ウィーン滞在中には、仕事の合間に、

 

人気テノール歌手のパブロ・カメセッレ氏による3回の集中個人レッスンを受けました。

 

パブロさんはアルゼンチン出身で、母親はイタリア人。

 

だから、彼の母国語はスペイン語とイタリア語。

 

そして彼は現在ウィーン在住で、ふだんの生活はドイツ語を使っているが、

 

地元の国立歌劇場をはじめ、欧州全土で活躍しているので、

 

声楽指導はわかりやすい英語で行ってくれました。

 

 

パブロさんの声はyoutubeで聴くことができます。

 

その一部を紹介します。

 

ドニゼッティのオペラ「連隊の娘」より、

 

<ああ友よ・・・僕にとっては何という幸運>

 

https://www.youtube.com/watch?v=HvoXV_6Lmjc

 

 

ドニゼッティのオペラ「愛の妙薬」より、<何と美しい女>

 

https://www.youtube.com/watch?v=pcHhySOzdvU

 

 

モーツアルトのオペラ「ドン・ジョヴァンニ」より、<彼女の安らぎこそ>

 

https://www.youtube.com/watch?v=5zqMx_olqA8

 

 

 

<英語による個人指導の要点>

 

イタリアの声楽家は、しばしばマスケラ(顔半分だけを覆った「仮面」に覆われる部位)

 

を響かせるように指導するが、あなたは自然にそれができている。

 

むしろそれを意識しないで、喉から直接歌ってほしい。

 

 

あなたの折角の良い声は、高音部で鼻に抜けてしまう癖で台無しになってしまう。

 

マスケラを意識することによって息や響きが鼻に抜けてしまってはせっかくの美声が曇ってしまい何にもならない。

 

それから、響きが横に拡がり声が平べったくなるので、高音ほど縦に集めて歌うことが大切だ。

 

 

イタリアの歌曲やアリアは純正なイタリア語の母音で歌うこと。

 

子音はドイツ語の発音のように強めてはならない。

 

 

あなたの声量は歌劇場で歌うとしてもすでに十分である。

 

むしろ声の大きさのメリハリに工夫が欲しい。

 

十分に音量を抑えて歌うべきところを丁寧に扱いさえすれば、

 

フォルテ部分も無理せずに十分表現できている。

 

今日できたことを、今後も忘れないで稽古して欲しい。

 

 

あなたの声はリリック・テノールだ。

 

しかし、今回はモーツアルトやベルカント・オペラよりも、

 

たとえばプッチーニのオペラ「トスカ」、それも<妙なる調和>ではなく、

 

<星は光りぬ>、それからビゼーのオペラ「カルメン」の<花の歌>もお勧めだ。

 

(この2曲は、実際にレッスンを受けました)。

 

 

帰国の翌日(3月28日)に、パブロ・カメセッレ氏にメールを送りました。

 

次回送ったメール掲載します。

本日は、ウィーン滞在の最後の朝を迎えます。1255にウィーンを発ち、

 

15:05にパリのシャルル・ドゴール空港、1720にそこを出立し、

 

機中泊の後、明日27日(月)1215に羽田着の予定です。

 

27日の聖楽の公開レッスンはお休みですが、

 

28日(火)の公開レッスンは予定通り行います。

 

担当ピアニストは齋藤文香さんです。

 

昨日は、ウィーンに到着した翌日の土曜日です。

 

午後7時から国立歌劇場Staatsoper)でオペラ<ファウスト>の観劇。

 

本日の日曜日も同じ歌劇場でオペラ<トリスタンとイゾルデ>、明日はオペラ<アラベッラ>、

 

明後日は、国民歌劇場Volksoper)で<ドン・ジョヴァンニ>です。

 

この間、午前中は、ウィーンの医学関連施設の訪問とベルリンでの学会発表の最終準備、

 

午後は、ウィーン国立音楽大学名誉教授のソプラノ、クラウディア・ヴィスカ先生による4年ぶりのレッスン、

 

テノール、パブロ・カメセッレ先生による初めてのレッスンなどで過ごします。

 

ご挨拶

 

平成29年3月22日は、『音海』聖楽コンサートの第50回目です。初回コンサートは、

 

昨年の3月23日でしたので丁度、1年を迎えました。

 

この間、多くの皆様のご理解とご支援、それからご期待を賜り、

 

少しずつですが、確かな成長を遂げることができました。

 

 

何よりも皆様に御礼申し上げます。

 

