一般内科(循環器・消化器・内分泌・代謝・栄養関連の病気)

 

< 高血圧性心疾患の超音波検査>

 

 

高血圧に伴う心臓病を高血圧性心疾患といいます。

 

高血圧の患者さんの診療に当たって大切なのは、高血圧によって心臓に障害が発生しているかどうかを確認することです。

 

高血圧は冠動脈硬化を促進する最大の因子です。

 

 

高血圧性心疾患は、心臓の左心室の形に変化が現れ、その働きも変化します。

 

つまり、左心室の壁の筋肉の肥大(左室肥大)と左心室の拡張が障害(左室拡張能障害)を主体とする病態です。

 

高血圧があると左心室に持続的な圧負荷がかかることによって左心室の筋肉の壁が内腔に向かって肥大します。

 

これを左室の求心性肥大といいます。この肥大が生じると左心室は広がりにくくなります。

 

これが左室拡張能障害の本態です。

 

 

心エコー図検査は簡便性に優れ、高血圧性心疾患のスクリーニングと経過観察に不可欠な検査です。

 

 

まず①左室肥大のチェックが必要です。

 

なぜなら、高血圧により左室肥大が進行するとともに心血管系の諸症状や障害が増加し、左室肥大が改善して退縮すると、それらが減少するからです。

 

つまり、左室肥大は高血圧の患者さんの予後を決定する重要な独立の因子であるということです。

 

またこうした高血圧性肥大心は常に心筋虚血(狭心症、心筋梗塞の原因)の危機にさらされているといえます。

 

たとえ心電図で左室肥大を認めない場合であっても、心エコー検査は不可欠です。

 

 

つぎに②左室拡張能の評価ですが、これは左室肥大と同様に重要です。

 

心電図で左室肥大を認めない場合であっても、左室収縮能や左室拡張能の評価が必要です。

 

 

また、メタボリックシンドローム糖尿病慢性腎臓病を伴う場合は、たとえ正常高値血圧であっても、リスクは中等度・高度なので、早期に心エコー図検査を用いたスクリーニングを行うべきであるとされます。

 

 

かつては心不全になるのは左室収縮能(EF)が悪い人だと考えられていました。

 

これはエコー技術が未発達で心不全に関連するような妥当な指標がEFしかなかったからです。

 

 しかし、近年になって心臓の収縮能力を示すEFには何も問題がないのに心不全になる患者さんがどんどん増えてきました。

 

このような人の左室拡張能を、現在の発達した心エコー技術を用いて測定してみたら心不全との関連が認められた、というわけです。

 

 

私はEFを重要視した考え方が中心だった時代の研修医だったので、左室拡張能の重要性が最初はピンと来ませんでした。

 

しかし、今後の循環器臨床では、心エコー検査で左室収縮能だけではなく、左室拡張能やその他の新たな指標を取り入れていかないと、なぜ心臓が悪いのかを判断できないということになり改めて勉強をし直した次第です。

 

<新年に向けての準備>

 

一年の計は元旦にあり、という警句があります。

 

広辞苑によれば、一年中の計画はその年の初めに決めておくがよい、ということです。

 

私は、年末になるとこの言葉をよく思いだします。

 

なぜ、思い出すのかは私自身定かではないのですが、それは常日頃、計画立案をすることの大切さを考えているからなのかもしれません。

 

 

これに関連して、四計ということばがあります。広辞苑をそのまま引用します。

 

 

[月令広義]処世術における四つの計(はかりごと)。

 

1日の計は晨(あした)にあり、1年の計は春にあり、一生の計は勤にあり、一家の計は身にありという。

 

また、1年の計は春にあり、1日の計は寅にあり、一家の計は和にあり、一身の計は勤にありともいう。

 

 

元旦というのと春というのでは、時間の長さがまるで違います。

 

この場合の春とは1月から3月頃までの1年の四分の一の季節と考えると、1日に対して3か月です。

 

 

どちらの方針が良いかと比較する前に、考えておくべきなのは、それぞれの計が同じ内容を示しているかどうかです。

 

一年の計は元旦にあり、の場合は、文字通り元旦の一日にはその一年の見積もりをたてること、はかりごと、に相当します。つまり、計画立案です。

 

