最近よくある質問:
<町医者(開業医)には定年が無いようですが、先生は何歳まで医者を続けますか?>
「医師の平均寿命は68歳~73歳」というデータをみました。
東京都の全医師の平均寿命は68歳だとのデータもあるようです。
開業医はもっと短いのだそうで、平均60歳前後という情報を、とある筋(元某国立大学医学部教授、現在、都内開業医)から得ましたが、これが本当だとすれば、還暦間近な高円寺南診療所の院長はいつ死んでも不思議はありません。
そこで、それなら頑張って死ぬまで働こう、ということにしたらよいのでしょうか? 少し考えてみることにしました。
さて全国保険医団体連合会は「医師および歯科医師の精神状況についての意識調査」を行い、「4人に1人がうつ状態」など心身状態が明らかにしました。
少し古いデータなのですが、同調査は2007年10月6、7日の第22回保団連医療研究集会の全国共同調査として、福岡県保険医協会理事の財津吉和氏が発表したものです。
以下、要旨をさらに簡略化して紹介し、高円寺南診療所との比較検討を試みました。
結果概要
開業歴平均17・7年、無床診療所が92・4%、平均年齢58・4歳。1週間の平均労働時間43・7時間。
65%が労働基準法の目安である週40時間をはるかに超えていました。
60時間以上が8・8%もいました。
⇒ 高円寺南診療所は平成元年開設ですので、開業歴は28年で、データ平均より10年長いです。
また改めて計算してみると私は1週間平均労働時間が80時間に達するので、労働基準法の目安の2倍に達していることに気が付きました。
しかし、無床診療所の院長で現在57歳ですので、とても参考になるデータベースということになります。
▼開業の直接の動機は?
1位「私生活の確保」、2位「専門性を生かす」、3位「経済的理由」
⇒ 高円寺南診療所を開業した直接の動機は、いずれでもなく、物の弾みと運命、とでも言いましょうか・・・つまり、結婚と同じで、ご縁と成り行きです。
心身の具合
▼現在の疲労状況は?
「身体は疲れている」(82・4%)「不眠症である」(45%)。
「限界、心身共にかなり疲れている」(30%)。
⇒ 高円寺南診療所の院長は、その日の疲れを、その日のうちに癒すことはまだ難しいですが、
水氣道と聖楽の御蔭で、その週の疲れを翌週に持ち越すことはほとんどなくなりつつあります。
▼今、ストレスに感じていることは?
何らかのストレスがある(81.2%)。経営問題(38・3%)とくに従業員問題、
他に家庭内の問題など
⇒ ストレスは私にもあります。しかし、ストレスには2種類あって、通常のネガティブな意味でのディ・ストレス、
これに対して、ポジティブなストレスもあり、ユウ・ストレスと呼ばれています。
私はディ・ストレスをユウ・ストレスに変換するスキル(水氣道と聖楽)を体得することで、ストレスを成長のエネルギー源としています。
▼息抜きの方法は?
息抜きはできている(86.8%)
方法は、趣味、飲食・会食など
⇒ 高円寺南診療所の院長には趣味はありません。水氣道、聖楽院での活動は、ライフワークです。
しかも、有意義なストレスを解消法です。
かなり厳しく、積もり積もったストレスに押しつぶされそうになっている他の医師にも水氣道や聖楽院を勧めたいと思いました。
多忙で、有能で、しかもミッションを持った方には水氣道や聖楽院への参加はお勧めだと考えるからです。
▼自分の本来の性格(精神状況)は?
うつ気質(23・4%)
⇒ うつ気質であることを自覚している医師が異常に多いです。
高円寺南診療所では心療内科を専門標榜し、しかも東洋医学を併用して、心の気質と体の体質の分析をしています。
そもそも、“うつ気質”の定義が問題ですが、うつ気質であると気づけるのは、一定レベルの知性と感性の持ち主であることの証明でもあります。
また、低レベルの理不尽なクレーマー族の犠牲にはなりますが、他者配慮性に優れ使命感や責任感が強いため自己犠牲を強いてしまいがちです。
したがって、現代社会の理不尽な医療構造にあって、誠実で優秀な医師が元来“うつ気質”でなくとも“うつ状態”に陥らざるをえない危機的状況である、ということも一般の皆様にご理解いただきたいと思います。
▼現在の精神状況は?
