総合リウマチ科(膠原病、腎臓、運動器の病気を含む)

 

<皮膚エリテマトーデスおよび全身性エリテマトーデスに対する

ヒドロキシクロロキン使用のための簡易ガイドラインの紹介>

 

 

高円寺南診療所は内科を軸としているのに、永らく皮膚診療をしてきました。

 

それは、内科の中でもアレルギー・膠原病(関節リウマチ、全身性エリテマトーデスなど)を専門にしていると、皮膚の診察が必須になってくるためです。

 

つまり、皮膚を内科の立場から診ているということです。

 

ですから、「こちら(高円寺南診療所)では、皮膚科もやっているのですか?」という御質問を受ける場合には、

 

<皮膚科もやっているのではなく、皮膚症状を内科の立場から診させていただいています。>とお答えするようにしています。

 

信頼関係さえあれば、そこから効率的な診療をスタートさせることができます。

 

 

今回のタイトルである、全身性エリテマトーデスという病気は、関節リウマチと並んで、代表的な膠原病の一つです。リウマチ内科医が専門とする病気です。

 

この病気は、多臓器を障害する慢性の全身性炎症性疾患で、妊娠可能な若い女性に多く発症します。

 

皮膚所見としては顔面の蝶形紅斑が有名です。痙攣や精神症状を伴うことがあります。

 

意識障害、気分変調、幻覚妄想など多彩な精神症状を伴うものは中枢神経性ループスと呼ばれる脳器質性症候群がもたらされることがあるため、心身医学(心療内科を含む)によるアプローチも有用です。

   

 

さて、全身性エリテマトーデスにはヒドロキシクロロキン(プラケニル®)が有用です。

 

海外では数十年前より使用されていましたが、本邦では2015年に使用ガイドラインが出されました。

 

女性に多い病気のため妊娠の問題が議論されていましたが、催奇形性や胎児毒性は認められておらず、妊娠期の疾患活動管理のため治療継続が重要であることが示されています。

 

ただし、副作用として網膜症が指摘されているため、投与開始前に眼科的なスクリーニング検査(視力・視野・眼底・眼圧・色覚・細隙灯顕微鏡など)が必須となります。

   

 

このように、リウマチ内科の専門医は、内科の枠組みを超えて、皮膚診療を行うと同時に、眼科や精神科など他の専門医との連携を組む上で、患者さんの全身状態を把握しておかなければならない立場であるといえます。

 

その場合、もしリウマチ内科の多くが心身医学に精通していたならば、より多くの患者さんに適切な対応をすることが容易になると思います。

 

M.Uさんより

 

MU

 

 

M.Uさんのメッセージに対するコメント

 

 

普段の生活を漫然と続けていると、体の姿勢や精神状態の変化などにより、知らず知らずのうちに、体に力が入ったまま、力が抜けにくい状態になってしまいます。

 

水氣道に定期的に継続して参加していると、この<無意識の力み>に気づくことができるようになります。

 

M.Uさんは肩や首の痛みに悩まされていたということです。

 

 

M.Uさんのような症状で悩む方は、他にもたくさんいらっしゃいます。

 

このような方は、水に入って身体を動かすことにより、何となく気づいていたことが更に明確になり、また今まで無意識のままで気づけなかったことにさえ気づけるようになります。

 

そして、深層心理からのメッセージや体が発している声を意識できるようになります。

 

 

それによって普段癖になってしまっている<力み>や<強ばり>を自然な形で取り除くことができるようになります。

 

つまり、自然整体自己調律の能力が知らず知らずのうちに少しずつ身についていくのです。

 

 

このことは、私も彼女の文章を改めて読み返してみて、私自身の経験を振り返ってみて、深い共感を覚えました。そして、とても嬉しい気持ちになりました。

 

 

何より、M.Uさんは身体だけでなく心もリラックス出来るようになり、顔もゆるんで表情も優しくなられたとのこと、いやいや本当に良かったです。

 

 

M.Uさんの素晴らしいメッセージに感謝いたします。

 

 

水氣道少初段下 水氣道理氣航法 直伝 金澤 克彦

総合アレルギ‐科(呼吸器・感染症、皮膚科・眼科を含む)

 

<以外に多い、口腔アレルギー症候群>

 

 

未調理の生の果物や野菜を食べて、口の中が痒くなったり、口唇・口腔内が腫れたりしたことはありますか?