これに対して、一年の計は春にあり、の場合は、同じはかりごとでも、意味が違うのは明らかです。

 

新年を迎えてから、試行錯誤を繰り返しながら、ゆっくりと吟味して練り上げていくニュアンスが感じられます。

 

 

私自身は、それらのいずれかを択一するのではなく、併用すれば良いのではないかと考えています。

 

しかし、その場合、一年の計は元旦にあり、の解釈は一般のそれとは異なります。

 

私の解釈では、新年の幕開けの<元旦から年間計画に基づく行動を実践しよう>ということです。

 

つまり、計画的行動の実践のためには、年末までにプランは練り上げて準備を完了させておく、ということになります。

 

考え直すのは、実践してからのことです。

 

 

思った通りにならないことは世の常です。

 

だから、早めに実践することが得策だと思います。

 

計画が不備で、期待した結果が得られなくても、その状況判断が早期にできれば、1年の残りの計画修正も早い段階でできるからです。

 

つまり、一年の計は春にあり、の深い意味はここにあるのではないか、と思います。

 

 

英語では1月をJanuaryと言いますが、この語源はギリシャ神話のJanus(ヤーヌス)神だそうです。

 

ヤヌス神は二つの頭をもち、それぞれ西と東を向いているとされます。一説によると、それは去年と今年に相当するのだそうです。

 

1月は去年をふり返り、今年1年間の計画を立てる月、ということになるでしょうか。

 

 

自説を繰り返して恐縮ですが、1月を迎えてから考えるのでは遅いのではないかと思います。

 

とりわけ日本の正月は何やかやあわただしく、じっくりモノを考えてみようという企てさえ頓挫しかねないからです。

 

以上は、私のこれまでの経験を述べたに過ぎません。

 

そこで、私の立場では、という断りをつけてのお話になりますが、まず一年の計は元旦にあり、を活かすために、年末までに残された時間を有効に活用したいと思います。

 

一年の計画立案の第一歩は、この一年間の反省です。

 

現在の立場から冷静に過去を振り返って分析し、その結果得られた情報を、次の年の計画に繋げていきます。

 

 

立案する年間計画は、3つの運営計画です。

 

第一に診療所、第二に水氣道、第三に聖楽院です。

 

これら三つの事業は相互に関連しあっています。

 

 

もし、読者の皆様の中に、現在大きな問題を抱えていて、1年の計どころではない、という状況の方がいらっしゃるとしたら、僭越ながら、一つだけ提案があります。

 

 

今年のうちに、来年に向けての布石を一つ打っておきましょう。

 

ただし、その布石によってすべての問題が解決するなどとは思わないようにお願いします。

 

布石とは祈りのようなもので、だれも傷つけない者であってほしいものです。

 

まずは準備行動です。必要な行動を先延ばしにしていると、結果を吟味するのも遅れてしまい、すべてが後手に回り、チャンスを失うことになりかねないからです。

総合医療・プライマリケア

 

<プライマリケアの定義:日米での比較>

 

 

プライマリケアの最大の失敗は、その言葉自体にあると思います。

 

カタカナではなく、適切な漢字に訳せなかったものでしょうか。

 

私が医学生の頃からプライマリケアという言葉は医療業界内では流行っていましたが、これを学問的に系統的に習得できたという実感が湧いてこないのです。

 

日々の臨床の継続と知見の積み重ねこそが、私にとってのプライマリケアであるし、複数の専門医の資格を取得してみて、かえって少しずつプライマリケアが見えてきたように思います。

 

この何とも歯切れの悪いプライマリケアを、日米での比較を通して、もう一度振り返ってみたいと思います。

 

 

日本医師会では、『日本医師会生涯教育カリキュラム<2009>』における一般目標として、日本のプライマリケアを実質的に説明しています。

 

すなわち、プライマリケア医とは

「頻度の高い疾病と障害、それらの予防、保健と福祉など、健康にかかわる幅広い問題について、わが国の医療体制の中で、適切な初期対応と必要に応じた継続医療を全人的視点から提供できる医師」

(であり、そのための)<医師としての態度、知識、技術を身につける>ことをその一般目標として掲げています。

 

