日々の臨床 4月26日水曜日

消化器系の病気

 

テーマ:肝細胞がん

 

 

<お腹が張ってきて、白目が黄色い>といって来院された初老の男性例。

 

たしかに眼球結膜は黄味がかっていて、どちらかというとセピア色に近い。

 

張っているというお腹には多量の腹水が貯留していました。

 

詳細にお尋ねすると、C型肝炎を患っていて

 

全身倦怠感は続いていたが職を失ったため通院を中断していたとのことでした。

 

ここまでで、たいていの内科医は肝細胞がんを疑います。

 

 

初診時に、ただちに超音波検査と腫瘍マーカーを含む血液検査を行いました。

 

超音波では肝硬変の中にモザイクパターンの結節を3つ認めました。

 

高円寺南診療所の超音波診断装置にはカラードプラーが使えるので確認したところ、

 

結節内の異常血流を検出することができました。

 

 

肝細胞がんは、このように自覚症状に乏しく、癌が進行して初めて腹水や黄疸が出現することが多いです。

 

 

肝細胞がんは原発性肝がんのうち、肝細胞に由来するものです。多発する傾向があります。

 

約75%に慢性肝炎、約60%に肝硬変があります。

 

C型肝炎ウイルス由来60%、B型肝炎ウイルス由来15%など原因が明らかなものが多いです。

 

 

紹介先の病院に入院され、およそ半年後、ご自宅で元気に過ごされましたが、

 

それから3年後に亡くなられました。