診察室から 9月26日(火)<A・YAさんのレポート>

A・YAさんは、平成26年の7月からずっと続いている頭痛をはじめとする全身の激しい痛みのために苦しみ、当診療所通院中の知人の紹介で来院されました。

 

 

診断は、線維筋痛症でした。

 

高円寺南診療所では決して珍しいケースではないのですが、初診時に喫煙者であったにもかかわらず、

 

禁煙に成功し、半年ほどで著明な改善が得られた例としては貴重であるため、

 

A・YAさんご自身が効果的であったと考えておられる工夫について紹介していただくことになりました。

 

背景情報を添えて掲載させていただきました。どうぞご参考になさってくださいますように。

 

 

 

なお、紹介文中にはJ-FIQと点数が表記されています、J-FIQとは、

 

線維筋痛症が患者の日常生活にどの程度影響を及ぼしているかということに関する質問票であるFIQの日本語版です。

 

線維筋痛症は、症状が多彩なため治療評価が簡単ではありません。

 

病気の進行度や症状、患者さんの機能障害の程度などを総合して疾患活動性といいます。

 

効果的治療のためには、疾患活動性や治療の評価を客観的に適切な尺度を使う必要があります。

 

痛みだけではなく多様な障害を総合的に評価することが不可欠です。

 

J-FIQは治療の評価方法として日本で使用しうる唯一の基準です。

 

20項目の質問等に基づき評価結果を数量化することができます。

 

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タイトル:(線維筋痛症で)痛みがあったのに気にならなくなった私

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JFIQ点数のグラフ

A.Y jfiq

 

今年の2月下旬に初診(J-FIQ 85.2点)

 

J-FIQスコアは70点以上で疾患活動性高度と評価するので、

 

A・YAさんの線維筋痛症の疾患活動性(重症度)は初診段階で高度でした。

 

 

3月下旬に鍼治療(担当:坂本光昭 鍼灸師)開始

 

5月下旬に禁煙開始(J-FIQ 77.6点)

 

J-FIQスコアの減少は 85.2-77.6=7.6ですが、これは20点以上減少しなければ改善とは認めることができません。

 

喫煙者の鍼治療効果は限定的です。

 

 

6月中旬に禁煙継続約3週(J-FIQ 51.4点)

 

J-FIQスコアの減少は 85.2-51.4=33.8で、20点以上減少し改善しました。

 

J-FIQスコアで70~50点の範囲では疾患活動性は中等度と評価します。

 

禁煙をはじめて3週程度でも、鍼治療効果は発揮されやすくなります。

 

疾患活動性は高度から中等度になりました。このような時期になると線維筋痛症の患者さんは、意欲的で積極性が増し、

 

過活動になりがちです。軽い躁状態に転じる方も少なくありません。

 

 

今年のお盆を過ぎた7月中旬頃(J-FIQ 54.2点)

 

 

A・YAさんも例外ではなく、すでに禁煙に成功し、自己効力感が高まったためか、新しいことに取り組みました。

 

それが、結果的には好ましい取り組みだったようです。

 

 

 

 

以下に、A・YAさんの生活観の変化のプロセスをまとめてみました。

 

以前からやりたかったこと(「断・捨・離」)

 

にチャレンジしようという気になった。

 

やれることから毎日少しずつ始めてみた。

 

結果の評価は、加点法(一か所でもできたら自分をほめる)

 

不要なモノを捨てることで自由スペースが拡大した。

 

こだわり思考が減った分、頭と心に空きスペース(余裕)が生まれた。

 

ネガティブ思考からポジティブ思考へ迎えるスキマ(余裕)が確保できた。

 

モノ軸から自分軸へ。

 

 

 

今月(J-FIQ 39.4点)現在、断捨離とともに禁煙、鍼治療を継続中。

 

J-FIQスコアは50点以下で疾患活動性は軽度と評価しますので、

 

39.4点であれば、病状は大分落ち着いてきたといえます。

 

J-FIQスコアの減少は 85.2-39.4=45.8、十分な改善ですが、

 

あと5点ほど減少すれば、著明改善に到達です。