(心理)認知行動療法  ストレスへの対処法-9

前回は「ご自身の考えのクセをチェックしてみては」と提案いたしました。

 

しかし、これが実は難儀なことだったりします。

 

 

以前にもお話ししましたように、

 

「考えのクセ」は本人にとっては当然の、半ば無意識的に生じる思考です。

 

 

ですから、考え方が偏っている=思い込み・決めつけである、

 

とは自力では気づきにくいものです。

 

 

そこから気づくためのカウンセラーによるお手伝いがはじまるわけです。

 

 

そこで、今回まで熱心に読んで下さった皆さまに、

 

「気づくヒント」の具体的例をお伝えしたいと思います。

 

 

 

まず、ネガティブな感情が湧きおこった出来事について紙に書いてみましょう。

 

 

1)いつ、どこで、誰が、どうした、という具合です。ここまでなら書きやすいと思います。

 

 

2)次に、「どんな感情が湧いて、私はどうなった・どうしたのか?」を書きます。

 

 

3)そして、「その感情にはどんな考えが込められているの?」とじっくり自分に聞いてみます。  

 

熱心な読者の皆様は既にお気づきかもしれませんが、これこそが「自動思考」なのです。

 

 

例を挙げて説明してみましょう。

 

1)店員がそっけなかった。

 

2)私は頭にきた、飲み物もまずく感じた。

 

3)頭にきたのは、店員がそっけなかったから…

 

 

ここでストップ! ちょっと立ち止まって下さい。

 

「店員がそっけなかったから=当然頭にくる状況」

 

「当然」でも「絶対」でも「ほらやっぱり」でもないのです。

 

この思い込みに飲み込まれないように!

 

 

そして、どうして「A:店員がそっけない」と「B:頭にくるのか」。

 

 

その理由を自分に聞いてみましょう。

 

 

AとBをつなぐものは何でしょうか。

 

 

そこに認知のクセが隠れているのです。

 

 

ここに気づくことが鍵です。

 

 

例えば、「そっけない態度」というのは…

 

 「私に向けられたものだから」、「私をバカにしている証拠だから」、

 

「店員がすべき態度ではないから」、などなど理由(クセ)は人それぞれ。

 

 

「だから私は頭にくる」、確かに、そういう理由なら頭にくるかも。

 

 

でもそれは、真実ではないかもしれません。

 

 

もしかしたら、「私に向けられたものではない」、

 

「私をバカにしているわけではない」、「店員も完璧ではない」から。

 

 

「絶対」と思う度合いが強いほど、ブレーキをかけるのは大変です。

 

 

そこで、大事故につながる前に早めに

 

「これは決めつけかも、思考の暴走をやめてみよう」

 

と思ってみましょう。

 

 

このように気づくだけでも、物事のとらえ方はずいぶん違ってくると思います。

 

 

思考が暴走して極論までいって、感情の嵐でくり返しヘトヘトになってはいませんか? 

 

ヘトヘトな時は一人で悩まずに、ぜひご相談にいらして下さい。

 

 

臨床心理士 宮仕 聖子