中欧研修レポート:第13日目

日本日時3月27日11:00pm

(現地Frankfurt 日時:3月27日3:00pm)

 

 

ライプチッヒからフランクフルトへの移動は、予定通り11:33amにLeipzig発、2:36pmにFrankfurt着の列車で、今度は時間通りに到着しました。

 

ほぼ3時間なので、2等車から1等車へ乗車変更しました。

 

はじめての1等車への乗車体験です。

 

私は、これまで搭乗した飛行機はすべてエコノミー・クラスでしたが、還暦を迎えようとしている昨今、医師としてこれまで通りではいけないと考えるようになりました。

 

健康優先、生命優先であってこそ、責任ある診療が可能となるからです。

 

 

もっとも、人間の命より、不動産の価格の方が高く、生命に対する投資より、不動産や有価証券への投資を優先する社会的趨勢は今なお続いています。

 

そのような社会経済的背景の中で、より質の高い医療の提供を続けることは不可能であるという至極当然なことに、そろそろ覚醒しなければならないのではないでしょうか。

 

実際には、2等車であっても快適な座席もあれば、1等車でもそこそこ、ということがあります。ただし、1等車の良いところは、飲食が可能で、トイレもアクセスし易い点です。

 

それから、乗客相互の信頼感です。1等車を選ぶ余裕のある人物同士という安心感を、少なくとも隣席の乗客に与えることができます。

 

私は、3時間の間、ぼんやりと水分を補給せずに窓の外の景色を堪能しているだけ過ごす余裕はありません。

 

それもバカンスであれば悪くはないのですが、仕事なのでパソコンで作業を始めます。

 

私は窓際の席を予約したのですが、すでに通路側に座っていた紳士が気持ちよく通してくれました。

 

彼の所には、ひっきりなしに電話が掛ってきます。そしてひっきりなしに大きなため息をついて、貧乏ゆすりをしています。

 

そのうちに、私のと同じ機種のパソコンを立ち上げ、連絡メールを始めました。

 

互いに目があい、<まったく同じだね>と言いたげな表情を浮かべていました。

 

こうした精神的なものの価値をどのように評価するか、人によると思いますが、私は意味のあるものや意義のあるサービスのためには、どんどん投資していこうと考えています。

 

なぜならば、私自身がご縁のある皆様から投資していただく必要があるからです。

 

互いに投資し合える関係が生産的な人間関係だということに気づいたからです。

 

 

ドイツ国内の電車移動で不便なのは、

 

1)駅構内での旅行センターでの乗車予約手続き

 

2)予約した自分の座席の特定

 

3)長距離列車でも一等車でないと車内での飲食サービスがない

 

4)トイレ事情

 

その他、数え上げればきりがありません。

 

これらの件は、帰国後、Hansと話し合ってみたいと考えています。

 

私が知らないだけで、もっと、上手な乗り方があるのかもしれません。

 

 

今回の中欧研修旅行で、日本の鉄道システムが如何に優れているのか実感しました。

 

ただし、サービスというものは、安価に提供し続けていくと、顧客にとっては、それが当たり前になってくるのが困りものです。

 

顧客の要求水準は、さらに高まるのですが、それに応えてコストを抑えると、どうなるでしょうか?

 

顧客から評価されない、つまり、目に見えない安全性などが犠牲になりがちです。

 

限度の無い価格競争に陥り、最も大切な生命が危険に晒されるのです。

 

世の中の平和は目に見えない良心によって支えられている、ということをもっと考えていかなければなりません。

 

目に見える数値データや画像データだけでは、心の通った質の高い医療は達成できないのと同じです。

 

確かに、見える化は大切な工夫ですし、相当の努力を払うべきでしょう。しかし、それだけでは解決できない諸問題が山積しているのです。

 

このことに気が付かない限り、現代日本の保険医療は、ますます崩壊へ向かっていくのではないかと危惧する次第です。

 

 

将来を期待されていた優秀な大学生たちが選択した超安価なスキー旅行バスが、とんでもない事故を引き起こし、かけがえのない多数の生命が失われた事件を、皆さんは覚えているでしょうか。

 

私たちは、そこから何を学ばなければならないのでしょうか。

 

日本医療についても同じことが起こりつつあることは否定できません。

 

貪るだけの人たちとお付き合いをしていると、知らず知らずのうちに善良な第三者から貪ることになってしまいます。

 

わたしはそれをできるだけ避けたいと考えています。

 

私は自分の患者さんを私のために医療の浪費者になっていただくはありません。

 

そればかりか、医療消費者にすらなっていただきたくないのです。

 

私が目指そうとしているのは、医療投資者意識の創成です。これは医療投機者ではないのではっきりと区別していただきたいと思います。

 

賢明な医療投資者になるためには、相互に学び合い、新旧の有意義な情報に基づく、賢明な判断と行動選択をしていくということに他なりません。

 

そんなことを考えているうちに定刻にFrankfurt中央駅に到着した次第です。

 

 

中欧研修旅行第一日目に宿泊したのと同じホテルです。今回は、2回目であることと日中であることから、駅からの距離や所要時間がかなり短縮されました。

 

