「ストレス」は曲者!?(その2)

 

 

ストレスと言うと、ネガティブな気分にさせる出来事だけを思い浮かべがちです。

 

 

この場合のストレスは結果としての不愉快な気分という自覚症状ですから、

 

「ストレス反応」に相当します。

 

 

 

しかし、結婚や昇進など、喜ばしい出来事もストレスになります。

 

 

この場合のストレスは、因果関係でいえば原因となるイベントですから、

 

結婚や昇進などは「ストレッサー」ということになるでしょう。

 

 

常識的に考えると、結婚や昇進などのライフイベントは一般的に好ましいものとされます。

 

 

実は、その思い込みがあるためか、その場合の「ストレス反応」には気づけないことがあります。

 

 

なぜ、結婚や昇進などが「ストレッサー」になりうるのでしょうか。

 

 

なぜなら、結婚や昇進などは、日常生活に大きな変化をもたらしかねないからです。

 

 

そして、大きな変化に適応するためには、多くのエネルギーを必要とするからです。

 

 

ところで結婚や昇進などが「ストレッサー」になり得るからといって、

 

結婚や昇進を避けながら生きている方々も、実際にいらっしゃいます。

 

 

仮に「ストレス」という言葉が曲者だとしたら、

 

「ストレッサー」はすべて悪者なのでしょうか。

 

 

次回、ドクトル飯嶋と一緒に考えてみましょう。  

 

臨床心理士 宮仕聖子

 

<突然のご相談>

 

 

このシリーズは3日間連載です。

 

 

高円寺南診療所は、平成元年開院以来、実に様々なご相談を受けて参りました。

 

最近ではメールでのご相談を受けることがあります。

 

多くは患者さんご本人ではなく周囲の関係者からの相談です。

 

電話口でのお問い合わせには、従来より窓口の段階でお断りいたしています。

 

 

しかしながらメールにて重い内容の情報を受けた場合は、

 

医師としてというより一個人としてとても複雑な思いに駆られます。

 

 

これまでは相談者の想いを察する余り、できるだけ誠意をもって返信させていただきました。

 

しかし、担当業務外のメールでのご相談は、

 

今回のケースを最後として、一切お断りすることにいたしました。

 

 

 

差出人: Xさん(女性)15年ぶりの患者さん(平成13年に最終受診)の元妻

 

 

用件: 漢方薬による、がんの痛み、抗がん剤の副作用の緩和 メッ

 

 

セージ本文: 飯嶋先生 ご無沙汰しております。 以前お世話になっていましたXです。

 

 

残暑お見舞い申し上げます。 Aさんことでお伺いします。

 

 

かれは、1年ほど前から肺がんとわかりましたが、それを放置してまして、

 

春からは、甲総合病院で痛みを止めの薬の対処療法でした。

 

 

X月に私は知りまして、その後は担当の医師の勧めもあり治療をスタート。

 

 

(X+1)月某日に放射線治療を乙大学病院で。

 

今は、(X+2)月某日迄の予定で甲総合病院に入院しています。

 

 

病気の進行と単調な入院生活で、とみに意識も虚ろになっています。

 

 

知り合いが顔を見せてくれたら、とても喜んで痛みを忘れるようです。

 

 

しかし声が出にくくなってますし、意識がもうろうしてます。

 

 

ステージ4で、抗がん剤の効き具合や副作用によっては、

 

治療はやめてホスピスに移ることを考えてくださいとの状況です。

 

 

ちなみに、23日が最初の抗がん剤の日。

 

 

その後の副作用でどのような状態になるかはわかりませんが。

 

漢方薬は、がんの痛み、抗がん剤の副作用の緩和になるかと思いまして、ご相談のメールをしました。

 

 

受診しないで処方はできないと思いますが、

 

まずは、この場合にも有効なのかをお伺いして、担当のC先生に伝えたいと思います。

 

 

お忙しいところ恐れ入りますが、

 

Aさんに以前から親身に接してくださっていたことに頼ってメールしました。

 

 

よろしくお願いします。

 

 

 

