日々の臨床 ④ 10月4日 水曜日<総合アレルギー科と総合アレルギー専門医>

総合アレルギ-科(呼吸器・感染症、皮膚科・眼科を含む)

 

<総合アレルギー科と総合アレルギー専門医>

 

これまで看板に無頓着であった高円寺南診療所も、多くの患者の皆様の御指摘により、大いに反省の後、専門性を明確にした看板を整備しました。

 

そこで、まずアレルギー科とは何か、そしてアレルギー専門医さらには、今後、国民に求められる総合アレルギー専門医とは、どのような役割をになうことになるのかについてご紹介いたします。

 

 

さて、そもそもアレルギーとは、本来無害な抗原(アレルゲン)を排除しようとして起こる過剰な免疫反応です。

 

アレルギー疾患とは、このアレルギーを基礎病態とした病気で、日常的に遭遇する頻度の高い代表的な病気として、喘息、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、アナフィラキシー反応などがあります。

 

 

現在、アレルギー疾患罹患率はおよそ50%にも及び国民病ともいわれます。

 

他の先進国においても30~50%みられるので、私は現代文明病と説明することがあります。

 

 

日本では、とくに春のスギ・ヒノキ花粉症の大量発生による病状の悪化、増加が止まらない食物アレルギーやアナフィラキシーショックも大きな社会問題となっています。

 

 

アレルギーの原因物質は生活環境中に膨大な種類と量が存在するため、生活習慣や生活環境がアレルギー疾患の発症、増悪に大きな影響を及ぼします。

 

そして、病気の発症、悪化、治療反応性には、個々人の遺伝子と環境因子の相互反応が深くかかわっていることが分子レベルで解明されつつあります。

 

 

こうした背景を考えるならば、アレルギー専門医は総合アレルギー専門医であることも必要ですが、

 

生活指導(生活リズム、禁煙)や食事療法、運動療法、心理療法などを駆使できる総合診療医であるべきことも忘れてはならないと思います。

 

 

総合アレルギー専門医(Total Allergist)とは、幅広いアレルギー疾患の診断・治療・管理に対応できるアレルギー専門医のことです。

 

そのためには、アレルギー専門医同志がアレルギーに関する知見の習得、新規情報の獲得と交換などが必要になってきます。

 

実際には内科、小児科、耳鼻咽喉科、皮膚科、眼科等の幅広い臨床医学の基盤学会医師・研究者と、基礎アレルギー免疫学研究者とが相互に、かつ横断的に情報を提供しつつ学んでいくことになります。

 

 

日本アレルギー学会は、アレルギー専門医を対象として、総合アレルギー講習会を開催し、総合アレルギー専門医の育成を目指しています。

 

そこで私も参加して継続的に勉強していますが、高円寺南診療所では、すでに、内科、小児科、耳鼻咽喉科、皮膚科、眼科等の幅広い臨床医学の壁を乗り越えた診療を実践しているので、とても馴染みやすい企画であることを感じております。

 

 

高円寺南診療所は、アレルギー専門医による診療から、総合アレルギー専門医による診療、

 

さらには総合診療医としてのアレルギー診療を充実させていきたいと考えております。