声楽家として健康的かつ芸術的な声を保持するためには、
発声技術そのものの基礎訓練の継続が肝要だと思われます。
2時間におよぶ私の定例稽古は、概ね以下の流れで続けています
1)協力ピアニストのピアノ曲演奏の鑑賞。
2)目的に応じて選択した『声楽教則本』を用いた発声・歌唱技術訓練。
3)コンサート用の歌曲の稽古。
4)コンサート用のオペラ・アリアの稽古。
この4つの段階を踏むこと、
それぞれの段階で取り組む課題間の整合性について合理的にデザインすること、
それを着実に計画的に実行すること、
それによって顕著な効果が得られています。
なお、ピアニストの協力が得られなければ、
このメソッドでの稽古は一歩も前進しません。
最近、多くの声楽関係者の皆様、
ピアニストの皆様のご質問をいただくようになりました。
そこで現状での私のメソッドを
一部(予定も含めて)公開させていただくことにいたしました。
以下、各声楽教則本の作曲者を生年順にリストしました。
目的や課題、担当ピアニストの一覧をご紹介いたします。
<18世紀以降>
パエール:Ferdinando Paer(1771 - 1839)伊の作曲家。
<コロラトゥ―ラとアジリタの技術習得のために用いる予定です。>
担当ピアニスト:(聖楽コンサート協力ピアニストに要請の予定)
ボルドーニ:Marco Bordogni(1788-1856)伊のテノール。
<最高音がA.B.Cのみ。最高難度。>
担当ピアニスト(四声唱法):荻原由実さん。
研究課題:ロシア歌曲・スペイン歌曲
バッカイ:Nicola Vaccaj (1790 - 1848)伊のオペラ作曲家、歌唱指導者
<重い声が軽くなり、レガートで語るように歌えるようになる珠玉の一冊。>
《イタリア語の歌詞付きのアリエッタで構成され、サロン・コンサートにても好評を得ました。》
担当ピアニスト(第四週先任):吉田奈津子さん。
研究課題:イタリア歌曲・アリア
ロッシーニ:Gioachino Antonio Rossini(1792- 1868)伊の作曲家。
<ロッシーニなどベルカント・オペラの歌唱技術向上のために用いています。>
担当ピアニスト(四声唱法):中村達郎さん。
研究課題:伊古典歌曲(カウンターテナー)
担当ピアニスト(四声唱法):荻原由実さん。
研究課題:ロシア歌曲・スペイン歌曲
<19世紀>
コンコーネ:Giuseppe Concone(1801-1861)伊の作曲家。
<フランス歌曲を歌うために、「コンコーネ15番」を役立てています。>
担当ピアニスト(第三週先任):佐々木理之さん。
研究課題:仏歌曲、特にR.アーン
パノフカ:Heinrich Panofka(1807‐1887)独のヴァイオリニスト。声楽家。作曲家。
<テノールによるドイツ・リート歌唱技術向上のために用いています。>
担当ピアニスト(第二週先任):齋藤亜矢子さん。
研究課題:独歌曲、シューベルト『美しき水車小屋の娘』など
担当ピアニスト(第五週先任):齋藤文香さん。
研究課題:独歌曲、シューマン『詩人の恋』など
<19世紀以降>
マチルデ・マルケージ:Mathilde Marchesi(1821 ⁻1913)独のメゾソプラノ。作曲家。
<女声向けドイツ歌曲をカウンターテナーで歌うための準備に用いる予定です。>
担当ピアニスト(第五週先任):齋藤文香さん。
研究課題:独歌曲、シューマン『女の愛と生涯』など
サルバトーレ・マルケージ:Salvatore Marchesi(1822 - 1908)伊のバリトン。作曲家。
<バリトンとメゾソプラノの歌唱技術を磨くために用いる予定です。>
担当ピアニスト(第四週先任):吉田奈津子さん。
研究課題:伊歌曲、特にトスティ、アリア
担当ピアニスト(四声唱法):寺根佳那さん。
研究課題:伊古典歌曲(カウンターテナー)
担当ピアニスト(四声唱法):中村達郎さん。
研究課題:伊古典歌曲(カウンターテナー)
ヴュルナー:Franz Wüllner(1832-1902)独の作曲家、指揮者。「コールユーブンゲン」
<佐々木理之氏より特別のお勧めです。リズム感養成のために用います。>
担当ピアニスト(第三週先任):佐々木理之さん。
研究課題:仏歌曲、特にR.アーン
トスティ:Francesco Paolo Tosti(1846- 1916)伊の歌曲作曲家。
<トスティの歌曲を高水準の技術で歌えるようになるために用いています。>
担当ピアニスト(第四週先任):吉田奈津子さん。
研究課題:伊歌曲、特にトスティ、アリア