SScでは爪上皮に出血点を認め、中指や環指に生じやすいです。非特異的ですが石灰化も認められます。
合併症として食道蠕動運動の低下による逆流性食道炎、食道拡張、偽性腸閉塞、腸管嚢状気腫症、腸内細菌の過剰増殖により10~30%に吸収不良や、下痢、脂肪便、体重減少など吸収不良症候群、間質性肺炎、心伝導障害などが見られることがあります。
また高血圧を来す場合は高レニン血症を伴う悪性高血圧を疑う必要があり、強皮症腎による腎不全(強皮症腎クリーゼ)を来すことがあります。
強皮症腎の腎病理組織所見では、小葉間動脈壁肥厚(小葉間動脈周囲のムコ多糖増加による内膜肥厚)、onion-skin lesionがみられます。
2013ACR/EULAR SSc分類基準に含まれているのは、皮膚硬化、指尖部病変、毛細血管拡張、爪周囲の毛細血管異常、間質性肺疾患または肺高血圧症(肺動脈性肺高血圧症)、レイノー現象、SSc関連特異的自己抗体(抗Scl-70抗体、抗セントメア抗体、抗RNAポリメラーゼ抗体)などです。
またSScの心筋障害には、微小冠血管攣縮(心臓レイノー症候群)が関与します。そのため、早期診断には、冠動脈造影ではなく、負荷心筋血流シンチグラフィ―が有用とされます。
SScの心筋症の評価において、遅延造影MRIは心筋の線維化の評価に有用です。ガドリニウム(Gd)投与後約15分後のT1強調画像が線維化の評価に有用です。
レイノー現象、皮膚潰瘍などの血管病変に対して血管拡張作用のあるカルシウム拮抗薬、プロスタグランジン(プロスタサイクリン)、エンドセリン受容体拮抗薬が用いられます。
エンドセリン受容体拮抗薬のボセンタンは、肺高血圧症の治療薬として開発されましたが2016年に難治性皮膚潰瘍にも保険適用となりました。
なお、エンドセリン受容体拮抗薬は間質性肺炎があると、換気血流比(V/Q)不均衡を引き起こし、呼吸不全を悪化させることがあるために注意を要します。
強皮症腎、特にクリーゼには抗RNAポリメラーゼⅢ抗体が関与します。
強皮症腎ではACE阻害薬を用います。
ステロイドパルス療法など副腎皮質ステロイドは強皮症腎クリーゼの誘発因子になりため、治療のためには原則プレドニゾロン換算で20mg/日以下です。
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