日々の臨床 4月19日水曜日

消化器系の病気

 

テーマ:原発性硬化性胆管炎

 

 

アレルギー専門医は、アレルギー全般の他、免疫異常を対象とします。

 

自己抗体による自己免疫異常が関与する疾患について、昨日に引き続きお話をします。

 

この医学領域は、まさに日進月歩であるため、アレルギー専門医は、日々の臨床に加えて、

 

毎年アレルギー学会その他に出席して勉強を続けていかなければならないことになります。

 

 

たとえば従来、原発性硬化性胆管炎と診断されていたもののなかに、

 

自己免疫性膵炎を伴う硬化性胆管炎が含まれることが明らかになりました。

 

これはIgG4関連胆管炎とされ、病理所見や臨床経過のみならず

 

治療方法にも違いがあるため区別すべきであるとされつつあります。

 

 

さて、一般に、自己免疫疾患はリウマチなどの膠原病をはじめ、

 

女性に多いのですが、男性が女性の2倍ほど多いのが原発性硬化性胆管炎です。

 

 

<お腹が痛くて、肌が痒い>という初診患者は少なくないですが、

 

私は注意を怠らないようにしています。

 

特に、腹痛の部位がお腹の右上で、肌が黄ばみ(黄疸)が出ることがないか、よく確かめるようにしています。

 

黄疸のチェックですが、これが現れたり消えたりするので、経過が大事です。

 

それから体重の変化、以前と比べて減少していないかどうか、

 

全身がだるくないかどうか、など一つ一つは決め手にはなりませんが、

 

全体的な特徴を把握することなく診療は進まないからです。

 

男性に多いと言いましたが、中年には少なく、20歳代と60歳代に二つのピークがあります。

 

 

潰瘍性大腸炎や胆管癌を合併することがあります。

 

この病気は、肝臓の内外の胆管に炎症が発生し、

 

次第に胆汁鬱滞がもたらされ、最終的には肝硬変になる病気です。

 

 

診断は、血液検査とともに、まず腹部超音波検査を行います。

 

肝内外の胆管の狭窄や硬化を示す部位がびまん性に広がっていて、

 

その上流が拡張していれば明らかです。

 

このパターンが繰り返されるため、数珠状所見を呈します。

 

 

早期に発見できれば、ウルソデオキシコール酸で胆汁排泄を促進させます

 

肝不全になった場合の根治療法は肝移植のみです。