 

ここでまず引っ掛かるのは、①頻度の高い疾病と障害、ということです。

 

頻度が高いというのはどの程度なのかさっぱりわかりません。

 

たとえば関節リウマチの患者数は70万人(人口比1%以下)で専門医制度があり、私もリウマチ専門医の一人です。

 

これに対して線維筋痛症は全国で200万人以上(人口比約2%)と推計されていますが、事実上専門医制度はなく、私を含めて自称専門医ばかりです。

 

一定以上の患者数があって、紹介すべき専門医が不在であれば、プライマリケア医が担当すべきですが、実際にはうまく機能せず、患者さんはたらい回しです。

 

 

次に引っ掛かるのは、②わが国の医療体制の中で、という縛りです。これが意味することは、概ね健康保険制度の枠内で、と解することができると思います。

 

 

しかし、先ほどの線維筋痛症の治療を、健康保険制度の枠内で試みようとすると、十分な治療成果を挙げられないばかりか、多くのプライマリケア医療機関の経営を逼迫することが懸念されます。

 

つまり、健康保険制度には限界や不備があるということです。

 

国民皆保険制度のもとで、健康保険料を支払っている対価として、必要かつ有効な治療が健康保険制度の枠内で供給されないとしたら、不公平極まりない事態ではないでしょうか。

 

そうした患者さんの憤りや悲しみに深く共鳴します。

 

 

さらに気になるのは、③全人的視点から提供できる医師、という文言です。

 

こうした文言をキャッチ・コピーとか政治的あるいは商業的美称というのだと思います。

 

頻度の高い疾病と障害すら適切に対処できず、

わが国の医療体制の中で、どのように全人的視点に立てるというのでしょうか。

 

少なくとも私にはさっぱり実感が湧いてきません。

 

 

そこで、米国国立科学アカデミーの定義(1996年)を参照してみます。

 

すると、「プライマリケアとは、患者の抱える問題の大部分に対処でき、かつ継続的なパートナーシップを築き、家族および地域という枠組みの中で責任をもって診療する臨床医によって提供される、総合性と受診のしやすさを特徴とするヘルスケアサービスである」としています。

 

 

この定義によると、まず①患者の抱える問題の大部分、とは何かが問われます。

 

これは患者視点と医師視点では必ずしも一致しないこともあるので、わかりやすそうな表現ではありますが、とてもあいまいです。

 

ただし、②継続的なパートナーシップという文言は、極端な患者中心主義や医師主導(パターナリズム)は排除されるべきものと理解することができるのではないかと思います。

 

③家族および地域という枠組みの中で、という縛りはありますが、日本のように、わが国の医療体制の中で、に相当する縛りがないため、医療の自由度は米国の方がかなり大きいと言えるでしょう。

 

また、④総合性と受診のしやすさ、という言葉は全人的視点から、という表現より率直であり、より実践可能な指針になりうると思います。

 

 

以上をまとめてみますと、プライマリケアの定義は米国ですでに1996年に提示されているのに対して、

 

10年以上経過している2009年のわが国での定義が、これに優れた内容であるかというと、残念ながら否定的であるということです。

 

世界に冠たる日本の国民皆保険制度による医療、そのように誇らしげに喧伝されてはいますが、個々の患者や臨床医にとっては疑問点が少なくありません。

 

その理由は、以上にお示ししたように日本の定義には、矛盾が多く、制度や理念のみが独り歩きしているからです。

 

それは、第一線の医療を30年近く継続してきた一開業医の偽らざる感想です。

 

メタボとは?Nogucciでも解る基礎知識⑤

 

 

今回は特定健診と、特定保健指導です。

 

 

特定健診・特定保健指導はセットになっています。

 

 

この2つの目的です。

 

平成20年(2008年)4月から「特定健診・特定保健指導」が始まりました。

 

これは40歳~74歳のすべての国民に対して年1回の健診を行い、その結果を踏まえて保健指導を行うことを健康保険組合などの医療保険者に義務づけたものです

 

これまで機会があってもあまり健診を受けなかった、家庭の主婦などの扶養家族や自営業などの人たちも全員が受診することを目指しています。

 

 