 

この際、とても良い機会ですので、医師である私が、診療の傍ら、なぜクラシック音楽のコンサートを主宰し、

 

自らも毎週続けているのか、その目的と意義について、お話をさせていただきます。

 

 

それを一言でいえば、心身医学の創造的実践ということです。

 

その第一号は水氣道®であり、水氣道の実践により、人間の楽器性に覚醒したことが、

 

クラシック音楽、特に言語を用いて自らの心身を操り、表現する芸術である声楽は、

 

病者の病を治すだけでなく病者として悩み多き人間を癒す」ことが可能な生きた心身医学療法

 

それに向けてのもう一つのモデルになりうることに思い至ったからです。

 

 

私は個人医療機関(ただし、チーム医療を重視しています)である高円寺南診療所の

 

あるべき姿勢について参考にできるメッセージを、かつて発見しました。

 

それは国公立病院ではなく、私学である東京慈恵会医科大学付属病院の理念でした。

 

 

創立者の高木兼寛(たかき かねひろ:1849 - 1920)は研究至上主義のドイツ医学を批判し、

 

病者を病に悩む人間とみる医風」があるイギリス医学へと転換することを主張しました。

 

実際に、彼の大学にはわが国独自の精神療法(心身医学療法の一つともされる)

 

である森田療法【1919】の創始者、森田正馬(もりたまさたけ:1874 – 1938)教授が有名です。

 

現在の公式HPでは以下のように宣言されています。

 

http://www.jikei.ac.jp/hospital/rinen.html

 

「病気を診ずして病人を診よ」の教えに基づき、質の高い医療を実践し、

 

医療人を育成することにより、社会に貢献し、

 

患者さんや家族から信頼される病院をめざす。

 

 

私は、この理念を尊重しますが、19世紀に宣言された立派な理念を掲げて事足れり、とするのではなく、

 

創造的な実践を自らが重ねる> このことこそ21世紀の現代医療の急務であると考えています。

 

 

現在の彼の大学が、真に創立者の哲学を継続的に実践していたとすれば、

 

彼の大学病院には、それを実践することのできる核としての専門部門である心療内科が設置され、

 

そこから排出されるべきパイオニアでありエキスパートである心療内科専門医を多数輩出し、

 

日本の第一線の医療をリードしてしかるべきではないのか、と残念に思う次第です。

 

 

そう考える理由は、全人的医療なり、心身医療なり、

 

心療内科こそが、とりわけ「病者を病に悩む人間とみる医風」を育むと考えるからです。

 

また、高木の時代とは異なり、現代ドイツの医学・医療は研究至上主義ではなく、

 

むしろ全人医療である心身医学・心身医療を国際的にリードしています。

 

 

心療内科専門医は、常に時代の要請に応え、将来を見据えて、

 

精神療法や心理療法を尊重しつつも、それとは一線を画する

 

本来の心身医学療法を創造し、弛まず実践し、検証を続けていくべき責務を自覚しております。

 

 

 

ご案内

 

来週の水曜日、3月29日に、新たに、<聖楽院週例コンサート>が発足します。

 

『音海』聖楽コンサートの協力アーティスト有志が声楽科、ピアノ科、器楽科の3科の講師として、

 

音楽愛好家のための音楽塾である<聖楽院>が発足することに伴い、

 

<聖楽院週例コンサート>と改称いたしました。

 

 

すでに10名ほどの塾生がレッスンに参加しています。

 

彼らのための独自の発表会の企画も整備していく予定です。

 

また協力アーティストの応募者が増え、そのためのオーディションとして、

 

新年度第1回試演会が、4月19日の第4回<聖楽院週例コンサート>のプログラムの中で開催されるほか、

 

第2回試演会の日程も今月中には決定する予定です。

 

 

引き続き、<聖楽院週例コンサート>のご支援をお願いいたしますと同時に、

 

<聖楽院>塾生(レッスン生)としてのご参加、協力アーティスト(聖楽院講師)へのご応募、

 

など、皆様との間に、より親しい繋がりや、より多くの分かち合いの機会が得られますことを、大いに期待しております。

 

 

ウィーン・ベルリンへの出立を控えて 平成29年3月16日

 

高円寺南診療所院長、

 

聖楽院および聖楽院週例コンサート主宰 

 

飯嶋正広

今月はわが国では年度末に当たり、「聖楽」活動も、かなり変則的になります。

 

 

