病的な水である「水毒(すいどく)」、
中医学での痰飲(たんいん)について説明しました。
今回は、この四飲のうち、前回の(狭義の)痰飲に引き続き、
懸飲(けんいん)について解説します。
<懸飲>は、胸水に相当し、咳や痰および胸痛を来します。
肝の疏泄作用の失調が原因となり、水飲が脇の下に流れて生じます。
肝の疏泄作用とは、
①氣・血・水の流れを整え、
②消化吸収作用を促進し、
③情緒や精神の安定をもたらす作用です。
胸腔内には健康者でも少量の液体がありますが、
現代医学で病的な胸水を二大別します。
漏出性胸水:肺内の正常な圧力に障害が起こる疾患で生じます。
鬱血性心不全、ネフローゼ症候群、肝硬変など。
対処法は、まず栄養学的に血液中のアルブミン濃度を維持することです。
水氣道では、重症度にもよりますが、親水3航法
⇒準備体操「イキイキ体操」⇒標準5航法などの
全体共通メニューのみで十分に改善しています。
滲出性胸水:肺や胸膜の炎症や感染、悪性腫瘍などの疾患の結果生じます。
細菌性肺炎、胸膜炎、肺結核、肺悪性腫瘍(癌性胸膜炎)など。
対処法は、まず原因疾患に対して
現代医学の標準的な治療を十分に行うことが不可欠です。
十分な養生ができるようになり、
感染性の病気では、周囲に感染させる危険性が無くなってから、
親水航法のみの稽古からはじめて徐々に鍛錬していくことで、
良好な経過が得られた方が多数いらっしゃいます。
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