被保険者ではなく、医療保険者(医療保険証を発行している団体です)に義務づけているのがポイントです。厚生労働省の本気がうかがえます。

 

 どうして?その理由は。

 

「健康日本21」の中間評価でも示されたように、糖尿病患者やその予備群の増加・肥満者の増加などに歯止めがかかっていません。

生活習慣病の増加を、その川上にあるメタボリックシンドロームにならない段階でくい止めるために、「特定健診・特定保健指導」が実施されることになったのです。

 

要は、メタボリックシンドローム、さらにその先の動脈硬化まで進行させない。

 初期のうちに問題意識を持ち、改善に取り組んでもらおう、というのが最大の目的です。

 

 

 

※特定健診

日本人の死亡原因の約6割を占める生活習慣病の予防のために、40歳から74歳までの方を対象に、メタボリックシンドロームに着目した健診。

 

 

※特定保健指導

特定健診の結果から、生活習慣病の発症リスクが高く、生活習慣の改善による生活習慣病の予防効果が多く期待できる方に対して、専門スタッフ(保健師、管理栄養士など)が生活習慣を見直すサポート

 

 

※「健康日本21」

日本国政府レベルでの健康日本21は、2000年(平成12年)3月31日の厚生省事務次官通知等により策定された。

生活習慣病の予防を目的とし、その大きな原因である生活習慣を改善する運動である。

早期発見、早期治療という二次予防にとどまらず、疾病の発生を防ぐ一次予防に重点対策を置くものである

統合医学(東西医学、代替・補完医療)

 

<日本補完代替医療学会HPから>

 

興味深い学会のHPを発見しました。そのままコピーして、ご紹介することにします。

 

ただし、私、飯嶋正広個人のコメントを挿入し、コメント文は⇒青字で表記しました。

 

私の情報収集法は、常に批判的検証を通して行っています。

 

その一端をお示しいたします。是は是としますが、鵜呑みにするのではなく、非は非として問題提起しながら情報を収集するように心がけています。

 

 

代替医学・医療とは

 

代替医学・医療とは一般の方には、なじみの少ない言葉です。

 

また、その定義についてもいろいろ議論されていますが、日本補完代替医療学会では、[現代西洋医学領域において、科学的未検証および臨床未応用の医学・医療体系の総称]と定義しています。

 

⇒この学会では、①補完代替医療を現代西洋医学領域に限定していること、②科学的未検証および臨床未応用の医学・医療体系とすること、そのいずれにも特徴があります。かなり限定的であるという印象を持ちました。

 

アメリカでは、alternative medicine(代替医学)またはalternative and complementary medicine(代替・補完医学)という言葉が使われています。また、ヨーロッパでは、complementary medicine (補完医学)という言葉が好んで使われることが多い様です。

 

しかし、なかには現代西洋医学と同等かあるいはそれを凌駕する医療が存在する以上、当学会はalternative medicine(代替医学)という用語を用いることとしました。

 

⇒現代西洋医学と同等かあるいはそれを凌駕する医療が存在する、と判断した段階で、上記コメントの②と矛盾しているように思われます。つまり、科学的未検証および臨床未応用の医学・医療体系である段階では、そもそも現代西洋医学との優劣を比較することはできないとするのが通常の科学的思考法だと思います。

 

いずれにせよ、通常の医学校では講義されていない医学分野で、通常の病院では実践していない医学・医療のことです。

 

⇒この学会の立場からすると、高円寺南診療所は、通常の病院ではなく、また通常の病院では実践していない医学・医療にも関与している、ということになりましょうか。もっとも、水氣道®は基本的に現代西洋医学に矛盾しないように体系化していますが、多分に東洋医学的要素を内包しているので、そもそもこの学会が定義する代替医学・医療には該当しないとみることもできるでしょう。

 

 

代替医学・医療の種類

 

近年、新聞、雑誌、テレビ、インターネット等をはじめとする高度情報化の情勢もあって、これら代替医療を求める患者が我が国でも急増しています。

 

一方、他国においても同様な状況が見られ、代替医療が世界的に新しい医学の潮流となりつつあります。

 

