日々の臨床 ④:11月8日 水曜日< いまさら聞けない?COPD >

総合アレルギ‐科(呼吸器・感染症、皮膚科・眼科を含む)

 

< いまさら聞けない?COPD >

 

呼吸器疾患は、かぜ症候群にはじまる呼吸器感染症や、気管支喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などの気道系疾患、特発性間質性肺炎などの間質性肺疾患、肺がんなどの腫瘍性疾患、睡眠時無呼吸症候群、過換気症候群など呼吸の異常など、疾患の種類が多いです。

 

 

高円寺南診療所は内科を基盤として、生活習慣病の診療をすることにはじまり、アレルギー・リウマチ関連疾患やストレス関連疾患を専門的に診療しています。

 

ですから、気管支喘息(呼吸器アレルギー)、特発性間質性肺炎(膠原病の合併症、抗リウマチ薬の副作用その他)、睡眠時無呼吸症候群(原因となる肥満に対する減量指導)、過換気症候群(ストレス関連心身症)など数多くの呼吸器疾患のほとんどと密接なかかわりをもっています。

 

 

呼吸器疾患の中でも、近年特に注目されているのがCOPDです。

 

COPDは、これまで肺気腫、慢性気管支炎といわれていた疾患を統一した概念です。

 

COPDの患者で受診者は22.3万人といわれ、40歳以上の8.5%に相当します。

 

高円寺南診療所で専門外来を続けている70万人といわれる関節リウマチの半数にも満たない数です。

 

しかし、関節リウマチと異なるのは、治療を受けていない潜在的罹患者数が多いことです。

 

一説には530万人ともいわれています。

 

単純計算では、4.2%しか受診していないことになります。

 

95.8%の患者が放置されているということは、とても恐ろしいことです。

 

しかし、COPDは「治療可能な疾患である」と定義されています。

 

 

COPDは世界的に増加の一途を続けており、2020年には世界の死因の第3位になるとの予測もあります。

 

肺癌も未だ増加傾向が続いていて、国内の悪性腫瘍死の男性1位、女性2位です。

 

COPDや肺がんの主要な原因の一つにタバコが挙げられています。

 

 

COPDの特徴で重要なのは合併症や高血圧などの併存症が多いことです。

 

逆にCOPDによって併存症を悪化させることも知られています。

 

ですから、COPDは呼吸器専門外来では十分に対応できないことがしばしばであり、高円寺南診療所のような総合内科あるいは総合診療科に近い医療機関が積極的に関与しなければならない疾患群の一つだと考えています。

 

 

COPDの診療で大切なのは、まずCOPDを疑うことから始めます。

 

COPDを疑うべき症状としては、咳、痰、労作時の息切れなどです。

 

それに加えて喫煙歴がある場合には要注意です。

 

これらの多くは、患者さん自身が「歳のせい(老化現象)」であるとか、

 

「治りにくい、しつこいかぜ」などと自己診断しているケースが多数に登り、

 

喫煙が原因であることは認めたがらない傾向があり、難渋します。

 

 

しかし、継続して受診してくださる限り、誠心誠意の態度でお付き合いさせていく中で、いつか必ず真実を受け入れてくださります。

 

 

平成元年開院以来の禁煙指導は、今日に至るまで一貫した立場で対応しております。