このメールは 高円寺南診療所 (http://suikido.jp) のお問い合わせフォームから送信されました

今月のテーマ<感染症の特定内科診療>

 

 

「敗血症」

 

 

昨日の<医学クイズ>の正解は、A,B,C,D,Eのすべてです。

 

ただし、Cのみは注意が必要です。

 

Cは「外傷で入院していた小児が、その翌日、麻疹(はしか)を発症した。」

 

でした。これは、少し難しかったかもしれません。

 

感染性の病気に罹ってから症状が出現するまでの期間を潜伏期(せんぷくき)といいますが、

 

麻疹(はしか)の潜伏期が約10日であることを知っていないと判断がむずかしいでしょう。

 

また入院期間を示していないので、正確な判断はできません。

 

仮にこの小児が入院して数日であるとすれば、

 

この小児は「院外」ですでに感染し、それが入院後発症したと考えるべきでしょう。

 

その場合は「市中感染」です。

 

ただし、麻疹そのものは感染力が強いため院内感染の大きな原因の一つになり得ます。

 

 

 

さて、本日のテーマ「敗血症(はいけつしょう)」について説明いたしましょう。

 

 

「敗血症」とは、血液中に細菌が侵入することが原因となります。

 

 

その場合は、血液中より細菌を検出できても、

 

顕著な臨床症状を呈しない場合には「菌血症(きんけつしょう)」と診断されます。

 

 

しかし、それにとどまらず、

 

発熱、ショック、意識障害などの激しい臨床症状を呈することがあります。

 

このような状態を全身性炎症反応症候群といいます。

 

 

このように、菌血症に全身性炎症反応症候群が伴ったものが「敗血症」です。

 

 

これは感染症防御機能が低下している場合に起こりやすいです。

 

 

敗血症は重度になると血圧低下または重要臓器の循環不全に陥り、

 

重症敗血症という状態に進むことがあります。

 

 

こうなると、やがて点滴などの輸液をしても血圧低下を食い止めることができなくなり、

 

これを敗血症性ショックといいます。

 

 

ドクトル飯嶋の亡父は、最終的に敗血症性ショックになりました。

 

 

ドクトル飯嶋は入院先の担当医と協議しながら治療対応し、

 

父の最期を看取ることになりました。

 

 

可能な限り入院生活を送らなくて済むよう、

 

健康管理や通院加療のみで、

 

生き甲斐に満ちた長寿を楽しめるよう、

 

日々の養生と鍛錬に勤しんでいきたいものです。

今月のテーマ<感染症の特定内科診療>

 

 

「院内感染」

 

 

そもそも、「院内感染」とは、

 

病気の治療を受けている病院などの医療施設において、

 

新たに感染症に罹患することをいいます。

 

 

これは「市中感染」と区別されます。

 

 

両者の違いは、「いつどこで」感染したかということです。

 

 

高円寺南診療所は入院施設をもたず外来のみの医療機関です。

 

 

入院施設をもつ医療機関ほどではありませんが、

 

「院内感染」問題は避けて通れない現代医療の問題点です。

 

 

高円寺南診療所では、インフルエンザのワクチン接種を積極的に勧めています。

 

 

まず、予め診療所職員の全員に摂種を済ませてから、一般の患者の皆様の摂種を開始します。

 

インフルエンザで高円寺南診療所を受診される方のほとんどが初診の方で、

 

しかも、そのほとんどがインフルエンザのワクチンを受けていない方です。

 

 

インフルエンザの「院内感染」は可能な限り避けていきたいところです。

 

ですから、患者の皆様にも、繰り返しお勧めしている次第です。

 

 

 

さて、院内感染に関する<医学クイズ>にチャレンジしてください。

 

 

院内感染に該当するものを選んでください。

 

 

A:癌で化学療法中の入院患者が肺炎を併発した。

 

B:院内で多発しているインフルエンザに入院患者が感染した。

 

C:外傷で入院していた小児が、その翌日、麻疹(はしか)を発症した。

 

D:手術を受けた患者の創部(手術によるきずの部分)が化膿した。

 

E:医師が針刺し事故でB型肝炎に罹患した。

 

 

正解と解説は次回<明日>です。