アメリカにおいては、1992年米国議会がNIH(米国国立衛生研究所)内において世界的な最先端医学研究施設の一つとしてOAM(代替医療事務局)を設立し、現在、OAMには年4千万ドルの資金が充てられています。

 

OAM設立以来、この分野の科学的研究は急速に進み、ハーバード、コロンビア、スタンフォード大学など10ケ所に研究センターが設立され、一部学生に対する講義も始まっています。

 

 

 代替医療の範囲は広く、世界の伝統医学・民間療法はもちろん、保険適用外の新治療法をも含んでいます。

 

さて、人口比率からみると現代西洋医学の恩恵に預かっている人達は意外に少なく、国連世界保健機関(WHO)は世界の健康管理業務の65から80%を“伝統的医療”と分類しています。

 

つまり、これら伝統的医療が西洋社会において用いられた場合は代替医療の範疇に含まれることになるわけです。

 

代替医療とは具体的には、中国医学(中薬療法、鍼灸、指圧、気功)、インド医学、免疫療法(リンパ球療法など)、薬効食品・健康食品(抗酸化食品群、免疫賦活食品、各種予防・補助食品など)、ハーブ療法、アロマセラピー、ビタミン療法、食事療法、精神・心理療法、温泉療法、酸素療法、等々すべてが代替医療に包含されています。

 

⇒ここで、中国医学(中薬療法、鍼灸、指圧、気功)等を代替医療の具体例に挙げていますが、この学会の立場とは異なり、WHOは現代西洋医学以外の医療も代替医療の範疇として認めているということです。

 

確かに、これらの中には、非科学的であり西洋医学を実践する医師にとっては受け入れ難い内容のものもありますが、作用機構や有効性が科学的に証明されているものが急増しているのも事実です。

 

国立図書館医療目録データベース(MEDLINE)において“代替療法”の名での引用は、1966年以来、年12%の割合で増加しており、在来医療の文献の増加率の約二倍であることがそれを裏づけています。

 

 

代替医学・医療の現状

 

我が国には残念ながら代替医療に取り組む政府機関がなく、この分野では欧米に比し遅れていると見る向きもあります。

 

しかし、実は代替医療を最もよく実践している国が日本だと考えられます。

 

日本では古来より中国薬用植物療法を取り入れ“漢方薬”として使用してきた歴史があり、また世界的に見ても漢方薬を保険薬と認めている数少ない国の一つです。

 

また、鍼灸、柔道整復などの東洋医学も保険適用となっており、多くの患者が日常的に利用しています。

 

一方、アメリカにおいて鍼が医療器具として認められたのはつい昨年のことです。

 

 

医療制度の崩壊が叫ばれている今日においても、我が国は最新・最鋭の現代西洋医学を実践している国であることに変わりはありません。

 

代替医療は、概して毒性が少なく、また患者に対して侵襲の少ない治療法であり、これまで諦めらめていた(⇒諦めていた?学術団体の公式HPのトップ記事としては、校正が不十分なようです。)難病の患者さんにも朗報をもたらすものです。

 

また、薬品による副作用、環境汚染、経済問題、医師に対する不信感など今後21世紀の諸種の医学の問題点を解決し、かつ医療の質の向上に大いに貢献するものと期待されます。

 

このように、患者にとっては、すばらしい選択肢が与えられることになりますが、逆に現代西洋医学を完全に否定し、超自然主義を唱えて科学的根拠のない治療法を押し付け、原始時代へ逆行する愚かなことは当然避けるべきことと考えます。

 

⇒どちらの方面に向けて発信しているのかが不明瞭です。

難病患者が自分の個人的な経験による信念によって他の患者にも同じ方法を半ば強制する現象に対しての継承でしょうか。

それとも国家資格を持たない民間療術家に向けてでしょうか。

まさか、日本の医師免許を持つプロフェッショナルが現代西洋医学を完全に否定したとすれば、医師免許を保持していること自体が自己矛盾となるのではないのでしょうか。

このコメントはナンセンスの極みだと思いました。

 

もう少しツボの世界を見ていきましょう。

 

 

今回は「少衝(しょうしょう)」です。

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場所は小指の爪の生え際から2ミリ手首寄りで薬指側の端です。

 

 

