日々の臨床 6月17日 土曜日<糖尿病の薬物治療>

内分泌・代謝・栄養の病気

 

テーマ:糖尿病の薬物治療

 

糖尿病治療の目的は、糖尿病特有の合併症(網膜症、腎症、神経障害)と

 

動脈硬化性疾患の糖尿病の薬物療法は、まず食事療法と運動療法を2~3か月しっかりと続けても、

 

なお血糖コントロールの目標が達成できないときに始めるのが原則です。

 

 

高円寺南診療所では水氣道®を積極的に推奨し、

 

肥満症や糖尿病の方にも効果を挙げてきました。

 

薬物療法をはじめた方でも、水氣道®や食事療法により、

 

薬剤を徐々に減量することに成功している方はたくさんいらっしゃいます。

 

 

日本糖尿病学会では、第一選択薬は特定せずに

 

主治医の判断に任せるという立場をとっているので、

 

主治医の責任は極めて大きいことになります。

 

 

適応範囲が広いのは、1)血糖依存性インスリン分泌増幅薬です。

 

これにはDPP-4阻害薬、GLP-1アナログがありますが、

 

高円寺南診療所では、GLP-1アナログが注射薬であるため、

 

経口剤であるDPP-4阻害薬を処方しています。

 

この薬は食欲を抑制し、体重増加を来さないというメリットがあります。

 

胃排出時間を延長させるため、食後の腹持ちが良くなります。

 

またインスリンの作用を妨げるグルカゴンの分泌を抑制するなどの好ましい特性があります。

 

 

しかし、その際にも、患者に肥満傾向があるか否かが、治療薬選択のカギになります。

 

多くは肥満傾向なので、その場合は空腹時血糖を測定します。

 

 

<肥満傾向がない場合>

 

空腹時血糖値がおよそ140mg/dL未満の場合

 

1)血糖依存性インスリン分泌増幅薬(DPP-4阻害薬など)以外に、

 

2)インスリン非分泌薬や

 

3)血糖非依存性インスリン分泌促進薬を選択します。

 

 

2)のなかでαGI(αグルコシダーゼ阻害薬)は、糖質の吸収を遅延させます。

 

3)のなかで速効型インスリン分泌促進薬は、空腹時ではなく食後血糖を改善させます。

 

空腹時血糖値がおよそ140mg/dL以上の場合

 

日本人に多いインスリンの分泌不全が主たる病態であると考えます。

 

そこで、インスリン分泌を促進・増幅する作用のある薬剤を第1選択にしています。

 

1)血糖依存性インスリン分泌増幅薬(DPP-4阻害薬など)以外に、

 

3)血糖非依存性インスリン分泌促進薬を選択しています。

 

3)はSU(スルフォニル尿素)類で、食後血糖ばかりでなく空腹時血糖を改善します。

 

 

<肥満傾向がある場合>

 

1)血糖依存性インスリン分泌増幅薬(DPP-4阻害薬など)以外に、

 

2)インスリン非分泌薬を用います。

 

肥満はインスリン抵抗性を高めるため2)の中で

 

チアゾリジンジオンなどインスリン抵抗性を改善する薬剤が有用です。

 

BG(ビグアナイド)類は、肝臓での糖放出を抑制し

 

インスリン抵抗性を改善します。また、SGLT2阻害薬は尿からの糖の排泄を促進します。