日本日時3月21日11:00pm
(現地Berlin 日時:3月21日3:00pm)
Wienで3回目の朝を迎えると、実質的にはWien研修の最終日です。
研修といってはいますが、いろいろな定義があることでしょう。
私の研修は限りなく自己研鑽に近いです。
それは、一個の人間が造物主から与えられた潜在能力を如何なく発揮できるように、絶えず神からのメッセージを受け止めて自己修養することです。
私は、先日お世話になった心理臨床家のHarald Mori先生に、彼の趣味について尋ねました。
趣味とは、すなわち彼の関心がある領域であり、ほとんど彼の職業に関わりがある内容でした。それは、私も同じです。
私も逆に尋ねられたので、こう答えました。
<トランペットが唯一の私の永遠の趣味です。その他は趣味で始めたことに熱中するために、完成度はともかく、ほとんどすべてが仕事に結びついてしまうからです。>
音楽とくに声楽は、私の心身の健康の維持・向上に役立っているばかりではなく、積極的に臨床応用を始めています。水氣道については言うまでもありません。
問題は、どれだけ世間に受け入れていただけるかです。
しかし、俗世間に迎合はしません。
受け入れていただくことを望みますが、決して受け狙いはしません。
家内の名言があります。
<すべからく三流の人々に無視されるくらいでなければ一流にはなれません>
そこで、私はこう答えました。
<それでは、超一流を目指して、二流の人々に馬鹿にされる位に励むことにしましょう>
逆に言えば、水氣道に価値を見出し、私と共に水氣道を続けている皆さんは一流の素質を持った方たちです。
水氣道と共に聖楽院のレッスンに喜びを見いだせた方々は、他の人々にも喜びを与えることができる才能を持っていると思います。
ホテルでの朝食
6:30am(日本時間:2:30pm)
野菜は日本ほど豊富ではありません。
大きめの輪切りのキュウリ、カラフルなパプリカ、それにトマト。ウィーンの定宿のレストランではこの三種の野菜が主であり、私の朝食(日本時間では昼食)のメインになります。
Claudia Visca教授のレッスンNo.2
10:00am(日本時間:6:00pm)
ウィーン国立音楽大学のレッスン室の窓の外は、雪が舞い降りはじめました。
コンコーネ50番の第1曲・第2曲をそれぞれ日本語(小倉百人一首)と英訳版で歌い、Visca先生のアドヴァイスをいただきました。
Visca先生は永らくWien国立音楽大学の教授を勤めていますが、本来は米国の出身です。
英語でもドイツ語でもレッスンができる方なので、コンコーネ50番(英訳歌詞)について、どのような評価をいただけるか気になっておりました。
英訳版にとても関心をもってくださったので、第50曲も日本語で歌わせていただきました。
この曲はコンコーネ50番50曲のテクニックの総まとめというべき練習曲ですが、詞は図らずも小倉百人一首の選者である藤原定家の和歌です。
<来ぬ人を まつほの浦の 夕凪に 焼くや藻塩の 身も焦がれつつ>
曲の最後は、下の句の《 焼くや身も焦がれつつ、焦がれつつ 》を歌いこんだ後で、《焼くや身も焦がれつつ、焦がれつつ》で終結させていました。
しかし、Visca先生は《 Yakuya Mimo kogaretsustu, kogaretsutsu, kogaretsutsu 》と歌うことはできないかと仰るのでした。
そう歌えたらずっと音楽的になり感動が伝わる、と言うのですから大変な驚きです。
実際にそのように歌っても歌詞としての意味は通るし、自然でありました。それにしても、これはどうしたことでしょうか、Visca先生はヤマト言葉の意味はおろか、意味のまとまりである句切れや文節さえもご存じないはずなので、とても不思議でした。
言葉は音であり、抑揚があるのですから、自然にそれが普遍的な音楽の要素にもなっているのではないかと考えます。
古来、ヤマト言葉には魂が宿っていると考えられていて、それを言霊(ことだま)と呼ぶことがあります。
その言霊の本質は、言葉がもつ音楽性と無関係ではないのではないでしょうか。
その後に、昨日ドナウディ(イタリア語の歌曲)のレッスンの後で、シェーンブルグ宮廷歌劇場でモーツアルトの《魔笛》の稽古に触発されたこともあり、本日はモーツアルト(ドイツ語の歌曲)のレッスンをお願いしました。
#1.An Ghloe
#2.Das Veilchen
いずれの曲を歌うときにも、名詞、動詞、形容詞など実質的な意味をもつ重要な言葉のアクセントに配慮して明瞭に発音することと、それ以外の単語を無意味に強調しないようにすることに注意を促すように教えていただきました。
ところで、言語というものは、互いに最低限の信頼関係が無いとうまく伝わらないようです。
これは、声楽でも診療でもいえることです。
たとえ母国語である日本語でも例外ではありません。たとえば初診のときの患者さんは、不安な気持ちになりがちなのはわかります。
しかし、いかにも不信感たっぷりな表情で、胡散臭そうな目つきでこちらの様子をうかがったり、診察室を見まわしたりする方が、残念ながらときどきいらっしゃいます。
このようなタイプの方との対話はどうしても音楽的にはなりません。
誠意をもって接することによって素朴な音楽のアンサンブルにも似た信頼関係を築くことができることがあります。
そのため、できるだけの配慮はしますが、音楽と同じで、相手に合わせ過ぎて無理を続けると良い結果を生まないようです。
Visca先生は今年68歳。来年の3月のレッスンは今まで通り音大で、しかし、その次の年には定年を迎えるので自宅でのレッスンになるとのことです。
音大ではレッスン時間に制約がありますが、自宅であればゆったりとレッスンができると仰ってくださいました。
ホテルに帰還して昼食
11:30am(日本時間:7:30pm)
グリーンサラダとクリームスープのみの食事を摂って、少し休憩をしました。
自室に戻って最初の仕事は、メール確認です。これが毎日数十通届くので、一応の確認をすませるだけでも時間がかかります。
Pablo Cameselle先生のレッスンNo.3
3:30pm(日本時間:11:30pm)
発声練習のあとに、昨日パブロ先生に紹介していただいたスペイン語の2曲の特訓を受けました。
この2曲は、私のレパートリーに加えて、コンサートで歌ってみるように改めて勧めていただきました。
Alberto Ginastera作曲 / Cancion al arbol olvido Carlos Guastavino作曲 / Ya me voy a retirar...
ホテル帰還
5:00pm(日本時間:1:00am)
Wienの最後の夜は、さすがにオペラ観劇はなし。
明日のBerlin出発に向けて調整に充てます。
仮眠を取ってから、朝まで毎日の自己研鑽を続けます。
声楽のレッスンや、オペラ観劇の他に、ホテルでは、ドイツ語番組を流しっぱなしにしていいます。
そのめか、少しずつ耳が慣れてきたのを感じます。
ベルリンでの医学界での第一公用語は、当然ドイツ語で、第二公用語は英語です。
帰国後に悪影響を残さないためにも、絶えず日本時間を意識しながら、しかも、ドイツでの日中の研修を充実させるため、ある程度の準備はできたように思います。
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