 

この病気は、ときに重症化して呼吸困難やアナフィラキシーショックを起こすことがあります。

 

多くは花粉症発症者やラテックスアレルギー患者に起こるとされています。

 

これは即時型食物アレルギーの特殊型で、口腔アレルギー症候群と呼ばれます。

 

この症状を経験してる人は10%にも登るという報告があります。

 

 

日本では、すでに全人口の約3分の1がスギ花粉症を発症しています。

 

それだけ口腔アレルギー症候群が発症しやすい背景があると考えられます。

 

花粉症発症者で口腔アレルギー症状のある人は70%である他、気管支喘息、食物アレルギー、薬物アレルギー、ラテックスアレルギーなど何らかのアレルギーを有する人に発症しやすいようです。

 

また、口腔アレルギー症候群はシラカバ花粉症で多いことは知られています。

 

シラカバは山岳性の樹木であるのに対して、シラカバと同じカバノキ科のハンノキは日本に広く生息しているので、ハンノキ花粉症が口腔アレルギー症候群に大きく寄与している可能性があるでしょう。

 

 

シラカバ花粉のPR蛋白であるBet v1は、リンゴ・モモ・サクランボ・キウイ・大豆・ナッツなど多くの果物・野菜のPR蛋白と類似しているため、

 

シラカバ花粉症では、これらの食物を摂取することによって口腔アレルギー症候群をきたすことがあります。

 

 

口腔アレルギー症候群には、以下の診断基準があります。

 

① 必須条件:特定の食物を摂取時に口腔・咽頭粘膜の過敏症状を示す

 

 

②さらに①の食物によるプリックテストが陽性を示す

 

 

③または血清中に①の食物特異的IgEが証明される。

 

 

この診断基準により、口腔アレルギー症候群の診断は、高円寺南診療所でも容易です。

 

 

 

 

口腔アレルギー症候群の治療

 

原則は予防。原因物質を摂取しないこと!

 

ただし、どうしても摂取したいときには、加熱処理をすると経口摂取が可能になることがあります。

 

その際は、摂取前に抗ヒスタミン薬内服が勧められるが、これまでのところ確たる証拠はありません。

 

 

実際の症状に見舞われた場合。

 

口腔内掻痒感が軽度であれば、そのまま30分以上観察して、症状が消失するのを確かめます。

 

 

症状が進行する場合。

 

口唇や口腔粘膜腫脹が目立つ場合は、第二世代抗ヒスタミン薬を内服していただきます。

 

もやもやした前駆症状から、全身皮膚症状、呼吸症状、消化器症状が現れた場合には、アドレナリン0.3~0.5mLを大腿部外側に直ちに注射するなど、アナフィラキシーショックに備えた対応をします。

 

一般内科(循環器・消化器・内分泌・代謝・栄養関連の病気)

 

<胸痛への対処の仕方>

 

毎年この時期になると、胸が痛む、という症状の訴えが多くなってきます。

 

 

胸痛を訴える患者さんに対しては、まず緊急処置を必要とする状態かどうか、という判断が大切です。

 

ただし、近年では日本全体が超高齢社会となり、また糖尿病患者も増えているため、痛みの程度が軽かったり、通常であれば明確な痛みが出現するようなレベルの病態であっても痛みに気が付かなかったり、というケースも増えてきたため、軽い胸痛でも油断はできません。

 

 

胸痛をきたす可能性のある病気は、症状経過を丹念に聴取すると鑑別できることが多いです。

 

そのため、痛みの部位の他に、強さ、持続時間、随伴症状、誘因など細かな情報収集が必要です。

 

