日々の臨床 ③:10月31日 火曜日<胸痛が出たら・・・>

一般内科(循環器・消化器・内分泌・代謝・栄養関連の病気)

 

<胸痛が出たら・・・>

 

胸痛とは、胸部の不快感の総称です。

 

具体的には、圧迫感、絞扼感、灼熱感、激痛などと表現される主観的な症状です。

 

 

胸痛を訴える患者さんでは、生命にかかわる緊急性の高い4つの病気を見逃すことはできません。

 

 

その4つとは、急性冠症候群大動脈解離肺塞栓症緊張性気胸です。

 

 

逆に、これらの病気でないことがわかれば、緊急性は低くなるので、じっくりとその原因を考えていくことになります。

 

 

胸痛をきたすその他の病態も4つに分けて考えると見落としを減らせると思います。

 

太字は緊急疾患に準じる可能性があるもの、下線は高円寺南診療所でこれまで多数経験してきたもの、です。

 

 

その1.

循環器疾患(狭心症急性心膜炎大動脈弁狭窄症閉塞性肥大型狭心症

 

 

心膜炎は前屈位をとると胸痛が弱まるので手掛かりになったことがあります。

 

 

その2.

循環器以外の胸部疾患(肺炎悪性腫瘍自然気胸胸膜炎縦隔気腫肋骨骨折肋軟骨炎肋間神経痛)

 

胸膜炎は吸気(息を吸い込むこと)で胸痛が強くなることで手掛かりとなったことがあります。

 

 

その3.

消化器疾患(特発性食道破裂急性膵炎逆流性食道炎食道痙攣消化性潰瘍胆石

 

 

その4.

その他(帯状疱疹頚椎症パニック障害などの不安障害心臓神経症など心気症

 

 

このように、胸痛の訴えは、日常的な訴えですが、

 

原因や緊急性も多様ですので、慎重に鑑別して、適切な対応が必要です。

 

特に新規の症状発現の場合は、特段の注意が必要で、自己判断をすることはとても危険です。

 

放置せずに、必ずご相談くださいますように。