心臓・脈管 / 腎・泌尿器の病気
<むくみを見たら癌を疑え!>その2
発症は慢性的で緩慢な経過なので気づきにくいのが難点ですが、むくみと蛋白尿がそろえば膜性腎症の可能性を忘れてはなりません。
しかしながら、膜性腎症の診断は、開業医にとっては少し厄介です。
その理由は、他の多くの腎臓病とは異なり血圧は正常であり、
腎機能障害も軽度であるため、診断の手掛かりが少ないからです。
それでは、膜性腎症を確実に診断するにはどうしたら良いのでしょうか?
それは腎生検です。
これは腎臓の組織を採取して調べる病理学的診断です。
ふつうの光学顕微鏡ではPAS染色による腎糸球体の基底膜肥厚、PAM染色による基底膜のスパイク形成を見出します。
蛍光法では、IgG、C3が糸球体係蹄壁に沿って顆粒状に沈着している所見を見出します。
これらの本体は電子顕微鏡では基底膜の上皮側に高電子密度沈着物として観察され免疫複合物に相当するものと考えられています。
膜性腎症は40歳以上に多く、約70%が一次性であり、約30%が二次性です。
最近、この病気は、M型ホスホリパーゼA2受容体に対する自己抗体(主にIgG4)自己免疫疾患で、一次性膜性腎症の発症や病勢と強く関連することが明らかになってきました。
一次性膜性腎症の治療原則は、予後不良因子のある患者には寛解導入を目標とした免疫抑制療法が推奨されていることです。
予後不良因子は、①男性、②60歳以上での発症、③発症時の腎機能低下、④尿細管間質病変、⑤ネフローゼ症候群の遷延など
一次性膜性腎症の多くは、ゆっくり進行し、一部では自然寛解することがあります。
約80%以上は治療により完全ないし不完全寛解となります。
来週は、二次性膜性腎症について説明します。
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