日々の臨床 5月2日火曜日 

血液・造血器の病気

 

テーマ:多発性骨髄腫

 

 

腰が痛む場合、皆様は日頃どうなさっていますか?

 

 

整形外科(医師)をはじめ接骨院(柔道整復師)、

 

鍼灸マッサージ院(鍼師・灸師・あん摩マッサージ師)、

 

整体院(整体師は俗称、無資格)など腰痛を扱う窓口は様々です。

 

 

腰痛ばかりでなく骨折が初発症状であれば、整形外科を受診することでしょう。

 

とりわけ腰痛圧迫骨折、長管骨の病的骨折があればなおさらでしょう。

 

 

ただし、貧血や点状出血、腎障害、高カルシウム血症を伴う場合があります。

 

発症がゆっくりしているので、早期には発見されにくいため内科受診も大切です。

 

エックス線で骨折の他に溶骨性変化(骨の融解現象:骨打ち抜き像)を認めることがあります。

 

 

骨髄で形質細胞が腫瘍性に増殖し、それがM蛋白という物質を生産する

 

全身性腫瘍性疾患があり、これが多発性骨髄腫です。

 

そのため、正常な免疫グロブリンの産生が抑制されてしまいます。

 

診断のためには血清・尿検査でM蛋白を証明したり、

 

骨髄穿刺をしたりして異型形質細胞の増殖を確認します。

 

 

この病気の重症度(病期)は、血中の2種のタンパク質

 

(アルブミン、β2ミクログロブリン)のみで3期に分類されます。

 

 

生存可能期間は、数か月から10年以上と様々ですが、

 

これは病期と治療効果、合併症の程度などによります。

 

最近では、新薬(ボルテゾミブ、レナリドミドなど)の登場により改善しています。

 

ですから早期発見が決め手になります。

 

 

多発性骨髄腫は50歳以後、特に60歳以上に多く、

 

日本での死亡者数は年間4000人前後で、特に高齢者で増加しています。

 

最近、ちまたで<腰痛の治し方教えます>などという表示を見かけます。

 

こうした無責任な看板は、無知な人にとっては、とても魅力的なことでしょう。

 

しかし、安易に信じてしまうのは、このように、とても危険なことです。