聖楽院週例コンサート 》往く週《 & 《 来る週 》10月29日(日)

》往く週《 10月25日:第30回聖楽院週例コンサート(90分プログラム)

 

(音海水曜コンサート発足、通算100回特別記念プログラム)

 

リハーサル

 

イタリアのミラノから来日したアコーディオン奏者のエチオ・ギバウドさんの来場を、特任コーディネータのマルコ・アニョレッティさんと共に、出演者一同と音海スタッフ一同が今か今かと待ちながら、直前のリハーサルを続けていました。

 

台風の後でもあり、最悪の事態まで予想していたのですが、悪天の中、大きなアコーディオンを抱えたギバウドさんが来場されたときは、関係者一同大きな安堵感に包まれました。

 

会場はすでに満席でした。

 

 

到着直後から、ギバウドさんと私たちのフルーティスト西巻有希の合わせを始めていただきました。

 

すると、これが初顔合わせとは思えないくらい息が合っていました。

 

それで、もう一度、大きな安心がもたらされました。

 

満席にもかかわらず、何とか立ち見でも、という熱心なお客様も3名ほどいらして、オープニングを前に前代未聞の熱気に包まれ始めました。

 

 

前半45分

 

定刻を若干渡過したところで、オープニングを開始することができました。

 

10月のテーマはカッチーニのアヴェマリア、先週に引き続き、この曲を歌いこなしているソプラノ若月櫻子の歌唱が敬虔で芸術的な音楽会の幕を開けてくれました。

 

若月櫻子の声と吉田奈津子のピアノ伴奏は前半のプログラムの要所要所を支え、聴きごたえのある充実した演奏をしてくれました。

 

ギバウドさんとの共演を希望して準備していたフルートの西巻の他に、ギバウドさんのレパートリーにも関連するピアソラの作品を演奏したサックスの冨士田紗季は、馴染みのお客様だけでなく、ギバウド氏にもしっかり音楽的メッセージをアピールできたのではないかと思います。

 

 

後半45分

 

特別出演のイタリア人アコーディオン奏者Ezio Ghibaudo氏のクラシックアコーディオンによる近代アコーディオン演奏プログラム

 

 

ギバウド氏は、私の予想通り、寡黙で控えめな方のようでした。

 

今回来日されて、すでに鳥取大学や京都大学でのコンサート、さらにはイタリア文化会館のアニェッリ・ホールでの演奏など過密なスケジュールをこなしていたようです。

 

来場のお客様の中には、すでにイタリア文化会館での演奏を聴きにいかれた方がいらして、彼女の報告によると350席が満席だったそうです。

 

 

はじめにギバウド氏に簡単な自己紹介をお願いすると、彼はアコーディオンの説明をしてくれました。

 

彼の表現を元にクラシック・アコーディオンを端的に説明すると

 

Piccolo Organo(ピッコロ・オルガン:小さなオルガン)になるようです。

 

このキーワードは、彼の演奏を聴き言っているうちに生きた言葉になっていくのを感じました。

 

 

まず、マルチェロ 作曲、バッハ (1685-1750) 編曲の協奏曲ニ短調 BWV 974,第1楽章テンポ指示なし, 第2楽章アダージョ,第3楽章 プレスト

 

 

ついで、デルベンコ (1949-   ) のコラール前奏曲

 

 

ギバウドさんのアコーディオンは、音海という小さな空間をすっかりと小聖堂に変化させてしまっているのに気が付きました。

 

大聖堂にはパイプオルガンは定番ですが、小聖堂にはクラシック・アコーディオンが似合いそうです。

 

なぜなら、それは小さなパイプオルガンだからです。

 

 

引き続いて、スカルラッティ (1685-1757) のソナタK9ト短調 (アレグロ)、ソナタK159 ハ長調 (アレグロ)、ソナタK58 ハ短調 (フーガ)、

 

3つのソナタは短調・長調・短調とメリハリがあり、テンポもアレグロからフーガへと変化し、聴く者の心を捉えて飽きさせることがありませんでした。

 

小聖堂もしくは礼拝堂の扉を開けて、教会に守られた外の世界へと広がっていくイメージが喚起されました。

 