ドイツ人・オーストリア女性もいろいろですが、あくまでも私の総合評価としては、笑顔という点で日本の女性に軍配が上がります。

 

そうはいっても、中には天使の羽が背中に生えているのではないかという感じの欧州の女性もいる一方で、どうにも無愛想でいただけない日本女性がいることも否めません。

 

 

同じホテルなのに、受付のスタッフいかんで、そのホテルが良く見えたり、欠点ばかり見えたりすることを学びました。

 

これは駅の旅行センターの窓口でも同様です。病院ではなおさらのことでしょう。

 

健康に不安を抱えた患者さんのケアは、受付ですでに始まっていると考えなければならないことを再認識しました。帰国後は受付の接遇改善を宿題の一つとします。

 

 

30年間2等車であった高円寺南診療所は、その社会的使命を終えようとしています。

 

来年中には1等車としての杉並国際クリニックの建設を着手したいところです。

 

 

明日、ルフトハンザ国際空港から、羽田に戻ります。

 

そのため、今晩だけはしっかりと夕食を摂って、早めに休むことにしました。

 

 

そこで、外出は一切せず、17階の自室から1階のレストランに降りました。

 

受付嬢とは打って変わって、愛想の良いお嬢さんがメニュー(Speisekarte)を持ってきてくれました。ちなみにドイツ語でメニュー(Menü)というと定食の意味になります。

 

客席について、気づかれずに、しばらく放っておかれるときには、Speisekarte, bitte!(メニューをお願いします!)と呼べば、すぐに持ってきてくれます。

 

せっかくなのでホテルオリジナルのミックスサラダとスープ、それから、はじめて地元の自慢のステーキをオーダーしました。

 

飲み物を尋ねられたので、Ein Bier vom Faß!(生ビールを一つ!)頼みました。

 

Faßというのは樽です。つまりビール樽、vom Faßとは樽から汲んできた、という意味なので生ビールになります。

 

現在のドイツ語ではFassと書くのが正しい(新ドイツ正書法)のですが、大抵は今でもFaß(旧ドイツ正書法)で書かれています。

 

私の個人的な趣味では、断然、Faßです。

 

これには理由があります。

ドイツの町の通りには、・・・straße(英語のstreetに対応)とか、・・・gasseとか、一方通行の路地だとEinbahnという標識が目立ちます。

 

新ドイツ正書法ではStraße(シュトラーセと発音します)はStrasseと綴ることになりますが、これだとシュトラッセと発音するのが自然であり、綴りと発音の乖離が生じるからです。

 

 

話をドイツの食事に戻します。日本のレストランでは和食に限らず、小皿料理でなくとも、ドイツの料理と比べると一皿一皿が比較的小さいことに気づきます。

 

ですから、日本の洋食を楽しむ感覚で、ドイツでオーダーすると大変なことになります。良く言えば盛りが良いので食べきれない、ということもあり得ます。

 

それから、味付けですが、日本の標準より、味が濃いです。

 

ミックスサラダのドレッシングは、デザートかと思われるほどの甘さであり、スープの塩気も強く、濃いです。よくスープは飲み物でなく、食べ物だ、と言われますが、経験してみるとよくわかります。

 

ドイツのスープはシチューより重いことがあるので飲めません。食べるしかありません。

 

ステーキはミディアムが良いかミディアム・レアが良いか問われたのでミディアム・レアを頼みましたが正解でした。

 

厚切りで歯ごたえも予想以上でした。

 

最後に、デザートを勧められたので、小さいのでしたら、とお願いしたら、アイスクリームつきのプリンが出されました。

 

美味ではありましたが、甘みが濃く、しかも、しっかりしたヴォリュームでした。

 

 

平均的な日本人にお勧めの欧州滞在中の健康的な食生活のコツをまとめてみました。

 

1)朝食を早い時間に提供してくれるホテルを選択すること

6:00am(日本時間では2:00pm)に食べられれば良いでしょう。

 

2)朝食の食材はどこのホテルでも大差はありません。

野菜は品数が少ないので、しっかり確保しておき、その他、フルーツポンチなどを好みで選びます。できればリンゴやスモモなど新鮮な丸ごとのフルーツを選ぶのが良いでしょう。

 

ミルクやジュース類、コーヒーなどの飲み物は比較的豊富ですが、ミルクは美味であり体にも良いので必ず摂取すること。肉類・パン類・チーズやヨーグルトなどの乳製品は豊富です。

 

ですから、朝食であれば、多数の食材を少量ずつ摂取することができ、一日の栄養バランスのベースを作ることができます。

 

3)昼食は日本の夕食の時間に相当することを意識して食べると良いでしょう。

 

4)夕食は最も注意を要します。8:00pm(日本時間では4:00am)です。つい食べ過ぎがちになり、胃が重くなり、安眠を妨げることがあります。

 

5)その他、日本ほど容易に水分を摂取できないことに注意する必要があります。

コンビニや飲料の自動販売機はほとんど見当たりません。あるのかもしれませんが、

旅行客にはわかりにくいと思います。慣れている人は、ミネラルウォーターのペットボトルを持ち歩いています。

 

 

胃が重いので、この辺で本日の報告は終わりにします。