水の分類と「活水航法」No.6

前回まで、病的な水である四飲、

 

つまり4種類の(広義の)痰飲(たんいん)について説明してきました。

 

今回は、四飲以外の水毒について紹介します。

 

 

 

水毒は四飲の他に、留飲(りゅういん)伏飲(ふくいん)があります。

 

 

<留飲>は、水毒(痰飲病)の一つで、

 

飲邪が長期にわたり消退せず留滞する病証です。

 

中焦脾胃の運化機能(胃腸の消化吸収機能)が失われて水飲が長く体内に停滞し、

 

胸も腹もすっきりせず、ひっかかったり詰まったりするに至った状態です。

 

 

日常的なストレスによる不平不満が解消すると気分が落ち着き、

 

胸がすいて気持ちがよくなることを「溜飲が下がる」といいます。

 

このときの溜飲は、この留飲に相当します。

 

 

留滞する部位によって症状は異なるが、

 

疼痛・腫脹・機能障害・冷えなどがみられます。

 

 

水氣道では、全体の基本稽古に加えて「調血航法」、「活水航法」さらに、

 

「経絡航法」によって改善を図ることができます。

 

 

 

<伏飲>身体の奥深くに潜伏した痰飲のことです。

 

痰飲とは病的な水分が長期に欝滞して粘ったものを指す中医学の概念で、

 

さまざまな病気に関係しています。

 

この痰飲が体内に潜伏し、

 

悪寒や咳嗽、腰痛などが発作的に生じるようにまで至ったものが伏飲です。

 

これが進行して悪化すると、難治性の慢性疼痛になります。

 

 

伏飲は漢方医学の喘息の病態に関しては、古くから文献に記載されています。

 

喘息では痰飲が肺の奥深くの膈(横隔膜)の付近に潜伏しているので伏飲といいます。

 

ですから、非発作時には無症状で痰は出ませんが、

 

発作が起こると喘咳と一緒に痰となってこみ上がってくるのです。

 

発作を起こす引き金になるのはカゼ、寝不足、疲労、気候や気圧の変化、

 

ホコリ、タバコの煙や排気ガスなどですが、

 

実は病の根本要因はこの伏飲であり、伏飲が除かれない限り喘息は治らないわけです。

 

 

水氣道では、全体の基本稽古に加えて「理氣航法」、「活水航法」さらに、「経絡航法」

 

によって改善を図ることができます。

 

 

今回で「活水航法」の解説は締めくくります。

 

水氣道で直接「水」に係る「活水(カッスイ)航法」をです。

 

活水の方略は心身の「弾性」を育むことにあります。

 

弾性を育むための方術は、「流動性」と「柔軟性」です。

 

 

 

今回は、「経絡航法」という名称が登場しました。

 

次回よりこの「経絡航法」の解説が始まります。

 

 

心身を統合している3系統を東洋医学的に表現すると「氣」「血」「水」になります。

 

 

「経絡航法」はまず、「氣」「血」を統合的に調整して氣道を確保し、

 

さらに「水」と交わることによって、水氣道を完成させる道筋をなすものです。