統合医学(東西医学、代替・補完医療)
<モーツアルトの音楽はなぜ心身の健康のために良いのか>
モーツアルトの音楽による音楽療法を考案したのは、フランスの耳鼻咽喉科医であったアルフレッド・A・トマティス博士です。
トマティス博士がなぜモーツアルトの音楽に着目したかについて、詳しいことは勉強中ですが、モーツアルトの音楽の特徴にヒントが隠されています。
モーツアルトの楽曲の第一の特徴は3,500から4,000ヘルツの周波数の音域が豊富であることす。
楽曲の周波数は音の高さを決定します。人間の耳は、3,500ヘルツあたりが一番よく聞こえる(大きな音に聞こえる)そうですが、これは高音領域です。
この周波数の高音は延髄より上位の脳神経系を賦活するとされています。
とくに副交感神経が活性化するようです。左右12対ある脳神経のうちの第10脳神経は迷走神経です。
この神経は脳神経の中で唯一腹部にまで到達する神経です。
この神経は下部延髄に起こり各臓器に広く分布する多数の枝を延ばしています。
首から腹(消化器における下端は横行結腸右1/3)までのほとんど全ての内臓の運動神経と副交感性の知覚神経は迷走神経に支配されています。
モーツアルトの楽曲の第二の特徴は、透明感のある音によるシンプルな旋律(メロディー)による反復が多いということです。
これは聴く者の気分を落ち着かせ穏やかな状態へと誘ってくれます。
モーツアルトの楽曲の第三の特徴は、和音(ハーモニー)の多用です。
これによって揺らぎ音である倍音の効果が生まれます。私たちの聞いているほとんどの音は、基の音に対して2倍・3倍・4倍 の周波数の音が一緒に耳に届きます。
この倍音の付き方の違いが、音色になります。
そして揺らぎ効果は高周波帯の音が延髄や視床下部に効果的に作用します。
その結果、副交感神経系への刺激が強まります。
アセチルコリン、βエンドルフィン、メラトニンなどの分泌が起こり、また唾液などの外分泌も増え、それに伴い免疫蛋白質であるIgAが増加します。
また血流が改善することで体温も上昇し、いっそう免疫力を高めます。
ここで、共鳴や倍音に話をするために「フォルマント」について説明します。
基音の上にはさまざまな倍音が乗っていますが、すべての周波数に均等に分布しているわけではありません。
声に含まれる周波数成分の分布において特に集まっている部分をフォルマントといいます。
このフォルマントが3000Hz付近に集まると「よく届く声」、「共鳴している声」に聴こえます。
3000Hz付近は耳の蝸牛が共鳴しやすいからです。
逆に、届く声が出せるようにするためには「共鳴感覚」を身につける必要がありそうです。
超一流の歌手の声は、周波数が 3,000 5,000 8,000 ヘルツあたりにしっかりとした倍音を伴っているそうです。
これは、声の音程や声種、性別に関係なく共通です。3,000へツルの倍音を持つ声は、大きな声に聞こえますし、いくら力任せに頑張って、大きな声を出しても、ここの倍音が伴っていなければ声は遠くに届きません。
近くで聞く耳触りで、ちょっと離れると聞こえない、という近鳴り(ちかなり)と呼ばれる、不快で効率の悪い声になってしまいます。
また8,000ヘルツは、ピアノの一番高いオクターヴあたりで、この倍音がずっと鳴り続ける声は、最高の価値があるそうです。
私たちは耳に聞こえない超高周波や超低周波を一緒に聞くと、脳には、リラックス時のα波、さらに、深い瞑想時のθ波が発生します。
超音波は脳幹に作用して、血行を促し・血圧を正常にし・免疫力を高めますが、この超高周波は、モーツアルトの楽曲を奏でる音域の広いオーケストラ、鐘の音や風鈴などの他に、鳥のさえずり・虫の声・川などの水の流れの音などからも出ています。
水中運動である水氣道の稽古中も、実はこうした高周波音が発生しています。
私たちにとって身近なCD などの現代のデジタル音は、耳に聞こえない20000ヘルツ以上の超高周波数の音域はカットしてあります。
それでは、かえってリラックス作用を損なうことになってしまうことになります。
私が水氣道や聖楽院を設立した理由の一つは、もっと自然の音や生の演奏に身近にたくさん触れて、体と心、耳と脳を潤す必要があると考えてきたからでもあります。
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