「動悸」「胸痛」「ヒステリー」「肋間神経痛」「咽頭炎」等に効果があります。

 

 

「動悸」によく効くようです。

 

 

<参考文献>

 

 

このツボが効く 先人に学ぶ75名穴       谷田伸治 

 

 

経穴マップ イラストで学ぶ十四経穴・奇穴・耳穴・頭鍼      監修  森 和

                                      著者  王 暁明・金原正幸・中澤寛元 

 

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

 

東洋医学(漢方・中医・鍼灸)

 

< 虚・実の見分け方 >

 

中国伝統医学の中医学理論では、とは、病人の正気と邪気(病邪)との相互の勢力関係を表すものです。

 

これは外感病といって急性感染症などを対象とする場合には有用な理論です。

 

 

この理論では、正気とは病邪に対する身体の抵抗力です。

 

邪気が盛んであれば<実>、正気が奪われれば<虚>とされます。

 

わかりやすく言い直すと、体の正気が不足していて生理機能が衰弱しているものは虚証であり、病邪が充実していて邪気と正気が激しく闘争して、顕著な臨床症状を呈しているのが実証です。

 

 

虚証と判断すれば、病人の正気を補う治療(補法)を行い、実証と判断すれば、病邪を攻撃し排除する治療(瀉法)を行います。

 

 

さて、伝統的な日本漢方では、虚実とは体力の質的な充実度を示す基準になっています。

 

一般的に気・血が充足しているものを実、気・血が不足している者を虚、としています。

 

このような虚・実の概念は、慢性病などを対象とする場合には有用な理論です。

 

 

虚証か実証かを簡単に見分けるためには、伝統的な方法がありますが、発声法を聞き分けるのが便利です。

 

これは、毎日の診療や聖楽院のヴォイストレーニングで

 

 

発声法は、姿勢、呼吸、発語の特徴を観察するのが便利です。

 

 

虚証の人の発声法

 

姿勢は、全体的に弛緩していて緊張に乏しく、肩が下がり、前屈みです。

 

表情は暗く、顔色が悪く、無気力で、目の輝きに乏しく、口角が下がり気味です。

 

呼吸は緩徐で浅い極端な胸式呼吸タイプです。

 

発語は、細く、小さく、発音が不明瞭です。

 

発声は、舌や喉が弛緩し過ぎで、口ごもりがちで、声に力が無く、歌声のピッチは低めですが、歌い続けると音程はずり上がります。

 

歌い方は、消極的で静的で、表現のメリハリに乏しいです。

 

 

実証の人の発声法

 

姿勢は、全体的に過緊張で柔軟性に乏しく、肩が上がり、反り気味です。

 

表情は明るく、顔色が良く、目に輝きがあり、口角は上がり気味です。

 

呼吸は急峻で深く過度な腹式呼吸タイプです。

 

発語は、太く、大きく、発音が明瞭です。

 

発声は、舌や喉が過緊張で、早口で、声に力みが入り、歌声のピッチは高めですが、歌い続けると音程がずり下がります。

 

歌い方は、積極的で衝動的で、表現のメリハリが大げさです。

 

 

<健康的で芸術的な発声法>理想的な発声法は、虚証タイプでも実証タイプでもなく中庸でバランスが取れていてリラックスしている状態での発声です。

 

リラックス状態とは、弛緩状態とは全く異なるものであり、明確に区別されるべきです。

 

リラックス状態とは、固定した状態ではなく、緊張と弛緩の間にあってダイナミックな状態です。

 

つまり、適度な緊張と弛緩の間を自由に行き来できている状態です。

 

これを臨機応変に調節できる準備が整った状態が真のリラックス状態です。

 

 

この理想的な状態を獲得すると、健康増進や潜在的能力の活性化にとても役に立ちます。

 

水氣道聖楽院の活動は、このような能力を獲得するための具体的なメソッドであるといえます。

心身医学科(心療内科、脳神経内科、神経科を含む)

 

<一過性全健忘>

 

健忘とは、過去の一定期間の出来事を思い出せない状態をいいます。

 

 

健忘症とは、陳述記憶の障害を指します。これには前向性健忘(新しいことが覚えられない)と逆行性健忘(発症以前に覚えたことを思い出せない)があります。

 

