando)のフレーズも声を張るのではなく、息をたくさん送り込む感じで、その後、息を吐ききってから、次のブレスでpに入っていく

 

第36小節(dolce p)を丁寧に歌い始めるが、重要な言葉のアクセント表現を忘れずに

 

第45小節 sì ardente v’ha già fatta のcresc.の表現も声ではなく息で支えていく

 

第62小節 楽譜には載っていないが、最後にもう一度che a lei che muta è ognor.を繰り返す

 

 

などなど、中身の詰まったレッスンだったでしょう?とVisca先生。

 

これは本当に一時間のレッスンなのです。

 

Visca先生のレッスン時間が、普段より早めなのは、理由があります。

 

私のレッスンの後、ウィーン国立音大の学生によるオペラ公演に向けての、現場指導があるためとのことです。

 

そこで、私は、見学ができるかどうか頼んでみたところ、レッスンの後直ちにVisca先生の後についていくことになりました。

 

音大と稽古場のあるシェーンブルグ宮殿は目と鼻の先です。

 

 

ウィーン国立音楽大学公演予定の歌劇『魔笛』の稽古見学

 

11:00amシェーンブルグ宮廷内歌劇場

(日本時間:7:00pm)

 

 

ウィーン国立音楽大学の校舎は市内にいくつか分散していて、私はすでに3か所でレッスンを受けています。

 

Visca教授のレッスン室のある校舎はシェーンブルグ宮殿の近くに位置しています。

 

旅行ガイドブックにも宮廷歌劇場が掲載されていますが、夏季以外は音大の学生の稽古に使われていることが紹介されていました。

 

一般の観光客は、この時期に、この華麗な格式の高い歌劇場でオペラを見ることはできません。

 

私は幸運なことに、これから活躍を期待されている選ばれた学生の通し稽古を見ることができました。

 

Visca先生はオケピットで指揮を振る先生も紹介してくださり、挨拶をさせていただきました。

 

 

王子タミーノ役のテノールはVisca先生が指導している学生で、夜の女王の娘のパミーナ役のソプラノは日本人でした。若者たちによるオペラは若々しい才能に満ちていました。

 

通し稽古ということですが、ほとんど本番のオペラと言ってもよい完成度でありました。

 

 

Pablo Cameselle 先生の第2回目レッスン

 

4:30pm パブロ先生の自宅にて

(テノール)のホームレッスン

(日本時間:0:30am)

 

 

この日は、発声練習から始めました。

 

Nye~Nya~Nye~Nya~という音を使いました。

 

昨日指摘していただいたポイントをさらに明確にしていく作業でもありました。

 

 

その1:

高音になると鼻に掛る音になる:

具体的には、鼻に掛らずに歌い始めた音も、音を延ばしている間に途中で鼻にかかってしまう。

 

それも母音や子音の種類によって、より顕著になることがわかりました。

 

たとえば、母音eの私の発音は高音でも完璧とのことですが、母音aになると、途端に鼻声になるとのことでした。

 

この現象は、母音iや、子音のm、nで顕著であるとのことでした。

 

Nye~Nya~Nye~Nya~発声法は、この癖を修正する上でとても有効なツールになりそうです。

 

 

その2:

口が縦に開かず横に広がってしまう

 

特に、母音のiで顕著:イタリア語の母音はまず口腔の奥で基本を形成してから、口元で調整します。

 

それをしないで、口元だけで調整しようとすると、どうしても潰れた浅い音になってしまい、響きの広がりのある深いイタリアの声にはなりません。

 

日本人にはなかなか難しい発声・発音の課題です。

 

 

その3:

歌い出しが突然で、不自然なアクセントがついてしまう:

ppやpで歌い出すことができていない。また曲の最後にデミュネンドしてppで伸ばして完結させることができない。歌で難しいのはfやffではなく、pやppです。

 

 

その4:音量や速度のコントロールができていない。

つまり、楽譜の交通標識を無視した交通違反の歌の運転をしていることになるのですが、楽譜の表情記号を意識していても、それを作曲家の意図に沿う音楽を再現することがいかに難しいことであるのかを実感します。

 

 

つぎに、パブロ先生からスペイン語の2曲を紹介していただきました。

 

Alberto Ginastera作曲 / Cancion al arbol olvido Carlos Guastavino作曲 / Ya me voy a retirar...

