消化器系の病気
<ポイツ・ジェガース症候群>
ポイツ・ジェガース症候群(Peutz-Jeghers Syndrome)は
消化管ポリポーシス(消化管のポリープが多発する病気)の一つで
過誤腫型の若年性ポリポーシスです。
消化管ポリポーシスの中では家族性腺腫性ポリポーシスに次いで多い疾患であるためか、
高円寺南診療所でもしばしば相談を受けることがあります。
過誤腫(かごしゅ、hamartoma)とは、一般的には腫瘍と奇形(形態発生異常)の中間的な性格の病変とされていますが、
過誤腫性ポリープは非腫瘍性ポリープに分類されています。
病理学的な定義は、
「臓器や器官に固有の細胞や組織成分が、臓器内で過剰に発育または過剰増殖することである。過誤腫の構成細胞は周囲の正常細胞と同一であり、成熟した細胞で占められる。しかも、過誤腫から正常な組織や器官が派生することはない。」というものです。
過誤腫性のポリープは食道を除く、全ての消化管に発生しますが、特に小腸に多いです。
若年者に多く、口唇、口腔や手掌・足底の色素沈着を伴います。
症状としては、血便、腹痛、腸重積が高頻度であるため、
高円寺南診療所では嘔気・嘔吐・下痢・腹痛などの消化器系症状が出現する場合には、
診察とともに、最低限でも腹部レントゲン検査は実施することにしています。
そして、症状が安定した場合には、念のため便潜血検査を実施します。
染色体優性遺伝形式をとり10~20歳代に好発します。
ただし、他の先天異常はほとんど見られません。約70%に腫瘍抑制遺伝子LKB1/STK11の変異が認められます。
合併症として腸重積・イレウスと貧血の頻度が最も多く、その場合にはバルーン小腸内視鏡のもとで切除術を行うことがあります。
ポリープ自体は過誤腫であり腫瘍ではないため癌化率は低いですが、
消化管の他に、膵臓(消化器系だけで約20%です)、女性の場合ですと乳房、卵巣、至急などに癌を合併することがあります。
そのため高円寺南診療所では、癌の早期発見を可能とすべく、超音波検査を定期的に行うことを勧めています。
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