日々の臨床 ①:12月24日日曜日<心身医学から統合医学へ:聖楽院での実体験例>

統合医学(東西医学、代替・補完医療)

 

<心身医学から統合医学へ:聖楽院での実体験例>

 

MU2

 

 

水氣道と聖楽院とは、高円寺南診療所が生んだ独創的な心身医学療法です。

その独創性とは、

①参加者が治療であることを殊更に意識せず楽しむことができること、

②集団での力動を独自の手法によって引き出していること、

③教え込むのではなく、自ら感じ取る、気づきを促す方針であること、

などに顕著に顕れていると自負するところです。

 

 

さて、M.Uさんは、水氣道の会員でもありますが、聖楽院の活動にも参加を始めて数か月で、第1回の聖楽院内部コンサートに出演し、4曲の課題曲を見事に歌いきりました。

 

人前に立つだけで極度に緊張してしまうM.Uさんは、短期間のうちに人前で堂々と歌えるようになっているとは、にわかには信じられなかったようです。

 

一時は、直前に参加を取り消してしまおうかと随分悩んだようですが、M.Uさんにはささやかな自信と勇気が育まれていたようです。

 

ただし、本番を前にして極度の持続的な不安や緊張によって、その変化に気づけないでいたようです。

 

 

果たして、M.Uさんの躊躇は、結果的に無駄にはなりませんでした。

 

彼女が参加できた意味はとても大きく、他の9名の参加者の励みにもなりました。

 

何よりも<参加できて良かったです>という彼女の素直な感想がすべてを物語っています。

 

 

仲間の存在によって、彼女は価値ある気付きを得ることができました。それは、聖楽院が何を目標にしているかということの本質にも通じる内容でした。

 

それは、紛れもなく<皆さんと時間を共有して、空間をつくりあげる事>です。

 

 

彼女は、今、ここで、を意識するにとどまっていません。

 

そこからさらに、仲間と何を共有して、何を創りあげるのか、という予め提示されていない、見えない課題を洞察して、本当に大切な価値あることに自ら気づいて認識できたこと、は、とても意義深い体験です。

 

 

このような体験を通して開眼することができると、

<大きな声が出るか、音を外さないかなどが問題ではなく>と思えるようになります。

 

すると、どうでしょう。ご本人にとっては、緊張のためか、本来の実力を発揮できなかったように感じているとのことを伺いましたが、実際には、彼女は、いつもより明瞭な声で、音程ばかりかリズムも外すことなく、のびのびと明るく歌うことができたのです。

 

 

内部発表会とはいっても、レッスン生10名の他に、お客様が10名、指導者4名(ソプラノ歌手、テノール歌手、フルート奏者、クラリネット奏者、各1名)が臨席する中での演奏会でしたので、それなりの不安や緊張があっても当然なのですが、M.Uさんにうかがってみると、予測していたほどの緊張には襲われずに済み、それよりも充実感で満たされたという感想を貰いました。

 

 

4名の指導者の演奏会を楽しみ、感動した後に、その4名からの講評を受け取ったM.Uさんは、新たな課題を胸にして、益々輝いているように見えます。

 

 

聖楽院の、この内部発表会を通して改めて感得できたことは、水氣道と聖楽院の繋がりの意義であり、また、これらの繋がりは心身医学を超えて統合医学へと発展していける兆しを感じさせるには十分な経験であったということです。