 

 

第1曲目のアルベルト・ヒナステーラの曲は、Pablo先生がこの作曲家(イタリア系アルゼンチン人)から直接レッスンを受けた曲ということなので、私がそのPabloからこの曲を紹介され、レッスンを受けることができるというのはとても光栄なことです。

 

この2曲は今後の私のコンサートでのお勧めの曲とのことで、さっそく音取りからポイントをつかもうということになりました。

 

この曲はアルゼンチンの曲なので、スペイン本国の発音とは若干異なるとのことです。Pablo先生の父親はアルゼンチン人なので、彼自身がスペイン語のネーティブであり、かつタンゴが大好きです。Pablo曰く、<世界の三大テノールのうち、二人がイタリア語ではなくスペイン語を母国語としているが、これは偶然ではない>確かにプラシド・ドミンゴ(スペイン、マドリード出身)、ホセ・カレーラス(スペイン、バルセローナ出身)です。

 

バルセローナはカタルーニャ語が話されていますが、カアルーニャ語の母音の数は8つあり、スペイン語(カスティーリャ語)よりも多いのですが、鼻母音はありません。

 

 

レッスンの後、短時間の仮眠を取らないと、折角のオペラ観劇で寝てしまいかねません。

 

7:00pm開演だと勘違いして歌劇場に急いだのですが、扉が全く開けられなくて困っていると、他にも困っている華僑風の老夫婦がいて、その老人から、シブい声でいきなりDoes it open?と尋ねられました。

 

I try now, but it won’t open.と答えたのですがそのとき、8:00pm開場だと気づいていたら劇場は7:00pmにならないと入館できないことを教えてあげることができたのに、申し訳ないことをしてしまいました。

 

 

 

歌劇『蝶々夫人』観劇

 

8:00pmウィーン国立歌劇場にてプッチーニのオペラ『蝶々夫人』観劇

 

(日本時間:4:00am)

 

座席はBALKON HALBMITTE RECHTS(バルコニー席、中央より右側より)

 

 

やはり、オペラは正面から観劇するのが良いようです。

 

『蝶々夫人』は有名なオペラなのでDVDを持っていて、自宅で何度か見たのですが、歌唱の芸術性はともかく、蝶々さんの着物の着こなし方や、帯が残念ながら頓珍漢なのは残念でした。

 

そこで、今回ばかりは、舞台のセットや衣装のデザインなどがどれくらい工夫されているかにも興味がありました。

 

すると、座席の手元にあるプログラムガイドではset & costume design:Tsugouharu Foujitaとの表示つづり方ですが、つぐはる・フジタと読めます。藤田嗣治?

 

この人は日本生まれの画家・彫刻家で、第一次世界大戦前よりフランスのパリで活動した人物で、私は上野の森の美術館で彼の展覧会を見に行ったことがあります。

 

たしか1968年没だったはずです。というのは、私の生まれが1959年なので、この人は自分が9歳の頃までは生きていたのだなと思いめぐらしたのを不思議に覚えているからです。

 

美術館のポスターもFujitaではなくフランス語風にFoujitaだったことも印象的でした。

 

オペラが始まる直前に、これほど興奮したことはありませんでした。

 

さて期待と不安の第一幕。セットも衣装も見事で違和感がありません。

 

蝶々さん役のソプラノのElena Gusevaはロシア人ですが、遠目に見ると若い日本女性に見えるくらいです。

 

それに声がとても良い、心地良く眠ってしまうぐらいに優しく切ない東洋の響きを帯びているのです。

 

出身地はクルガンという南ロシアの都市でカザフスタンに近いところのようです。

 

これからもこの素晴らしいソプラノの活躍が楽しみです。

 

 

11:30pm(日本時間:7:30am) ホテルの自室に帰還

 

