神経・アレルギー・膠原病内科Vol.4

今月のテーマ<神経の特定内科診療>

 

 

仕事が残っていて、周りに迷惑をかけている。

 

どうしても入院したくない、とおっしゃるので、

 

最悪、明日以降も外来受診の可能性を考えながら血液検査をしました。

 

 

幸い、同居人の彼氏が同伴していたので、彼に十分説明したところ、

 

彼氏が、緊急入院を説得してくれました。

 

 

以下は、翌日に届いたデータです。

 

血液検査所見:赤血球370万、ヘモグロビン11.8g/dL、Ht36%、

 

白血球数15,800(桿状核好中球16%、分葉核好中球63%、単級4%、リンパ球17%)、

 

血小板16万。CRP30mg/dL

 

以上のデータを入院先の病院の担当医に送ったところ、

 

以下の返事をいただきました。

 

 

「緊急入院直後、ただちに頭部単純CTを撮り異常を認めませんでした。

 

そこで腰椎穿刺により脳脊髄液を採取し、

 

グラム染色をして鏡検(光学顕微鏡での検査)したところ、

 

グラム陽性双球菌を検出しました。

 

ご紹介ありがとうございました。」

 

 

この症例は、最終的に肺炎球菌による細菌性髄膜炎という診断でした。

 

髄膜炎を見逃すと、患者さんは不幸な転機をたどります。

 

 

しかし、髄膜炎と診断できても、原因はさまざまで、それによって対処法が異なります。

 

原因を突き止めずに、手当をすることは無謀です。

 

「解熱剤と痛み止めをください。」という患者さんの希望に添うだけで

 

帰宅していただいたら大変な事態を招いていたことでしょう。

 

 

髄膜炎の原因が細菌であることが早期に判明し、

 

適切な抗生物質が投与されたことによって無事に退院できたそうです。