高円寺南診療所では、お薬を処方するにあたって、副作用発現を最小にとどめるための配慮をしています。
しかし、近年に至って、いわゆるポリファーマシー(特に超高齢者などの多剤療法による副作用)のリスクが高まっているのを実感します。
臓器別・疾患別の複数の専門医受診者が要注意です。つまり、高円寺南診療所で、いくら吟味して処方しても、患者さんが同時に内服している他の薬を把握しておかなければ患者さんを危険から守れないということです。
常に念頭に置いておかなければならないと思うのは、致死的な不整脈です。
お蔭様で大事に至ったことはないのですが、内科の主治医としては、他科の先生方と連絡をとりながら、全体的な他の今後も丁寧に対応していきたいところです。
QT延長症候群自体は無症状ですが、心電図検査でQT延長症候群のチェクをすることは大切です。
この種の病態は、特殊な心室頻拍で心室細動である多形性心室頻拍(TdP)がもたらされると失神や突然死をきたすことがあるからです。
その場合は無脈性心室頻拍などと同じ対処が必要です。
先天性のものもありますが、特に注意を要すべきと考えるのは、後天性のもの、とりわけ薬剤が原因となって発症するタイプのものが最多です。
先天性QT延長症候群
細胞膜チャンネル系の遺伝子変異によるものとみられています。
治療:β遮断薬、Ⅰb群抗不整脈薬
後天性QT延長症候群
原因
①著明な徐脈:房室ブロック、洞不全など、
②電解質異常:低K血症、低Mg血症、低Ca血症など、
③薬剤:Ⅰa,Ⅲ群抗不整脈薬、向精神薬、抗アレルギー薬、抗菌薬など、
④心疾患その他の疾患に合併したもの
治療:電気ショック
反復する場合は、硫酸マグネシウム・ブドウ糖配合(マグネゾール®)の静注
これは子宮収縮抑制薬として重症妊娠高血圧症候群における子癇の発症抑制・治療に用いられる薬です。
原因により、一時ペーシングや電解質の是正
Ⅰa,Ⅲ群抗不整脈薬は禁忌
薬剤性(二次性)QT延長症候群は、薬剤の投与によりQT延長から多形性心室頻拍(TdP)などの心室性不整脈を惹起し突然死を起こし得ます。
原因薬剤としては、Ⅰ群・Ⅲ群抗不整脈薬、マクロライド系抗菌薬、三環系抗うつ薬、向精神薬、抗真菌薬が多いです。
薬剤性QT延長が疑われるときは、まず可能性のある薬剤の中止、マグネシウム製剤(硫酸マグネシウムの静注によるマグネシウムの補正によりQT短縮効果)の投与、電解質の補正を行います。
TdTを繰り返し、β刺激薬の投与や一時ペーシングにより心拍数を上げることで抑制できることが多いです。
薬剤性QT延長症候群、TdPの危険因子として、高齢、女性、電解質異常(低カリウム血症、低カルシウム血症、低マグネシウム血症)、徐脈、腎機能障害などがあります。
女性はもともとQT時間が長いのでリスクが高いです。また誘因となる薬剤は多岐にわたるが、多くはそのような薬剤を複数投与されることによります。
参照:QT延長症候群(先天性・二次性)とブルガダ症候群の診断に関するガイドライン(②本循環器病学会ほか、2012)
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