うつ状態(27・3%)、うつに対して服薬している(26・7%)
⇒ 医師の4人に1人以上が、うつ状態とは、どのようなことでしょうか?
これは大問題です!
▼相談相手は?
配偶者(約半数)。いない(16・2%)、8・2%が精神科医等(8.2%)
⇒ 高円寺南診療所の院長の相談相手は事務長(配偶者、兼院内薬剤師)です。
これも平均的、ということでしょうか。 仕事、今後に関して
▼今の仕事に対する愛着は?
「ある」(75・7%)、「ない」(21・8%)
⇒ 高円寺南診療所での仕事に対する愛着は、かなり強いものがあります!
なぜでしょうか? それがミッションだからです。
▼生まれ変われるとしたら、再び今の仕事を選ぶか?
「はい」(58・9%)、「いいえ」(14・8%)
⇒ 復活したら、神様と相談して職業を決めることでしょう。
▼「引退する年齢」は?
「死ぬまで働く」「体力が続く限り」(45・5%)
⇒ たぶん、上に同じです。しかし、患者の皆様次第です。
相互の信頼関係が維持できなくなり次第、医師を辞める覚悟です。
▼今までの人生は満足か?
「満足」(84・3%)
⇒ 多忙で、ストレスを抱え、しかもうつ状態になって抗うつ剤を内服しながら、
仕事を続けている医師が多いのに、この「満足」率の高さをみて、背筋が凍ります。
明らかにワーカホリック(仕事中毒)の医師が少なくない、という証ではないかと思います。
高円寺南診療所の院長医師は現状のみに対しては常に“不満足”です。
しかし、お蔭様で、抗うつ剤や睡眠薬を服用することなく、水氣道と聖楽院で英気を養い、困難を可能性に、ピンチをチャンスに転換してくることができました。
これまでの自分の経験はすべて財産であり、ご縁のあったすべての皆様に感謝しています。
まとめ
多くの開業医が厳しい医療環境下で、心身両面に及ぶストレスにさらされ、
うつ状態になりながら耐え忍んで、日常診療に従事している現状が明らかにされています。
そもそも開業医の寿命はなぜ短いのでしょうか。労働環境が厳しすぎるためというのも理由の一つでしょう。
超長時間の労働、不安定な休日、世間から思われている程高くはない所得と生活水準、
世間知らずでお人よしの開業医を食い物にする悪賢い業者の群れ等々、
客観的に見ても医師の労働環境は、医師の健康にとって良くない要素が多いと思われます。
社会的責任や義務などの負担に見合うだけの自由も権利、社会的保障もあるとは思えません。
元来、医師になるには相当に我慢強く、努力家タイプでなければならないことは、これまでの経験上、想定はしていました。
しかし、我慢の限界を超えて、蓄積疲労を募らせ、それでも使命を全うしようとし続けている多くの開業医たちの実態を、
どなたがどれだけ理解しているというのでしょうか。
こうした現状に対して、何らかの国家的な施策が早急になされなければ、取り返しのつかない事態に陥りつつあります。
そうなれば国民全体にとっても、危機的状況になり、しかもそれは壊滅的な打撃になることでしょう。
私たちは政府に対し、早急な医療政策の大転換を迫ることも大切ですが、まずは国民の皆様の意識改革こそが急務だと思います!
世界に冠たる国民皆保険制度を堅持し、健康保険証一枚で、国民が安心して十分な医療を受けられ、
また、医師が余裕を持って、最良の医療を提供できるよう、私たちも求めていきましょう。
しかし、現実の問題として、病気によっては(例、線維筋痛症)、保険診療の枠組みだけでは、限界があり、十分に対応できないケースもあります。
こうした現行の保険医療や生活保護受給者対応など未解決な現場での諸問題の解決を、
開業医の一方的な献身と負担だけに求めて当然視する国や自治体、企業などの態度は問題です。
問題はそれだけではありません。受診者の皆様ご自身が正しい認識に基づき、妥当な行動決定をし、
日本の医療をしっかり支えていこうとする勇気と覚悟をもっていただくことこそが緊急の課題だと信じます。
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