急激に発症した激痛であれば、心筋梗塞、狭心症、急性肺動脈塞栓症、急性大動脈解離などを念頭におきながら心電図、心エコー検査、胸部X線検査などを迅速に行っています。

 

 

高血圧や虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)などの家族歴、これらの病気の原因となる冠状動脈硬化症の危険因子の問診、喫煙歴などの情報が特に大切です。

 

 

また、定期健康診断の結果を持参していただくこともあります。

 

高血圧、脂質異常症、糖尿病の有無や治療歴の確認も不可欠です。

 

動脈硬化が原因となる脳梗塞、閉塞性動脈硬化症などの病気の有無のチェックも大切です。

 

頚動脈エコー検査も不可欠な検査になりつつあります。

 

 

それでは、高円寺南診療所で対応している胸痛の原因疾患として多いものは何かをご紹介します。

 

第1位:

神経・運動器疾患(変形性頚椎症、胸郭出口症候群、肋間神経痛、骨粗しょう症、リウマチなど)

 

第2位:

心身症性疾患(不安発作、心臓神経症、うつ病)

 

第3位:

消化管疾患(消化性潰瘍、逆流性食道炎など)

 

第4位:

肺疾患(胸膜炎、気胸など)

 

第5位:

心疾患(重症高血圧、狭心症、重症貧血による心不全など)

 

 

このように振り返ってみると、胸痛=心臓病⇒内科・循環器内科といった単純な図式でないことがわかります。

 

ちなみに第1位は内科・神経内科、リウマチ科もしくは整形外科

 

第2位は内科・心療内科もしくは精神科、

 

第3位は内科・消化器内科、

 

第4位は内科・呼吸器内科もしくは呼吸器外科

 

第5位になってはじめて内科・循環器内科の登場です。

 

 

つまり、胸痛のために最初から循環器内科専門クリニック、もしくは総合病院の内科循環器科を受診したとしても、多くの場合、

 

<心臓には問題はありません>というコメントを貰うだけで、適切な診断、ましてや治療に辿り着けないまま、呼吸器内科を受診して・・・、ということになるのではないでしょうか。

 

 

高円寺南診療所は、決して総合病院の替りはできません。

 

しかし、統合医療を実践することにより、初診の段階で何らかの方向性と治療に関する何らかの有益な示唆を患者さんに提供することにより、不必要なドクターショッピングを減らすための努力を続けてきました。

 

この点に関しては、すでに30年近い実績があります。

 総合医療・プライマリケア

 

<総合医療とは寄せ集めの医療である!?>

 

 

先週末の2日(土)は、千代田区一ツ橋(地下鉄神保町駅近く)の日本教育会館にて開催された

 

<日本疼痛心身医学会 第30回記念大会 テーマ:慢性の痛みの原因を考える>に出席してきました。

 

 

メインテーマの<慢性の痛みの原因を考える>90分のシンポジウムではNPO法人線維筋痛症友の会理事長の橋本裕子さんと共同座長をつとめてきました。

 

テーマ慢性の痛みの代表格として、線維筋痛症を中心にレクチャーとディスカッションが行われました。

 

 

4人のシンポジストの一人は歯科口腔外科医で「薬物療法なしに初回面談だけで寛解に至った咬合異常感症」というタイトルで外来森田療法での診療実例を紹介してくれました。

 

大会事務局のある千代田国際クリニックからは「痛みの音楽の嗜好性について」など、またNPO法人線維筋痛症友の会からは「元医療者・線維筋痛症患者が考える痛みの原因とアプローチ」という発表がありました。

 

 

このシンポジウムの座長を経験することによって、新たに改めて気付いたことは、慢性的な痛みの治療は、病気による苦痛のみならず苦悩とともに生きていく人間そのものについての支援が必要だということです。

 

それから、日頃、患者さんと接している家族、友人あるいは職場での人間関係が決定的に大きな意味をもっているということもあるということです。つまり、

 

 

痛みというものを身体症状として、その患者さんの人格と切り離して対応するのではなく、心理的、社会的、さらには実存(生きる意味)の課題にまで意思疎通をはかっていかなければならないということを再確認しました。

