最終的には、食べたら嘔吐、飲んだら下痢」という状態になりました。

 

 

その結果体重が2ヶ月ほどで73㎏から66㎏まで落ちてしまいました。

 

 

体が干からびるか?』 と思いました。

 

  

 

 

一睡もできない状態も続き、まともに思考することなど到底できませんでした。

 

 

このまま死ぬのではないか?』 という恐怖に支配されていました。

 

 

自分を責めてばかりいました。

 

 

地獄のどん底にいた私にも、やがて転機が訪れました。

 

 

高円寺南診療所お世話になったのでした。

 

 

 

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

前回までをお読みになった皆様の中には、

 

 

「交感神経の働きが過剰になっているから深呼吸してみたら?」

 

 

という対処法を思いついたことでしょう。

 

 

そのことによって、副交感神経を働かせることができるわけですから。

 

 

 

しかし実際には、前回ご紹介した状態にまで陥ると、

 

 

深呼吸どころか、普通の呼吸すら満足にできません。

 

 

なぜなら衰弱すると体幹に力が入りません。

 

 

そして姿勢を保持する筋肉が衰えていくと、

 

 

衰えた筋肉が硬直の度合いを増し、

 

 

呼吸がいっそう浅くなり、

 

 

さらに息苦しさが増し加わってくるのです。

 

 

 

冷静であれば、すぐにその悪循環に気づけたはずです。

 

 

自分を見失っていると、その苦しいだけの無理な呼吸を、

 

 

必死な思いで何度も試みてしまうのでした。

 

 

それでますます呼吸を乱て苦しくするばかりでした。

 

 

そうなると、呼吸数を増やして代償する道しか見出せません。

 

 

呼吸数を増やすことは、すなわち交感神経の働きを亢進させることにつながります。

 

 

それしか自己制御の手立てがなくなるのです。

 

 

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

前回の続きです。

 

 

まず、「心臓がドキドキして、気分も行動も落ち着かなく」なりました。

 

 

まるで短距離走をしているかのようでした。

 

 

 

つぎに、「胃が重く、食欲が低下」しました。

 

さらに、「常に口が乾いていて、気持ち悪い。唾液が出ない。口が貼りつきました。」

 

そのせいなのか、「食べ物の味が全く感じられない」のです。

 

 

特に『米がまずい!』

 

 

「砂を噛む」という表現があります。

 

砂って、きっとこんな味がするに違いないと思いました。

 

 

それまで私は、おいしいお米を主食とし、

 

当たり前のように毎日味わうことができる、ごくふつうの日本人でした。

 

『米がまずい!』

 

この突然の変化は、そんな私にとって想像を絶するほどの大ショックでした。

 

 

 

すべてにおいて悲観的になり、自分を責めるようになっていくのでした。

 

 

些細なことにさえ涙が止まらなくなってしまうのでした。

 

 

不思議なもので、いったん泣いてしまうと身も心も落ち着きます。

 

 

 

ただし、その救いも、ほんの束の間にすぎませんでした。

 

 

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

今回から5回にわたって私自身の実際の経験を報告、

 

そして、解説をさせていただくことにします。

 

 

 

テーマは 「疲労度分類」

 

反復性疲労から疲労困憊までのプロセスについてです。

 

 

 

さて私は以前、とある接骨院に勤めていました。

 

そもそもの事の発端は、突然に言い渡された解雇通告でした。

 

その接骨院の経営者の柔道整復師から1ヶ月後に解雇されました。

 

 

仕事が無いこと。定職に就けないこと。

 

自尊心が根底から傷つけられてしまうと、

 

たとえ資格や技能や経験があっても、

 

それをまったく活かせないとなると、

 

かえって孤独と絶望感にさい悩まされるものです。

 

 

つまり、失業状態は、底知れぬ不安、

 

尽きることのない苦しみの元凶となりました。

 

 

 気力が根こそぎ奪われている状態での不安には、焦燥感が付きまといます。

 

その不安は、様々な耐え難い身体症状を、次々と引き起こしました。

 

 

次回は、そのプロセスについて、振り返ってみたいと思います。

 

 

≪ドクトル飯嶋からのコメント≫

 

やあ、坂本先生。

 

随分思い切った記事を書きましたね。

 

こうした手記を公表するということは、

 

想像以上に、心身に負荷が掛るものですよ。

 