そこで、ピアソラ (1921-1992)の、フルートとアコーディオンのために、と題した古歌であるアヴェ・マリアが、最高のタイミングで演奏されました。フルート西巻の面目躍如でありました。

 

 

最後は、ぐっと世俗的で親しみやす曲、

 

ファンチェッリ(1928-1953) 、キューバの水彩画(ルンバの印象)、窓から10キロメートル (旅の印象)、君去りし後(After you’ve gone)以上の3曲でした。

 

これらは異国情緒溢れる新世界へ向かうイメージと過去から現在そして未来に向かう、それまでとは一味も二味も違う音色と、アコーディオンならではのハーモニーで今一度、大きな拍手が沸き起こり、演奏会の幕が華やかに閉じました。

 

イタリア語でアコーディオンをフィズハルモニカ(fisarmonica)というようですが、ハーモニカのような音色が独特の個性的なハーモニーを演出していました。

 

そうして後半45分のプログラム全体は、念入りに吟味されたコース料理のようでした。

 

西巻のフルート演奏は単なる料理のスパイスを超えて、アコーディオンの魅力を大きき引き立たせることに成功しました。

 

 

 

 

来る週11月1日:第31回聖楽院週例コンサート(60分プログラム)

 

担当ピアニスト:鈴木 美穂 (聖楽院特任ピアニスト)

 

 

この回は、水曜ミニサロン・コンサート初回から101回目、発足3周年目に突入です。

 

そこで今回は、水曜ミニサロン・コンサートの原点に戻り、シンプルに親しみのある演奏を心掛けたいと思います。

 

とは言っても、聖楽院週例コンサートは、かつての水曜ミニサロン・コンサートから大きく発展し、オープニングではその月のテーマとなる聖歌ではじまり、第一部は小倉百人一首で歌うシリーズ2曲が定番となりました。

 

11月は、シューベルトのアヴェ・マリアをテーマとします。その後は、鈴木美穂のピアノ演奏、なつかしの日本歌曲など、演奏者どうしのお話を交えながらのアットホームなコンサートとなるように心がけたいと思います。

 

どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

<今後の外部演奏会の予定>

 

〇11月5日(日)バロック・アンサンブル<アジア・コレギウム・ムジクム>

 

どうぞよろしくお願いいたします。

 

開演18:15 開演18:30

 

場所:青山学院大学のIVY HALL (アイビーホール)5F / GLORY CHAPEL(グローリーチャペル)〒150-0002 東京都渋谷区渋谷4丁目4番25号

 

チェンバロ奏者として荻原由実(聖楽院協力ピアニスト)が出演します。

 

 

〇11月23日(勤労感謝の日)第1回聖楽院レッスン生内部発表会

 

第二部の指導者コンサート(ソプラノ小松奈津子、テノール藤原拓海、フルート八木華沙璃)

 

お蔭様で、予約チケットは全て完了いたしました。ありがとうございます。

 

プログラムが完成しました。第一部のレッスン生発表会は無料です。

 

 

〇12月3日(日)Le Salon de Clavier コンサート(午後の音楽会事務局主催)

 

フルーティストとして西巻有希子(聖楽院協力フルーティスト)が出演します。

 

13:30 開場 14:00 開演 JR 田端駅北口より徒歩7分

 

入場料 ¥2,000 (全席自由)

 

ご予約・お問い合わせ yukiko.nishimaki.flute@gmail.com (西巻)

 

 

〇12月24日(土)音楽之友社ホール、17:50ベルタガラ・クリスマスコンサート。

 

<及川音楽事務所主催>にテノール飯嶋正広が出演します。演奏曲目は調整中です

 

ピアノ伴奏:向阪由美子

 

 

〇2018年1月28日(日)タカギクラヴィア松濤サロンコンサート(及川音楽事務所主催)に出演予定、演奏曲目、ピアノ伴奏者未定

 

 

〇2018年2月25日(日) タカギクラヴィア松濤サロンコンサート(及川音楽事務所主催) に出演予定、演奏曲目、ピアノ伴奏者未定