追想できる範囲により、全健忘部分健忘に分けられます。

 

 

一過性全健忘は、突然誘因なく発症し、発作中は意識清明であるが、前向性健忘と逆向性健忘の両症状を主徴とする症候群です。

 

発作は平均5~6時間続き、24時間以内に消失するといった予後良好な経過をたどります。

 

 

50~70歳代には75%と多いですが、40歳未満の発症は稀です。

 

 

見当識は保たれるが、近時記憶障害のため、同じ質問を繰り返します。

 

発作中の記憶は永久に欠落します。ただし、数唱などの即時記憶、自分の生い立ちなど遠隔記憶は保たれ、意味記憶手続き記憶も保たれるので、車の運転、料理も可能です。

 

 

診断基準(1990年、Hodgeら)

 

1)発作中の情報が、その間ほとんど目撃した目撃者から得られる

 

2)発作中、明らかな順行性健忘が存在する

 

3)意識障害は無く、高次脳機能障害は健忘に限られる(失語や失行はない)

 

4)発作中および発作後に神経学的徴候はない

 

5)てんかんの特徴がない

 

6)発作は24時間以内に消失する

 

7)最近の頭部外傷や活動性のてんかん(治療中、過去2年間に発作があったもの)のある患者は除外する

 

 

原因は未だ不明で、従来から両側の海馬障害によると考えられています。

 

片頭痛、脳血管障害、代謝異常および脳静脈灌流異常などが推測されている他、精神的ストレスなど情動的なもの、入浴、水泳およびバルサルバ負荷が誘因になることが報告されています。

 

 

画像診断では、頭部単純MRI拡散強調像で、発症直後に異常はないが、6~72時間で海馬CA1領域を中心に小さな異常信号を検出でき10日後までに消失するのが観察できることがあります。

 

これは、一過性全健忘の特徴といわれ、診断の一助になります。

 

AO4

 

 

大坂さんの水氣道と私、ステップ3へのコメントです

 

 

気付いて試す

 

 

<水に委ねる、仲間に委ねる、水氣道に委ねる>

 

 

大坂さんは定期的に水氣道に参加され修錬されています。

 

その過程で、水に体を委ねる大切さや、リズムを刻む動作の大切さに気付かれているようです。

 

このような経験を繰り返していると、仲間に委ねること、そして水氣道に委ねることができるようになり、気付きの大切さそのものに気付くことができてくるようです。

 

 

<気付いて、仲間と共にそれを自分で試してみて、また新たな気付きが生まれる。>

 

何をするにしても、人は気付き試行錯誤して最終的には自分自身が納得してこそ、本当に身に付くのだと思います。

 

しかし、自分ひとりで試行錯誤しても解決できないこともあるでしょう。

 

幸い水氣道には支えてくれる水と仲間が居ます。

 

対番制度もあります。仲間と一緒になり課題を解決することで、より大きな自信ともに仲間との絆が得られるのです。

 

 

<自分本位では気づけない。>

 

また、気付きが必要なのは自分自身の技術や知識だけに留まりません。

 

皆が楽しく続けているだろうか?負荷をかけ過ぎていないだろうか?など、仲間への配慮や奉仕を通してはじめて気付けることもあります。

 

より良い気づきのために、また多くの気づきを得るためには、自分のできる範囲で、身近な周囲の仲間と協調したり、分かち合ったり、そうして日頃からグループ全体に奉仕することを心がけていることが大切なのではないでしょうか。

 

 

<継続は力なり!>

 

水氣道は皆が楽しく無理なく定期的に続けていけることが基本だと思います。

 

その点を頭に置いて稽古を行っていくと、また違った方向からの気付きが生まれてくるでしょう。

 

しばらく稽古を中断した仲間が戻ってくると、大きな喜びが生まれます。

 

継続とは、過去に向けてではなく、「今、ここで」そして、今から将来に向けての覚悟にあると思います。

 

日々継続、日々実践、それによって、今をいきいき、のびのびと生きることができ、将来を無据えてたくましく過ごしていけるという自信が培われるのではないでしょうか。

 

 

<気づきのヒントは与えられるものであるが、真の気づきは自ら獲得するもの>

 