 

もっとも、坂本先生ご自身が、避けて通れない作業とお考えである以上、

 

私は敢えて反対せず、見守ることにします。

 

 

ただし、治療者として配慮しなくてはならないことは、

 

読者の皆様の魂への配慮です。

 

 

Mr.NoGucciの懺悔録でもコメントしましたが、

 

シリアス過ぎるのはあまり良くありません。

 

 

自他の魂を癒す目的のために、

 

心身栄養学的に説明するならば、

 

心のカロリーの他に

 

魂のビタミンやミネラルが不足してはなりません。

 

それは、エスプリとユーモア。

 

つまり、芸術性と人間性なのだと思います。

 

 

楽しくてためになるシリーズになるよう祈っております。

今回は自律神経と呼吸の関係について見ていきましょう。

 

 

自律神経の働きの表を見ながら読んでください。

 

自律神経表

 

 

 以前、自律神経のはたらきで「自律神経の要素は無意識にコントロールされているが、

 

意識的にコントロールできる要素もある」と書きました。

 

 

 

それは何でしょうか?

 

 

 

答えは「呼吸数」と「呼吸の深さ」になります。

 

 

 

緊張すると教えられたわけでもないのに、深呼吸しますよね。

 

 

それは深く大きく呼吸することにより、

 

自動的に呼吸数が減り、副交感神経が働きやすくなるのです。

 

 

これを意識的に訓練して、十分に利用することができるようになれば、

 

 

深呼吸によるリラクゼーションを導くことができるようになります

 

 

交感神経を過剰に働かせている現在、ヨガ、瞑想等の言葉が世間を賑わせています。

 

そのどれもが、深く大きく呼吸をすることを重要視しています。

 

 

皆、本能的に「副交感神経を働かせないとまずいな」と感じているのかもしれません。

 

 

 

ちなみに<水氣道>は水圧によって、無意識に呼吸が深くなり

 

過剰な交感神経の働きを、自然に抑えることができるのでおすすめします。

 

 

 

次回、私は幸か不幸か疲労度分類の「反復性過労」から

 

「疲労困憊」まで体験しましたので、

 

そのことを書きたいと思います。

 

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

交感神経が過剰に働き続けることによる弊害について

 

 

引き続き理解を深めていきましょう。

 

 

 

今回は、その第四段階である「疲労困憊」(ひろうこんぱい)です。

 

 

疲労度分類のオレンジ色の部分と自律神経の働きの表

 

 

を照らし合わせながらお読みください。

PastedGraphic3自律神経表

 

 

 

 

 

 

  疲労困憊の自律神経状態をグラフでイメージすると

 

 

4疲労困憊

 

 

 

 

 

 ようになります。

 

副交感神経の機能が低下した後、

 

 

交感神経もついに力尽き機能が低下した状態に移行します。

 

 

こうなると脳が完全に余裕を無くし、多くの情報(感覚・判断、運動・行動)、

 

 

を処理できなくなります。

 

 

その結果、疲労回復のために必要な身体の反応が働きにくくなり、

 

 

精神の働きも鈍くなり、あるいは誤った反応に向かいやすくなります。

 

 

具体的には、味覚鈍麻、痛覚鈍麻、疲労感覚鈍麻、

 

 

抑うつ気分、引きこもり行動等が起こります。

 

 

これは、新たな情報を遮断して脳を休ませて守るための緊急避難

 

 

であると思われます。

 

 

 

次回は自律神経と呼吸の関係をご説明させていただきたいと思います。

今回は交感神経が働き続けることによる弊害の

 

第三段階である「蓄積疲労」を見ていきましょう。

 

 

疲労度分類のオレンジ色の部分と自律神経の働きの表を見ながら読んでください。

 

(表をクリックで拡大、はっきりと表示されます、ブラウザの戻るボタンで戻ってください) 

Pasted Graphic

 

Pasted Graphic 1

 

蓄積疲労の自律神経状態をグラフでイメージすると

 3蓄積疲労

ようになります。

 

 

自律神経は共に疲弊しますが、

 

副交感神経の方がより顕著に疲労して働きにくくなります。

 

その結果、交感神経が相対的に優位な状態になります。

 

 

 

脳に余裕がなくなるため新たな情報を処理することが困難になります。

 

その結果、根気・興味欠如等がおきます。

 

 

