最新の臨床医学:呼吸器・アレルギー・膠原病学<気管支喘息>

気管支喘息は、内科系アレルギー専門医が扱っている代表的な病気です。

 

ですから高円寺南診療所では、気管支喘息の治療を受けている患者さんが多いです。

 

気管支喘息の患者さんには、失礼な表現に当たるかもしれませんが、

 

私は、喘息は、典型的な性格・環境・習慣病の一つであると思っています。

 

喘息患者さんに多い性格は、治療アドヒアランスが低いことに繋がっています。

 

つまり、発作が治まると勝手に自己判断で治療を中断してしまう方が少なくないことが医学界でも問題になっています。

 

治療コントロールが不十分であると気道リモデリングにつながる可能性があることを説明するときに、「医者の説明キカンシ(聴かんし、気管支)喘息」という敢えて印象的な表現を用いることもあります。

 

とくに、喫煙者には嫌われることを承知の上で禁煙をお勧めしています。

 

 

さて、気管支喘息は、①気道の慢性炎症、②可逆的な気管支閉塞、③気道過敏性を特徴とします。

 

 

①気道炎症が持続して炎症が慢性化すると、気道の構造が変化(リモデリング)します。これをリモデリングといいます。すると、②気道閉塞の可逆性が失われ呼吸障害が持続性になってしまいます。

 

このように、気管支喘息の基本病態は、気道の慢性炎症です。

 

したがって、気道に炎症をもたらす原因の回避・除去が最も基本的な戦術であり、それに加えて気道に対する抗炎症療法が重要になります。具体的には吸入ステロイドを用います。

 

2017年に吸入ステロイドであるフルチカゾンフランカルボン酸エステル(アニュイティ®)が承認されました。

 

吸入ステロイド(ICS)と長時間作用性β₂刺激薬(LABA)の配合剤(ICS/LABA)が気管支喘息の治療に広く用いられ、現在4剤が使用可能です。高円寺南診療所では、これらのうち、アドエア®とシムビコート®の2剤のいずれかを処方することが多いです。

 

この領域の発展は顕著です。2016年に長時間作用性抗コリン薬(LAMA)であるチオトロピウム(スピリーバレスピマット®)の適応が重症喘息からあらゆる喘息へ拡大されました。

 

分子標的治療薬として、抗IgE抗体であるオマリズマブ(ゾレア®)と、好酸球性重症喘息患者に使用が推奨されているヒト化抗IL-%モノクローナル抗体、メポリズマブ(ヌーカラ®)が喘息の治療に使用可能です。

 

 

参照:喘息予防・管理ガイドライン2015(日本アレルギー学会)