 

病気の原因として社会性も大きくかかわってくるため、単独ではなくグループでのケアやサポートも大切です。

 

この実存は、一人一人が異なる個性を持っているのと同様に個別的なものであるため、診療ガイドラインのような十把一絡げの対応には限界があります。

 

つまり、病気の治療と病気とともに生きている個人のサポートを同時に行っていくためには、個別性が重要なカギを握っています。

 

これは個人としての人格を尊重した医療の提供に繋がります。

 

このような全人的医療を実施するためには、多職種でのチーム医療が有用ですが、そのチームの専門メンバーがバラバラで相互のつながりを欠くようなものであれば、それは人材の寄せ集めに過ぎません。

 

 

日本の総合病院での医療の多くは、身体疾患と精神疾患に二分し、総合病院を名乗っていても精神疾患を除外、かつ身体疾患については、内科系と外科系に二分しています。そのようにして、専門領域の細分類を徹底的に行い、患者を病院や専門医の都合だけで振り分けていくのが通例です。

 

そして、もし、病気が単純でありふれた病気であれば、そもそも総合病院を受診しなければならない必然性は乏しいですし、

 

複雑多岐で複合的な難病であれば、各科を回された挙句、病(やまい)の全体像は判らずじまい、ということになりがちです。

 

ひとたび分類に成功すれば、効率的な大量生産的医療サービスの実施が可能ですが、そこから漏れてしまった患者さんの扱いは惨憺たるものと言わざるを得ません。

 

 

現に<大学病院や大きな総合病院で、いろいろな検査をしてもらいましたが、どこに行っても異常なしで、別の科にいって欲しい、といわれて困っています>

 

あるいは、<いろんな病気にかかって、いろんな病院に通っていますが、病気の数が増える一方で困っています。>ということで高円寺南診療所に辿り着いたという患者さんが後を絶ちません。

 

これは、いわゆる大病院とされるところが、多数の細分化専門医療(島)の寄せ集めに過ぎないため、その島と島の間の大海にはまってしまった患者さんを救い上げることが難しくなっているということが実情なのだと思います。

 

また、総合病院的医療によって<多数の病気にかかってしまうような情けない自分>と思い込まされていた患者さんが少なくありません。

 

そうした患者さんの不健康の根本原因を、ともにたどっていく作業を丁寧に行うことによって、多数の病気がバラバラに無秩序に発生したのではなく、それらは相互に関連しあっていること、

 

それにもかかわらず<肝心な核心の病気の治療が手つかずであった>ため症状が増え続けているということを説明し、納得していただけると、無駄な病院巡りから解放させて差し上げることができます。

 

 

そうして、このような患者さんの多くは、決して特別な方々ではなく、ごく普通の常識的な人々なのいのであって、総合病院では、何らかの病気が見いだされたとしても、必ずしも重要な問題点のすべてが見いだされる仕組みにはなっていないことを、しっかりと認識しておく必要があると思います。

 

 

個性をもつ個人の初期対応として大切なのは、個性を持つ個人としての人格を尊重した全人的医療に則った医療の実践にあると思います。部分の寄せ集めで全体像が見えにくい総合医療から、体系的で全体像がみえやすい統合医療への転換が望まれるところです。

メタボとは?Nogucciでも解る基礎知識③

 

 

<メタボの危険性>

 

メタボとは

「内蔵肥満に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさり、

心臓病や脳卒中などの動脈硬化性疾患をまねきやすい病態です。」

 

 

何故メタボが危険なのでしょうか?

