東洋医学
<寒・熱の見分け方>
漢方でいうところの寒と熱とは、病邪に対して身体が抵抗するときに表わす反応様式を大別したものです。
漢方では、その人の体質・気質の特徴を証(しょう)といいますが、寒と熱は、それぞれ寒証、熱証という用語が用いられています。
寒証では、熱を消費し、吸収する反応を呈します。これは、病邪に対して悪寒(さむけ)が生じるだけで発熱しないものです。
熱証では、熱を産生し、発散する反応を呈します。これは、病邪に対して発熱して反応するものです。これには、実熱と虚熱の別がありますが、別の機会に説明します。
実際の臨床の現場では、典型的な寒証(悪寒)や典型的な熱証(発熱)のいずれかではなく、
上熱下寒(上半身がほてり、下半身が冷える)や
表熱裏寒(体表はほてっているが、体内は冷えている)など
寒熱錯雑(かんねつさくざつ)といって、寒と熱が身体の部位によって互いに相反する症状を示すことが多いです。
健康人は上熱下寒とは逆に、頭寒足熱(頭部がスッキリしていて、足元が暖かい)状態にあります。
自律訓練法は第5公式(腹部温感訓練)と第6公式(額部冷感訓練)までを習得すると、自分でこの状態をもたらすことができるようになります。
水氣道では、上半身は室内空気(25~28℃程度)で下半身は微温水(30℃程度)で頭寒足熱型の温熱環境下で有酸素運動を行うため頭がスッキリし、下半身にリラックス効果をもたらします。
この寒熱に対する身体感覚が正常に働けば、心身ともに快適で健やかな日々を過ごすことや生産的でさらには創造的な活動を促進することが可能になります。
一般的には、風邪のひきはじめには、温かくて消化の良い飲食物を軽く摂取し、しっかり入浴し、早めに就寝することが大切です。
水氣道では概ね3級の初等修錬生以上になると、以前より風邪に罹りにくくなることでしょう。
そして、支援員以上の有段者になる頃には、仮に風邪をひいても初期の段階であれば、稽古を休むことはほとんどなくなることでしょう。
むしろ、しっかりと稽古した後で、体を冷やさないように配慮しながら早目に帰宅して養生するという選択をした方が自然な回復が早いことに気づくことができるようになるでしょう。
ただし、どの程度が風邪の初期症状であるかという見極めは熟練を要します。
ですから、体験生や訓練生の間は、無理をせずに稽古を休むことも大切です。
しかし、体調不良を最初に気が付くのは医師ではなく、本人自身なので、いずれ水氣道を続けることによって、その兆しを早めに気づけるようになればしめたものです。
水氣道で鍛えた心身は、イキイキ、のびのび、そして感度が高くて逞しいものとなっていくのです。
それは対外的な行動体力のみならず、対内的な防衛体力(病邪に対する抵抗力や免疫力)を高めることができるからです。
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