聖楽コンサートは、第1週先任のピアニスト、鈴木美穂さんとの

 

第47回聖楽コンサートは、通例通り行うことができました。

 

 

今月第2週(3月8日)第3週(3月15日)の担当ピアニストは吉田奈津子(第4週先任)さんです。

 

充実したプログラムが、すでに完成しておりますので、どうぞご覧になってくださいますように。

 

 

なお、第4週(3月22日)第50回聖楽コンサートは、

 

聖楽コンサートの最終回を飾る90分特別プログラムです。

 

「音海」水曜ミニサロンコンサートとして20回、聖楽コンサートとして50回、併せて70回を迎えることになります。

 

 

鈴木さんが佐々木理之(第3週先任)さんと共に担当してくれます。

 

このコンビは、前身の「音海」水曜ミニサロン・コンサートの準備期間からの貢献者です。

 

 

さらに、昨年の3月の私の欧州出張(ドイツ・ポツダム)で不在の折に、

 

第1回聖楽コンサートを発足させ、成功に導いてくれました。

 

その締めくくりの50回目が丁度、今年の私の欧州出張

 

(ドイツ・ベルリンおよびオーストリア・ウィーン)に当たるのも感慨深いものがあります。

 

 

そして、第5週(3月29日)には、第1回聖楽院週例コンサートが90分特別プログラムにて発足します。

 

担当ピアニストは齋藤文香(第5週先任)さんです。

皆さんご無沙汰しております。佐々木理之です。
 
先週、帝国ホテルにて真向法という柔軟体操を取りいている
 
ダンススクールのミニコンサートにソプラノとバリトン歌手の伴奏者として参加してまいりました。
 
 
プログラムにはウィーンをテーマにした曲も取り入れ、
 
演奏に合わせて、スクールの皆さんが楽しそうにウィンナーワルツを踊っていた姿が印象的でした。
 
 
 
素晴らしい歌手の方とともに設立35周年のおめでたい会に華を添えることができ、嬉しかったです。
 
 
 
写真は終演後におどけて撮ったものです。
 
左は私、真ん中はソプラノの大音絵莉さん、右はバリトンの中西勝之さんです。
 
SASA
 
 
 
さて、帝国ホテルのあとはすぐさま次回の聖楽コンサートの準備に取り掛かっております。
 
 
次回の私の出演は3月22日(水)です(今月のみ第4週水曜日の出演になります)。
 
 
当日は、飯嶋さんが海外出張のため不在ですが、
 
頼れるアネゴ、鈴木美穂さんをパートナーに向かえ、
 
オール連弾プログラムで90分盛大にお送りしたいと思います。
 
 
ブラームスのハンガリー舞曲、ドビュッシーの小組曲などの人気の連弾曲に加え、
 
オケの編曲物あり、ポップスあり、ラテンあり、テクノあり、演歌ありの
 
まるで音楽のバイキングコースと言わんばかりの超盛りだくさんのプログラムです。
 
 
これだけのボリュームなのでさらうのは大変ですが、それ以上にわくわくしております。
 
 
ソロとは一回りも違うピアノ・デュオならではの音の厚みやスケール感をお楽しみください。どうぞお越しください。
 
 
 
ということで今月の一言「35周年おめでとう!同い年だね!」です。
 
 

昨日の<タカギクラヴィア松濤>でのコンサートのご報告をいたします。

 

テノール・バリトン:飯嶋正広 、ピアノ伴奏:鈴木美穂

 

 本番で、プログラム変更をしました。

 

演奏の前半をイタリア歌曲、後半をコンコーネ作曲50Lessons Op.9(Medium Voice)の

 

オリジナル・アレンジメントによる演奏としました。

 

 

リハーサルの結果、ピアニストの鈴木美穂さんには、急遽、曲の一部の調性を変更するなど

 

柔軟に対応していただきました。結果は大好評でした。

 

 

客席満席で、顔なじみのお客様も少しずつ増えてきているのが実感できました。

 

コンコーネ ⇒ 百人一首 ⇒ オリジナル英語詩 というアイディアで、

 

これほどまでに聴衆を魅了できるとは思いませんでした。

 

DVDで録画しているので、代表的な一曲を、HP聖楽院の協力アーティスト欄、

 

鈴木美穂さんのところに、その音源をアップする予定です。

 

 

聖楽院協力アーティストのチェロ奏者、藤岳音さんも名演奏を披露してくれました。

 