 

「心臓病と脳卒中を合わせると日本人の死因の1/3を占めますが、いずれも動脈硬化が原因となって起こることが多くなっています。 

 

動脈硬化をすすめる危険因子としては、高血圧・喫煙・糖尿病・脂質異常症(高脂血症)・肥満などがあげられています。 

 

これらの危険因子はそれぞれ単独に動脈硬化を促進すると考えられていますが、それぞれの程度が低くても、これらの危険因子が重なれば、動脈硬化によって起こる心臓病や脳卒中の危険が高まることがわかっています。

 

1つ1つは小さくても、束になってかかってこられると危険が増す、ということですね。

 

まるで3本の矢のようです。

 

 

さらにメタボリックシンドロームの怖い点は、

 

①自覚症状がほとんどない。

 

②本人はとても元気で病気のことは頭にない

 

③生活習慣が好ましくないということを認識していない

 

④しかしこの間にも動脈硬化はどんどん進行している

 

 

つまり、気づかない、わかっていても無関心のうちに、どんどん危険が増大していくということです。

 

 

「こうして本人が気づかない、あるいは無関心でいるうちに、動脈硬化が進行して、ある日突然心臓発作や脳卒中をおこし、そのまま死への道をたどる人も少なくありません。たとえ助かっても後遺症をのこし、寝たきりになったり介護が必要となる不自由な生活を何十年も続けることになります。」

 

このような事態にならないように、定期的に検査を受けて今の状況をまず認識することが重要ですね。

 

因みにNogucciの一族、特に男性は動脈硬化に関係する病気が多いのです。

 

特徴として、

①ビール腹(内臓脂肪が多かった?)

②定期的な検査を受けていなかった(滅多に病気をしない)

③血圧高い

④ヘビースモーカー

⑤毎日飲酒

⑥塩分過多

 

うーん、ここれでは…

 

反面教師として、自分も気をつけます。

統合医学(東西医学、代替・補完医療)

 

<総合病院VS統合診療所>

 

Q1.総合病院とは何か?という質問に答えることは、意外に難しいと感じます。

 

かつては許可病床数100床以上で主要な診療科(最低でも内科、外科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科の5科)を含む病院であることが、医療法で規定されていました。

 

しかし、1996年の医療法の改正によりこの規定は廃止されているようです。

 

 

なお、医療法では削除されたにもかかわらず、現在でも総合病院の名称を残す民間病院は多いです。

 

それらは一般的に、多数の診療科を有している、その地域の中心的な病院である、二次救急以上に対応する救急病院としての機能がある、などの理由によるものらしいです。

 

 

 もっとも、総合病院を考える前に、そもそもQ2.「病院」と「診療所」の違いは何か?

 

という質問には明確に答えておく必要があるでしょう。

 

病院」とは、医師又は歯科医師が公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業を行う場所と定義され、

 

病床数20床以上の入院施設(病棟)を持つものを指します。

 

無床もしくは19床以下のものは診療所(入院施設を持つ場合は有床診療所)ということになります。

 

つまり、病床数の有無あるいは規模のみによって病院と診療所が区分されているに過ぎないということです。

 

 

さらに、Q3.「診療所」と「医院」、「クリニック」との違いは何か?という質問を受けることがあります。

 

診療所は医療法で定義付けされた名称ですが、医院やクリニックは医療法上の名称ではなく通称です。

 

医療機関であれば、一般的には、診療所と同じ意味で使用されることが多いです。

 

ただし、「医院」という名称は「医を司る所」という意味で、その名の通り「医療を提供する施設」という意味を持ち、古くから存在していたといわれ、医療機関の規模の大小にかかわらず用いることは可能なようです。

 

ただし、医院と名乗る病院はとても例外的であり、私の知る限りにおいては順天堂大学医学部付属順天堂医院の他には知りません。

 

 

クリニックというカタカナ名称は、モダンで最先端の医療を提供してくれそうな印象を一般患者に与えるためか、現在では流行りのようです。

 

しかし、それはまったく根拠のないことであり、あくまでも開設者の思い入れや趣味の問題であり、実質的な違いは無いと思います。

 

 

Q4.総合と統合の意味の違いは?

