水氣道へのご招待 第19回<調血航法 No.2>

調血航法 No.2

 

調血航法は、理気航法と密接な相互補完関係があります。

 

 

理気航法では呼吸法を訓練しますが、その主役となる臓器は肺です。

 

しかし、肺は肺自身が筋肉でできているわけではないので、単独では動けない臓器です。

 

横隔膜や腹筋群をはじめとする呼吸筋のはたらきによって、

 

はじめて肺は収縮・拡張を繰り返して呼吸をつかさどることができます。

 

そして、私たちの意志によって呼吸の深さや呼吸数を調節することができます。

 

つまり、理気航法といえども呼吸筋という筋肉の鍛錬が基礎になっているのです。

 

 

これに対して、調血航法の血液循環の主役となる臓器は心臓です。

 

心臓はそれ自体が心筋という特別な筋肉によって成り立っているので、

 

自動能がありリズミカルに収縮・拡張を繰り返すことができます。

 

しかし、私たちの意志によって心拍数をコントロールすることは簡単にはできません。

 

簡単ではないですが、不可能ではありません。

 

脳を使って、調血航法は各自が脈拍をチェックしながら

 

運動の強度や疲労度と心拍数・脈拍数との関係に関する感覚を

 

身に着けるための訓練も含まれています。

 

 

特に立位の姿勢では下半身の組織から心臓に戻ってくる静脈の血液の流れは、

 

重力に逆らう方向になります。

 

この流れを助けるポンプが下肢の筋肉です。

 

 

ここからは前回の重複となりますが、大事なことですので再度ご紹介いたします。

 

調血航法では、左右両方の大脳を使って(考えると同時に感じながら)、

 

心臓のリズムのように1・2、1・2…と、心地良く歌う気持ちで声に出し、

 

皆と合唱するように、リズムカルに体を動かしていきます。

 

 

一歩一歩段階的に、単純な動きから、次第に複雑な動きに向けて、

 

それぞれ目的とする筋肉を意識しながら、関節の屈伸運動を律動的に繰り返していきます。

 

それによって、最終的に全身の筋肉の瞬発力(パワー)と持久力(スタミナ)を

 

無理なく強化し、平衡感覚や協調運動能力を磨くことによって、

 

その目的を実現することができるのです。

 

 

日本水氣道協会 水氣道2級(中等修錬生)

 

調血航法直伝 加藤博文