外国人診療と外国語:11月8日<ドイツ語圏の医学との交流>

 

 

< ドイツ語圏の医学との交流 >

 

 

インターネット検索で、興味深いタイトルの書物を見つけました。

 

日独医学交流の300年 (1992)E.クラース 比企 能樹 (ドイツ語) ハードカバー

 

原著はドイツ語で、日本語の翻訳の本です。

 

ドイツ語で、以下の紹介文が掲載されていました。

 

ドイツ語の引用文の後からお読みください。

 

 

Aus dem Geleitwort von Dr. H. Götze: "Das 50jährige Jubiläum der Japanischen Medizinischen Gesellschaft 1984 in Tokyo gab Anlaß zu einem historischen Rückblick auf Beginn und Entwicklung der wissenschaftlich-kulturellen Beziehungen zwischen Japan und Deutschland....Die Kontinuität, aber auch den Wandel ausführlicher darzustellen, ist Anliegen des Buches." Die Geschichte der Zusammenarbeit in der Medizin zwischen Deutschland und Japan reicht bis ins 17. Jahrhundert zurück. Erstmals werden diese Beziehungen ausführlich in einem Buch dargestellt. Vertreter beider Länder lieferten Beiträge aus verschiedenen Teilgebieten der Medizin, die jeweils in deutsch und japanisch abgedruckt sind. Dieser außergewöhnliche Band mit seinen zahlreichen Fotografien wird nicht nur Ärzte, sondern auch Geschichtswissenschaftler faszinieren.

 

 

あまり時間が無いので、サックリと訳して見ます。

 

 

H.ゲーツェ医師による序文から:

「東京で 1984 年に日本医師会50 周年記念をもたらした最初の歴史的振り返りと日本とドイツの科学的、文化的な関係の端緒とその後の継続性」

 

17 世紀におけるドイツと日本との間の医学協力の歴史。

 

これらの関係は、この本ではじめて詳細に表現されます。

 

 

両国の代表者は、ドイツ語と日本語で出版した医学の様々な分野でドイツ語と日本語での出版に貢献しました。

 

豊富な写真の数々は医師だけでなく、歴史家を魅了することでしょう。

 

 

以上ですが、残念ながら一般の読者の興味を引き立てる内容ではないようです。

 

 

さて、私は、現在200頁のドイツ語の心理学書を英訳する作業を続けています。

 

これは一般の読者にも紹介したくなる興味深く有益な具体的内容の宝庫です。

 

 

それは<Synoptische Psuchotherapie>という本で、

 

Hans Peter Bilekという精神神経科専門医とHarald Moriという臨床心理士が編者となって心療内科専門医を含む他の4人の専門家との共著の本です。

 

これは、私が昨年ウィーンを訪れたときにHarald Mori氏からいただいたものです。

 

 

Synoptische Psuchotherapieというドイツ語タイトルは、英語で直訳するとSynoptic Psychotherapyとなります。

 

 

Synopticという単語は、梗概の、概要の、大意の、といった意味の英単語ですが、名詞として用いられる場合は、共観福音書(内容・構成に共通性の高いマタイ・マルコ・ルカの3福音書)のうちの一つ、を意味する言葉であることが興味深いところです。

 

 

タイトルを直訳すると概要心理療法になりますが、これは心理療法提要とか心理療法概論としてしまうと明らかな語訳になってしまいます。

 

私は<共観心理療法>という訳が面白いと思っています。

 

もちろん原著はキリスト教の本ではありませんし、<共観>は心理学で多用される<共感>とは異なることも指摘しておかなければなりません。

 

 

結局、書物のタイトルは、その書物全体を通読して、内容をしっかりと把握したうえで訳語を決定しなければならないのだと思います。

 

 

日本語でなく英語に訳す試みは、著者の意図をきちんと汲み取れているかどうか、という確認の手段として必要だからです。

 

英訳したものを原著者に点検していただき、誤解が無いかどうかを確認・修正していただく予定です。

 

また、この本は専門家向けであって一般向けではないので、あえて急いで日本語訳にする必要性は高くないからです。

 

 

しかし、最終的には、解説を加える形で、日本の一般の読者の皆様にも読んでいただけるものにしたいと考えています。

 

 

英訳作業は、ドイツから日本の東京工業大学建築学科に留学中のHans Henrik Frickeke 君と各週の火曜日の夜に進めています。

 

彼は建築家の卵であり、医学や心理学の専門でないので、かえって英訳もわかりやすい平易な文書にすることができます。

 

 

私は日本心療内科学会とドイツ心身医学会(DKPM)の姉妹関係締結文書の起草者として、このような作業を続けていくことで、将来に向けての責任の一端を果たしていこうと考えております。