(心理)認知行動療法  ストレスへの対処法-16

「ストレス」は曲者!?(その3)

 

 

私たちは毎日、仕事でもプライベートでも様々なストレッサーにさらされ続けています。

 

 

そこで参ってしまう人と参ってしまわない人の違いをいくつか挙げることができます。

 

 

一つには、ストレッサーの質と量の違いです。

 

 

英語では良いストレスをEustress、悪いストレスをDistressと分けることがあります。

 

 

「良いストレス(eustress)」とは、自分の器を大きくし、育むことができる負荷です。

 

 

例えば、目標、夢、スポーツ、よい人間関係など、

 

自分を奮い立たせてくれたり、勇気づけてくれたり、

 

元気にしてくれたりする刺激(ストレッサー)とその状態(ストレス反応)です。

 

 

人生の目標と将来像が明確である人は、目標達成に向けて必要なことを明敏に察知し、

 

自己の問題点や欠点を認知し、有効な努力を継続することができます。

 

 

この場合の継続可能な努力は自己効力感を高めることができる「良いストレッサー」です。

 

 

こうした良いストレッサーがないと、自信が育たず立派な人間に成長できません。

 

 

「艱難汝を玉にする」といった場合の、艱難は「良いストレッサー」に相当します。

 

 

 

「悪いストレス(distress)」とは、

 

自分の器を萎縮させ、破壊させかねない負荷です。

 

 

例えば、過労、悪い人間関係、不安など(ストレッサー)は、

 

自分のからだやこころが苦しくなったり、嫌な気分になったり、やる気をなくしたり、

 

まわりの人に何らかの迷惑をかけるような行動をとりがちな状態(ストレス反応)をもたらします。

 

 

生き甲斐や人生の目標が見いだせない人は、何をしても身が入りません。

 

 

インセンティブ(励みとなる刺激)が働かないのでモチベーション(動機づけ)が維持できず、

 

やがては周囲の人間関係を損ねがちになります。

 

 

「ストレス」という言葉は曲者ですが、

 

「ストレッサー」には善玉も悪玉もあるということでした。

 

 

次回は再び臨床心理士 宮仕聖子先生の出番です。 

 

ドクトル飯嶋