<微熱が続き、全身がだるく、肌が痒く、胃が痛む>ということで高円寺南診療所を受診する患者さんは珍しくありません。
そんな方にはお腹が張った感じが無いかどうかを尋ねます。そして体重を測って最近の体重の変動の有無をチェックします。
そして、腹部の診察をして肝臓や脾臓が腫れていないかどうかを確認するようにしています。
また、症状がほとんどなく、たまたま受けていただいた区民検診で脾臓の腫れが見つかったり、血液検査で白血球が増加していることで運良く病気が早期に発見されたりすることがあります。
初期の慢性骨髄性白血病(CML)は、このようにして発見されます。
末梢血塗抹標本で観察すると、芽球の増多が無く、各分化段階の細胞が増加します。
白血球の破壊により白血球内に豊富なビタミンB12が逸脱するため、ビタミンB12が増加します。
好中球アルカリホスファターゼ(ALP)は慢性期には低値だが急性増悪すると増加します。
リゾチームも増加しますが、これは急性単球性白血病(AMoL)でも増加します。
この好中球アルカリホスファターゼ(NAP)スコアは白血球の成熟度を示し、成熟好中球では増加します。
慢性骨髄性白血病(CML)は遺伝子や染色体の異常による血液の病気です。
このCMLでは、血液細胞にフィラデルフィア染色体がみられます。
このフィラデルフィア染色体の検出は、CMLの確定診断になります。
臨床的に原発性骨髄線維症との鑑別が難しいのですが、CMLではフィラデルフィア染色体が95%で陽性、NAPスコア低値が特徴となります。
そして、遺伝子レベルではBCR-ABL融合遺伝子がみられます。BCR-ABLキメラタンパク質は、高いチロシナーゼ活性をもち、これがCMLの発症原因になっています。
したがって、BCR/ABL阻害薬によりCMLを高率に寛解導入できます。
また同様の機序により、フィラデルフィア染色体養成急性リンパ性白血病(ALL)にも効果があります。
現在、複数のBCR/ABL阻害薬(イマチニブ、ニロチニブ、ダサチニブ、ボスチニブ、ポナチニブ)が承認されています。
それぞれBCR/ABL以外のチロシンキナーゼへの阻害作用や、変異BCR/ABL蛋白質への効果が異なります。そのため使い分けが試みられています。
このうちT315I変異を有する場合にはポナチニブが有効です。
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