 

総合という言辞について一般論を展開するのが、ここでの目的ではないので、総合医について大辞泉に掲載されている興味深い記載をご紹介します。

 

<(総合医)とは、性別・年齢・疾患を問わず、幅広く診断と治療を行う医師。⇒家庭医とほぼ同義で使われることが多い。

◆「総合医構想」を進める厚生労働省は、地域の⇒開業医を総合医と認定することで、地域の中核病院への過度な集中を緩和し、初期治療と専門医療との役割分担を明確にすることを目指しているが、開業医の負担が増大するだけで⇒地域医療の再生にはつながらないとする反論もある。>

 

 

私は、この反論に賛成します。その理由は、総合医は総合病院にこそ必要だと考えるからです。

 

総合医のいない総合病院の総合とは、「専門医の寄せ集め」医療を提供している病院であることを公言しているようなもの、といっても過言ではないと思います。

 

最近、病院総合医に期待がもたれていますが、相当な努力と工夫とともに、試行錯誤が繰り広げられていくことでしょう。

 

 

 

これに対して、統合はどうでしょうか。総合医という言葉はあっても統合医という言葉は確立していません。

 

<(統合)とは、二つ以上のものを合わせて一つにすること。>

 

(大辞泉より)ですが、私はこの定義に不満です。

 

たとえば人間の存在は本来一つの統合体であって、それを医学や医師の都合で縦割りに分割して専門領域を構築しているに過ぎません。

 

統合が意味する内容の方向性が真逆であるということです。

 

 

厚生労働省に提言したいことは、開業医を総合医にするのではなく、現場での統合医養成を支援していただきたいということです。

 

一人の診療所の開業医が総合病院のような仕事をしようとしても、とうてい患者さんの信頼は得られないでしょう。

 

このことは、平成元年以来、高円寺南診療所での医業を実践してきた医師として、はっきりと断言できます。国の思惑(国策)と民の希望(対策)の方向性には、如何ともしがたい隔たりがあります。

 

 

私の提唱する<統合医>とは、たとえば、複数の専門医を受診していて、自分自身の健康状態の全体像が把握できなくなって途方に暮れている患者さんに羅針盤を提供し、安心して健康管理を続けていくことができるように支援する存在です。

 

統合医が不在であるということは、素人である患者さんやご家族に彼ら自身の健康状態の全体像を統合的に把握させることを強いることに等しいのではないでしょうか。

 

大多数の医師ですら担いきれていない高度な判断を、インフォームドコンセントあるいは自己責任の原則を大義名分として患者さんに背負わせ、ややもすれば押し付けているような現実に、現代医療のグロテスクでいびつな側面を感じざるを得ません。

 

患者さんの臓器という部分ではなく、全人的健康の視点から患者さんの人格を基盤とする人権を擁護できる統合医こそが真の主治医であり、必要に応じて複数の臓器別専門医との間で治療方針を巡って調整したり、患者さんの真のニーズを代弁したり、意見を提案することなど高度な専門性が統合医には求められることでしょう。

 

 

そうした統合医としての機能を身につけるための具体的なカリキュラムを私は具体的に提供することができます。

 

それは、まず予防医学や救急を含む内科医としての基礎研鑽を積むこと、

身体面と精神面の両面からアプローチできる心療内科の研鑽を積むこと、

さらに、家庭とともに生活環境の場である職場での健康管理、つまり産業医学の研鑽を積むことによって、全人的医療を実践できるようになること、

また、超高齢社会であることを踏まえて、西洋医学の限界を謙虚にわきまえ、東洋医学(漢方・鍼灸医学)を併用して、養生法や鍛錬を法を指導し、無理や無駄の少ない、より安全で有効な医療を提供することによって、持続可能な保険医療システムを支えていくことができるようにすること、

以上のカリキュラムは最低でも10年以上あるいは生涯学習として研鑽を続けていかない限り、身につけることはできません。

 

 

僭越ながら、私の知る限りにおいて、上記のレベルに到達しているわが国の医学部教授は皆無に等しいのではないか、と考えます。

 

特定の領域の特定の分野の指導医に過ぎない我が国の医学部教授であっても、チームを編成することによって総合医の教育までは可能であると考えますが、統合医の育成に至っては、到底望めません。

 

 

統合医になるためには、自称総合病院ではなく、現に統合医療を実践している統合診療所統合医療指導医(未制定)の下で研鑽を積む以外に方法は無いと思います。

 

