Brugata症候群は心室細動発作による突然死が警戒される不整脈です。
基礎疾患をもたない突然死のおよそ20%を占めるとされています。
そして壮年男子が夜中就寝時に唸り声を上げて突然死する「ポックリ病」の多くが本症であろうと言われています。
成人男性における夜間の意識消失、電気ショックで蘇生可能な意識消失を伴う不整脈の既往があれば、この病気を疑わなければなりません。
アジア人の成人男性に多く発症します(男:女=9:1)。
失神が安静時または夜間睡眠時に多い理由は、副交感神経緊張時に心室細動を生じやすいためであると考えることができます。
したがって、交感神経系が緊張する運動は心室細動の誘因とはならないため、運動制限は不要です。
診断は心電図によります。すなわち、不完全右脚ブロックと右側胸部誘導のST上昇(J点上昇)を特異な所見とします。
先天性QT延長症候群と同様に細胞膜(ナトリウムやカルシウム)チャンネル系のSCN5A遺伝子などの変異が原因とみられています。
心室細動からの蘇生例では早期再分極所見が明らかに高頻度に認められており、早期再分極は必ずしも良性所見ではないことの警鐘が鳴らされました。
近年、右室流出路部位の心筋ナトリウムチャンネルαサブユニット遺伝子の変異が注目されています。
この異常のためナトリウム電流が減少して、それにより特徴的な心電図所見を呈することも説明されています。
そのため、ナトリウムチャンネルを抑制するⅠ群抗不整脈薬(ピルジカイニド)は、本症の不整脈を悪化させ、誘発試験(顕著なST上昇)にも用いられています。
2010年、Brugata症候群は、早期再分極症候群(ERS)と統合して、遺伝性J波症候群として扱うことが提唱されました。
J波を示す病態として偶発性低体温症があります。
これは東日本大震災後に多く見られました。治療としては、突然死予防のため植え込み型除細動器(ICD)植え込みが行われます。
適応分類は
クラスⅠ:心停止・心室細動既往例
クラスⅡa:心電図上coved型Brugata症候群で、失神または突然死の家族歴があり、電気生理学的検査で心室細動が誘発された例
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