最新の臨床医学:感染症学<麻疹>

麻疹(はしか)の診療を主として担当しているのは小児科医です。

 

しかし、内科医にとっても大切な役割があります。

 

麻疹は保険行政上、五類感染症に分類され、麻疹を疑った段階で24時間以内に届け出を最寄りの保健所に提出し、全例検査診断を実施します。

 

これは地方衛生研究所で実施されます。

 

 

2006年より麻疹・風疹混合(MR)ワクチンによる1歳(1期)と小学校就学前の1年間(2期)の2回接種がはじまりました。

 

以前は患者の中心は幼児でしたが、2008年には中高生を中心に流行を認めました。

 

その患者の約25%は1回のワクチン接種歴があり、2回接種が求められるようになりました。

 

その後2015年にはWHOが、日本では麻疹が排除されたと認定されました。

 

また2016年にはWHOは、南北米大陸が世界初の麻疹排除地域になったと宣言しました。

 

また医療機関での麻疹対応ガイドライン(第五版)が改訂されました。

 

 

医療機関での麻しん対応ガイドライン(第六版:暫定改訂版)では、医療職、事務職にかかわらず非常勤、派遣、アルバイトを含むすべての職種について、確定できた既往歴および2回のワクチン接種を確認すること、また空気感染対策ができる個室管理体制を実施することが求められています。

 

主として成人を担当する内科医も、成人発症の麻疹を疑いのある患者さんに対して、少なくとも上記の確認が求められるということになります。

 

 

WHOの麻疹排除の定義は、①疾患サーベイランスの確立、②土着麻疹ウイルス株が36か月以上検出されない、その伝搬がなくなったとの遺伝子型の証拠の存在、です。

 

2010年5月以来、日本でよく検出されてきた遺伝子型別D5は検出されません。

 

しかし、ますますグローバル化する国際社会において、わが国は麻疹輸入国になっていることは認識しておかなければなりません。