日々の臨床 7月13日 木曜日<アナフィラキシー・ショック対策(その2)>

呼吸器 / 感染症 / 免疫・アレルギー・膠原病

 

テーマ:テーマ:アナフィラキシー・ショック対策(その2)

 

<エピペンの使い方®について>

 

蕁麻疹

 

アナフィラキシーショックの症状には悪心(おしん)と嘔吐(おうと)がみられます。

 

<原因> 

抗菌薬などの薬剤、食物(そば)、虫刺症(ハチ毒)、物理的刺激など多岐にわたります。

 

たとえば、お好み焼き粉などの粉製品を開封後、

 

長期間室温保存することで混入したダニが繁殖し、

 

その製品を摂取したことによるアナフィラキシーが報告されています。

 

 

アナフィラキシーショックは、IgE抗体を介する免疫学的抗原・抗体反応であり、

 

2回目以降に強く起こることが重要です。

 

 

<症状> 

起因物質投与後、数分で粘膜浮腫、気管支痙攣(けいれん)、

 

血圧低下などの広範な症状を呈します。

 

早期の対応のためには前駆症状についての知識が役に立ちます。

 

気分不快感、違和感、唇や手足のしびれ、

 

心悸亢進(動悸)などから始まることが多いです。

 

症状は次第に、血圧低下、頻脈(脈拍数の増加)、皮膚紅潮、

 

蕁麻疹(じんましん)、顔面蒼白(顔が真っ青になる)、

 

喘鳴(呼吸がゼイゼイする)、呼吸困難、下痢などが生じます。

 

 

違和感として、悪心・嘔吐があります。

 

胃内容物(ときに十二指腸・小腸内容物)が不随意に逆流し、

 

食道・口腔から体外に排泄されることを嘔吐といい、

 

嘔吐したくなる差し迫った感覚を悪心(嘔気、吐き気)といいます。

 

なお、重症になると意識が消失し、死に至ることがあるため緊急対応が必要です。

 

 

<治療>

迅速な処置が決め手になります!

 

①アドレナリン自己注射用キット(エピペン®)を携帯していれば、それ使用します。

 

②エピペン®をもってなければ、呼吸、循環(脈拍数など)の状態を直ちに把握して、

 

援助者(救急隊、可能であれば蘇生チーム)に連絡する。

 

③医療機関でアドレナリンを大腿部(中央前外側)に筋注し、

 

患者を仰臥位(あおむけ)にして下肢を挙上する。

 

ここまでは、原理的には①と同じです。

 

 

その後、必要に応じて酸素投与、静脈ルート確保、心肺蘇生を行います。

 

 

補足説明)専門的な話になりますが、アドレナリンを投与するのは、

 

血圧を回復させるだけでなく、c AMPを介して

 

アナフィラキシー反応を抑制に直接役立つことが知られています。

 

 

<検査>

症状が落ち着き、投与薬剤の影響を受けなくなった時期に行います。

 

そこでアレルゲンの同定検査を行います。

 

①血清特異的IgE抗体検査

 

②プリックテスト、スクラッチテスト、皮内テスト

 

高円寺南診療所では①のみを実施しています。

 

感度は低いもののアナフィラキシー反応を誘発するリスクがないからです。

 

②は感度が高いのですが、アナフィラキシー反応を誘発するリスクがあります。