もう少しツボの世界を見ていきましょう。

 

 

今回は「少商(しょうしょう)」です。

 

IMG_2385

場所は親指の爪の根本の内側から数ミリのところにあります。

 

 

「扁桃炎」「耳下腺炎」「発熱」「気管支炎」「肺炎」「上肢の運動障害」等に効果があります。

 

 

<参考文献>

このツボが効く 先人に学ぶ75名穴       谷田伸治 

 

 

経穴マップ イラストで学ぶ十四経穴・奇穴・耳穴・頭鍼      監修  森 和

                                      著者  王 暁明・金原正幸・中澤寛元 

 

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

東洋医学(漢方・中医・鍼灸)

 

<表と裏の見分け方>

 

 

漢方医学は「の医学」であると言われます。証とはその病状に対応する漢方処方名とします。

 

たとえば、葛根湯が最適処方である病状である場合は、葛根湯の証、と呼びます。

 

これに対して現代中医学の立場では、個々の病人の臨床症状、病理変化、病因あるいは体質的特徴までを総括した現時点での治療上の問題点となる証候を表現したものとしています。

 

 

いずれにしても、患者の証を知るための最初のステップは、の鑑別です。

 

 

表・裏は、病変部位の①位置や②深浅に加えて③病状の経過の早遅および④病状の軽重を相対的に区分する複合概念です。

 

そして表と裏との移行部を半表半裏(ハンピョウハンリ)といいます。

 

 

表の領域(皮膚、関節、筋肉)に現れる初期(三陽病期経証)の病状を表証、裏の領域(心肺などの胸腔内臓器、消化管などの腹腔内臓器)に現れる進行期(三陽病期腑証以降)の病状を裏証といいます。

 

三陽とは太陽・陽明・少陽という三つの病期を意味しますが、今回は説明を省きます。

 

 

表証は、悪寒(寒気)、発熱、発汗、疼痛(頭痛、関節痛、筋肉痛)など、

 

裏証は、腹部症状(腹満、便秘、下痢、腹痛など)など、

 

半表半裏の領域(口腔から横隔膜付近までの器官)が病むことによって生じる症状は、口苦、喉の乾き、咳嗽、食欲不振、嘔気、胸脇苦満、などです。これも裏証に属します。

 

 

一般に病邪が外から人体に侵入して惹き起こされる病気を外感病といいます。

 

 

ところで、人体は経絡という気・血・水(津液)が運行する際の通路である経絡(ケイラク)を通じて一つの有機体としての調和を保っているとされます。

 

外感病は体表より経脈を通って、それらに連なる臓腑(五臓六腑)に侵入する、という進行の経過を示します。

 

病邪が経脈上にある間は表証、臓腑に至れば裏証です。

 

ここで経脈とは、経絡の中の主幹であって、一定の巡行経路を持つものとされています。

 

経穴(いわゆるツボ)のほとんどは、この経脈上にあります。これは針治療の反応点でもあります。

 

 

なお、病変部位が表にあっても、その原因部位が裏にあるものは裏証とします。

 

たとえば、はしか(麻疹)の発疹は表証であるのに対して、アトピー性皮膚炎の皮疹は単なる表証ではありません。

 

ですから、ステロイド軟膏による治療は表証に対する対症療法に過ぎないので、原因療法を併用しない限り完治は難しいと考えるのが東洋医学(漢方、中医学)の見方です。

 

また、線維筋痛症の病変部位は、表証、半表半裏証、裏証のいずれにも及んでいますが、その原因部位は表にあるとすれば、表証と考えます。

 

 

表証に対する治療法は発表の法であり、裏証に対する治療法は和、瀉、消、清の各法を選択して用います。

 

それぞれの治法に対応する漢方処方があります。

 

 

高円寺南診療所では、患者さんの一定の病状に対して、現代西洋医学的病名による診断とともに東洋医学的な証の見立てを行うことによって、表面的な症状の緩和にとどまらず、より本質的で根本的な有効治療を心掛けています。