彼は、今月29日(水)の第一回聖楽院週例コンサートに出演の予定です。

 

担当ピアニストは、齋藤文香さんです。東高円寺「音海」どうぞご来場ください。

 

本日は、渋谷文化村通り沿い<タカギクラヴィア松濤>でのコンサートに出演します。

 

テノール・バリトン:飯嶋正広

 

ピアノ伴奏:鈴木美穂

 

 

 今回のプログラムの特徴は、

 

1)歌い手がテノールとバリトンの声種を楽曲によって使い分けること。

 

 

2)19世紀のイタリア声楽教則本の曲に、

 

わが国の和歌(小倉百人一首掲載歌)をあわせて、演奏用の芸術歌曲としたこと。

 

 

3)しかも、上記の歌詞を英訳して、オリジナルの英語の芸術歌曲としたこと。

 

 

以下がプログラムです。

 

〇 ジョルダーニ作曲:愛しい女よ

 

〇ドナウディ作曲:どうか吹いておくれ

 

〇コンコーネ作曲50Lessons Op.9(Medium Voice)より

 

1番:古今和歌集・春より、光孝天皇御製「君がため、春の野に出でて」

   <For your pleasure !> 英訳歌詞 飯嶋正広

 

2番:新勅撰和歌集・夏より、従二位家隆「風そよぐ楢の小川の」

   <Fresh winds, winds blow.> 英訳歌詞 飯嶋正広

 

19番:古今集・恋二より、藤原敏行朝臣「住之江の岸に寄る波」

 

20番:拾遺集・雑上より、大納言公任「滝の音は絶えて久しくなりぬれど」

 

〇カッチーニ作曲:アマリッリ

 

〇ボノンチーノ作曲:お前を讃える栄光のために

聖楽は、キリスト教以外では、ヒンズー教の音楽、イスラム教の音楽などがあります。

 

これに対して、日本固有の宗教曲といえば、神道の典礼音楽である神楽(Shinto music)があります。

 

また、仏教音楽(Buddhist music)は、仏教の儀式や瞑想のための音楽として永い伝統を誇っています。

 

 

私は、声楽とほぼ同時期に、家族からの勧めもあって、

 

能楽の稽古(観世流梅若会)を始め、近年まで稽古を続けていました。

 

現在は、多忙のため、もっぱら鑑賞者になっています。

 

この能楽の稽古には、謡(うたい)と仕舞(しまい)がセットになっているのですが、

 

いずれも仏教色、神道色が濃厚であることに気づかされます。

 

本格的な能舞台での番組には、お囃子(はやし)が付きます。能楽囃子に用いられる楽器は、

 

能管)、小鼓(こつづみ)、大鼓(おおつづみ、おおかわ、とも)、太鼓(たいこ、締太鼓)の4種があり、

 

「四拍子」(しびょうし)といいます。私は、能楽も聖楽であると受け止めています。

 

 

昨年末の仕事納め1228日の翌日に、思い立った作業は、

 

19世紀のイタリア声楽教本(歌詞のないソルフェージュ曲集)に日本古来の和歌を載せることでした。

 

この着想を得た背景も、私の聖楽遍歴に由来していた可能性があります。

 

聖楽という言葉で表される音楽は、かなり広範な広がりをもっているようです。

 

 

まず代表的なのはChristian music (キリスト教音楽)です。

 

これは元来、ユダヤ教の礼拝音楽で、後にはシリアの影響もうけていたようです。

 

歌唱と朗誦(儀式の祈り文の朗読)の中間にある音楽であったらしいようです。

 

そのユダヤの音楽はエルサレムの寺院(シナゴグ)で演奏されていた形式を基礎としていたのだそうです。

 

キリスト教の中心がヨーロッパとくにローマに移ると、

 

ローマのカトリック教会はLiturgical Music(典礼音楽)を生みました。

 

 

こうした古い伝統を持つキリスト教音楽は、プロテスタント誕生以前の音楽ですが、

 

キリスト教プロテスタント系の宗教音楽としてGospel music (ゴスペル)があります。

 

アメリカ発祥の音楽の一ジャンルをなしています。

 

ゴスペルは英語で福音および福音書を意味し、

 

ゴスペルソング、またゴスペル音楽(ゴスペルおんがく)ともいいます。

 

これに関連して、やはりアメリカの黒人奴隷によって誕生したSpiritual musicがあり、

 

一般にNegro Spiritualとよばれているキリスト教音楽も有名です。