現地の朝までの時間は、医学の自己研修と仮眠に充てています。

 

医師は芸術家以上に、毎日研鑽を積まないと、臨床的な勘やとっさの判断が鈍ります。

 

私は、毎日の自己研鑽が不可能になった時点が、医師の辞め時だと考えています。

 

水氣道や聖楽院での活動は、私の医師としての寿命を延ばしてくれていることを確信しています。

日本日時3月19日11:00pm

(現地Wien 日時:3月19日3:00pm)

 

 

実質的には日曜日なので、音楽の都ウィーンにどっぷりと浸かった一日でありました。

 

 

Pablo先生の声楽レッスン

 

ウイーン国立音楽大学1区内校舎にて

 

日本時間3月19日11:45pm

(現地Wien 日時:3月18日3:45pm)

 

伴奏ピアニストは6年来お世話になっている今泉弘江さんです。

 

 

Pablo先生は昨日がコンサートの本番であったため、たいそう疲れているはずです。

 

それにもかかわらず、エネルギー全開のレッスンでした。

 

 

そこで私の悪い癖を、具体的に指摘してくれました。

 

その1:高音になると鼻に掛る音になる傾向がある

 

その2:口が縦に開かず横に広がってしまうことがある

 

その3:歌い出しが突然で、不自然なアクセントがついてしまう

 

その4:音量や速度のコントロールができていない

 

 

トスティ50番(中声用)の最初の3曲を歌って指摘を受けました。

 

そこで、プッチーニのオペラ『トスカ』の有名なアリア「星は光りぬ」を材料として特訓を受けました。

 

高音を歌うとき鼻に掛った音になると、楽になるところか、腹部での支えが失われ、喉が詰まり、声の響きが失われてしまうことを確認しました。

 

 

レッスンの後は、ホテルに戻らず、久しぶりでウィーンの街中を散策しながら歌劇場に向かいました。それは眠気対策でもあります。

 

 

歌劇『オテッロ』観劇

 

国立歌劇場にて

 

日本時間3月19日2:30am

(現地Wien日時:3月18日6:30pm)

 

 

『オテッロ』はヴェルディのオペラですが、観るのは初めてです。

 

欧州でオペラを観劇するにあたって、失敗しがちなのは、やはり開演時間です。

 

日本時間では午前2時から3時なので、観劇中に寝てしまうリスクが高いことです。

 

昨年は、これで複数失敗したので、ことしは寝ないで観るだけでも進歩、と考えたいところです。

 

ウィーン国立歌劇場の客席で気づいたのは、外国語対応です。席の前にはドイツ語、イタリア語、英語の他、日本語もあり、言葉や歌の歌詞の意味がつかめることです。

 

ただし、せっかく、劇場で感激しているのに舞台上でなく、目の前の小さな電光文字にばかりにとらわれてしまうのは、何としてでももったいない話です。

 

私は、イタリア語やドイツ語でよく知っているオペラの場合は、その言語を表示して、よく聞き取れなかったところを中心に参考に見るようにしています。

 

あまり馴染みのないオペラの場合は英語にしておきます。ただし、第一幕で筋書きがわかってきたら、第二幕からはオペラの言語に切り替えます。

 

このオペラも、名前は知っていただけだったため、第一幕を英語表示、第二幕をイタリア語表示で楽しむことができました。

 

舞台の背景は比較的シンプルで大道具なども、幕の変わり目で大きな変化はありませんでしたが、オペラ歌手たちや、オーケストラの演奏には充実した盛り上がりを感じました。

 

その甲斐もあってか、短時間のうたた寝以外は、しっかりと最後まで通して観劇することができたことは良かったと思います。

 

 

ホテルに戻って

 

日本時間7:00am

(現地Wien日時:11:00pm)

 

日本では診療所で活動を始めている時間ですが、ウィーンではホテルの自室に籠っている他ありません。

 

この時間を利用して、学会発表の準備を進めたり、必要な連絡をとる作業をしたり、翌日の日中の活動に備えて仮眠をとったりして、日本人にとっては遅いウィーンの朝を迎えました。