日々の臨床 8月12日土曜日<情緒不安定、易刺激性、うつ状態は内科の病気かも?②>

内分泌・代謝・栄養の病気

<情緒不安定、易刺激性、うつ状態は内科の病気かも?>

 

4回シリーズ(第二話)

 

 

42歳女性。公務員。情緒不安定でイライラしやすく、

 

部下にうっかり暴言を吐きパワハラを訴えられ、うつ状態になり、某有名病院の神経科を受診していました。

 

 

神経科の処方薬を服用すると食欲不振、悪心、嘔吐、便秘が出現したが、

 

神経科の医師は抗うつ剤の副作用を緩和するために、吐き気止めを追加処方してくれました。

 

 

その後、口渇がひどくなり、水をやたらに飲み、排尿回数も増え、夜間尿のため何度もトイレに起きて、睡眠不足が悪化してきました。

 

疲れ果ててトイレに起きるための力が入らず、失禁するようになりました。腰痛や背部痛も出現してきました。

 

 

食欲が減退してきたが、仕事を続けるために無理に食事をすると激しい心窩部痛が生じたため、

 

消化器内科を受診して内視鏡の検査を受けたところ、胃潰瘍が発見されました。

 

そこで、消化性潰瘍治療薬の処方を受けています。

 

 

<検査前暫定的診断:高カルシウム血症>

 

以上の病的は概ね高カルシウム血症による身体症状及び精神症状として説明可能です。

 

なお病的骨折からは、続発性骨粗しょう症が疑われます。

 

そこで、問題となる高カルシウム血症の原因精査を試みました。