日々の臨床 4月21日金曜日

心臓・脈管 / ・泌尿器の病気

 

テーマ:尿細管性アシドーシス

 

 

高円寺南診療所では、簡単で安価(3割負担で70~80円)な尿検査を積極的に行っています。

 

尿検査の基本項目は、糖、たんぱく、潜血、pHなどですが、

 

これだけで、実に多くの無自覚・無症状の病気の早期診断ができます。

 

また重要な病気の見落としを減らし、また、病気の鑑別を容易にできるスクリーニング・テストとして、

 

血圧測定と同様に、本来は欠かすことはできない検査項目であると考えています。

 

そこで初診時には全員に実施する価値があると考え実施してきましたが、

 

残念ながら100円足らずで実現できる健康投資の意義を

 

理解していただけない方々への対応は難渋しがちで、実施を見送ることがあります。

 

 

腎臓は、体液の酸度(pH)を一定に保つための中心的な臓器です。

 

腎臓は糸球体という部分で血液を濾過して最初の尿(原尿)を作ります。

 

この原尿が通過する尿細管では、酸を中和する「重炭酸」を作ったり、

 

酸である「水素イオン」を尿へ排泄したりします。

 

「アシドーシス」とは体液が酸性に傾いた状態を示します。

 

 

尿は血液とともに代表的な体液です。日々の生活では体内に大量の酸が発生するため、

 

本来は酸性に傾き(アシドーシスといいます)がちです。

 

それにもかかわらず、生命活動を維持するためには血液のpH(酸度)は

 

7.4(弱アルカリ性です)の前後に厳密にコントロールされなければなりません。

 

そのため、尿には酸が排出され、尿のpH6.2~6.8程度の酸性に傾きます。

 

 

アシドーシスの軽症例は無症状です。

 

しかし、進行すると意識障害、頭痛、過換気、吐き気、嘔吐、成長障害を起こしたりします。

 

また、尿の濃縮障害が生じると、多尿、脱水、

 

カリウムが低下すると、筋力低下、四肢麻痺、知覚障害、不整脈などが出現します。

 

 

 

尿細管性アシドーシスは、腎臓の尿細管のはたらきが障害された病気です。

 

 

Ⅰ型、Ⅱ型、Ⅳ型の3つに分類

 

 

Ⅰ型:尿に水素イオンを排泄できないタイプ(遠位尿細管性アシドーシス)

   

酸の中和のため骨からカルシウムが抜け、尿細管内でのクエン酸が低下することで

 

血液中の重炭酸とカリウムが低下し、腎臓の石灰沈着や尿路結石

 

シェーグレン症候群がみられます。⇒クエン酸カリウムが治療薬として有効です。

 

 

Ⅱ型:重炭酸イオンの吸収が低下するタイプ(近位尿細管性アシドーシス)

  

血液中のカリウムが低下し、ファンコーニ症候群骨粗しょう症がみられます。

 

 

Ⅳ型:カリウム調整ホルモン異常のタイプ(高カリウム血症型アシドーシス)

 

 血液中のカリウムが上昇します。