日々の臨床 5月9日火曜日

テーマ:出血傾向、とくに血液凝固因子の異常

 

出血しやすい患者さんを診たら、まず出血部位を確認することから始まります。

 

出血が直接的に観察できない部位もあります。

 

たとえば関節内や筋肉での出血です。

 

次に血小板、凝固系、線溶系、血管壁のうち、どこに異常があるかを鑑別するための検査を行います。

 

見落とされがちな関節内・筋肉での出血であれば凝固因子の異常を疑います。

 

このうち、凝固系の異常が原因である場合は、先天性のものか後天性のものかで分類します。

 

小児科では先天性である血友病などが重要ですが、内科では後天性の病気が重要になってきます。

 

 

それでは、後天的に凝固系の異常を来たし、

 

出血傾向を生じるものにはどのような原因があるかを列記してみることにします。

 

 

①肝臓病、②ビタミンK不足、③循環抗凝固抗体(後天性血友病など)、④抗凝固薬使用

 

 

 ①肝臓病によって出血傾向を来す理由は、肝臓が凝固因子を合成しているからです。

 

②ビタミンK欠乏症は、ビタミンK欠乏によってビタミンK依存性凝固因子

 

(第Ⅶ、Ⅸ、Ⅹ、Ⅱ因子)の働きが低下するので、出血傾向が生じます。

 

③特定の凝固因子の働きを妨げる因子が後天的に形成されることによって出血傾向が生じます。