時折、飯嶋先生から『気付くかなぁ』という様な質問をいただきます。

 

直ぐに答えが閃く時もあれば、まったく出てこないこともあります。

 

私自身もその点について目下勉強中です。

 

 

色々な方面からの気付きとそれに対する試行(考える)の繰り返しにより、私たちは仲間と共に成長していけるのだと思っています。

 

 

私は、今回の大坂さんの文章で、この大切さを再認識させていただきました。

 

ありがとうございました。

 

 

日本水氣道協会 水氣道2級(中等修錬生)

 

調血航法 直伝 加藤 博文

総合リウマチ科(膠原病、腎臓、運動器の病気を含む)

 

<皮膚に現れる内科の病気:予後不良の皮膚筋炎の早期鑑別>

 

皮膚筋炎(DM)は、特徴的な皮疹によって容易に診断できるが、治療は難しいことがあります。

 

 

治療の第一選択は副腎皮質ステロイドです。ステロイド抵抗例にはアザチオプリン、メトトレキサート、シクロスポリン、タクロリムスなどの免疫抑制薬が併用されます。

 

さらに抵抗性を示す難治性例では免疫グロブリン大量療法が適応になります。

 

 

DMの診断基準は、まず(1)皮膚症状です。ヘリオトロープ疹、ゴットロン丘疹、ゴットロン徴候のうちの1項目以上を満たすことです。

 

ついで、経過中に、以下の項目中4項目以上を満たすものです。

 

(2)上肢または下肢の近位筋の筋力低下、

(3)筋肉の自発痛または把握痛、

(4)血清中筋原性酵素(クレアチニンキナーゼまたはアルドラーゼ)上昇、

(5)筋電図の筋原性変化、

(6)骨破壊を伴わない関節炎または関節痛、

(7)全身性炎症所見(発熱、CRP上昇、または赤沈亢進)、

(8)抗アミノアシルtRNA合成酵素抗体(抗Jo-1抗体を含む)陽性、

(9)筋生検で筋炎の病理所見(筋線維の変性及び細胞浸潤)

 

なお、皮膚症状のみで皮膚病理学的所見が皮膚筋炎に合致するものは無筋症型皮膚筋炎とされます。

 

 

抗アミノアシルtRNA合成酵素抗体(抗ARS抗体:抗aminoacyl-tRNA synthetase抗体)陽性例は、臨床的には、筋炎、間質性肺炎、発熱、レイノー現象、関節炎、機械工の手などが特徴です。

 

間質性肺炎はステロイドに反応するものの、再燃を繰り返しつつ慢性的に経過するため、カルシニューリン系の免疫抑制剤を併用することが多いです。

 

 

抗Jo-1抗体陽性例は再発しやすいが、副腎皮質ステロイドに対する治療反応性は良好です。

 

 

2016年から、抗Mi-2抗体・抗TIF1ɤ抗体・抗MDA抗体(抗CADM-140抗体)検査が保険収載され、DMと確定診断された患者のみ測定できるようになりました。

 

 

抗Mi-2抗体陽性例は、皮膚症状が強い一方、肺病変や悪性腫瘍が少ないタイプのDMであり、ステロイド療法に反応し予後は良好です。

 

 

抗TIF1ɤ抗体陽性例は、悪性腫瘍合併DMの約半数で陽性になります。

 

 

抗MDA5抗体(抗melanoma differentiation-associated gene 5抗体)陽性DMでは、とくに、急性進行性間質性肺炎を合併しやすいことが知られています。

 

この抗体はDMの15~30%で陽性になり、抗Jo-1抗体よりも高頻度に出現する一方、抗MDAA5抗体は多発性筋炎(PM)では陽性になりません。

 

 

抗MDA5抗体陽性DMの特徴は、筋症状に乏しいCADM(clinically amyopathic DM),皮膚潰瘍を伴うゴットロン徴候、間質性肺炎の合併、血清フェリチン高値などがあります。

 

約半数の患者では、間質性肺炎は急速進行性の経過をたどります。

 

致死率が高く、ステロイドパルス療法に加え、早期より積極的に免疫抑制薬を併用する必要があります。