 

また、喫煙の増加や酒量の増加等、身体に悪いこととは気づいていても、

 

制御できず、悪癖を繰り返すことがあります。

 

脳の疲労で新しい行動をとることができなくなり、

 

慣れ親しんだ行動をとりたくなるからです。

 

 

交感神経の働きが優位になるので、消化器の働きが抑制されます。

 

それにより食欲不振になります。

 

 

 

次回は、疲労困憊について解説していきます。

 

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

今回は交感神経が働き続けることによる弊害の第二段階である「持続性疲労」を見ていきましょう。

 

疲労度分類のオレンジ色の部分と自律神経の働きの表を見ながら読んでください。

(表をクリックで拡大、はっきりと表示されます、ブラウザの戻るボタンで戻ってください)

疲労度分類2

自律神経のはたらき

自律神経表

交感神経が働くと倦怠感、痛み、痒みの感覚が抑制されます。

 

(表をクリックで拡大、はっきりと表示されます、ブラウザの戻るボタンで戻ってください)

 

 

持続性疲労の自律神経状態をグラフでイメージすると

 

2持続性疲労

ようになります。

(表をクリックで拡大、はっきりと表示されます、ブラウザの戻るボタンで戻ってください)

 

交感神経の緊張が緩和しないため、その交感神経の緊張に対抗しようとして副交感神経の緊張を高めることによって自律神経系全体のバランスを取り戻そうとします。

 

交感神経をアクセル、副交感神経をブレーキだとすると両方同時に踏み込んだ状態であるといえます。

 

この状態では、脳の過活動により熟眠できません。

 

イライラや不安を感じやすくなり、過食をしやすくなります。

 

それは消化器の働きを活発にすることにより、副交感神経の機能を上げてほっとしたいからです。

 

このような経験をしてしまうと、 脳の情報処理の原則である「快・不快(痛み)の原則」によりなかなか止めることができなくなります。

 

他にほっとできるものを見つけ出すことが大切になります。

 

次回は、蓄積疲労について解説していきます。

 

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

今回は交感神経が働き続けることによる弊害の第一段階である

 

「反復性過労」を見ていきましょう。

 

疲労度分類のオレンジ色の部分と自律神経の働きの表を見ながら読んでください。

 

 

(表をクリックで拡大、はっきりと表示されます、ブラウザの戻るボタンで戻ってください)

疲労度分類1 

 

自律神経表

 

交感神経が働くと倦怠感、痛み、痒みの感覚が抑制されます。

 

 

 

反復性過労の自律神経状態をグラフでイメージすると下の図のようになります。

 

1反復性疲労

(表をクリックで拡大、ブラウザの戻るボタンで戻ってください)

 

 

副交感神経が働くべき時にも交感神経が優位に働きます。

 

 

交感神経が働くと倦怠感、痛み、痒みの感覚が抑制されるので、

 

疲労に気付きにくく、睡眠時間が短くても活発に活動できます。

 

 

心も充実し、爽快感があったりします。

 

 

一見良いことのように思われるかもしれません。

 

 

しかし、副交感神経のはたらきが弱く身体が休まらないので、

 

少しつ疲労が蓄積していきます。

 

 

この状態が続くと「持続性疲労」へと身体の状態が進んでいきます。

 

 

次回は「持続性疲労」の解説をしていきます。

  

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

 

今日は、脳の情報処理の3つの原則をお伝えします。

 

疲労度分類を理解する上でお役立てください。

 

脳の情報処理は3つの原則で成り立っています。

それは、

1.空白の原則

2.焦点化の原則

3.快・不快(痛み)の原則

です。

 

それぞれを詳しく見ていきましょう。

 

1.空白の原則

脳は物事が分からない状態を嫌います。

その答えが埋まるまで無意識に疑問を埋めようとします。

 

2.焦点化の原則

脳は2つ以上のことを捉えることは出来ません。

見たいものしか捉えられません。

 

3.快・不快(痛み)の原則

脳は「快」につながるような思考や行動をとるときと、

「不快(痛み)」を避けようとする行動をとるときに最大限に働きます。

 

つまり、人は見たいもの、信じたいもの、

それだけしか見えなくなるということです。

 

よく分からない人は、次の実験をしてみてください。

1.深呼吸を3回してみましょう。

2.目を閉じて頭の中で「赤いものはないかな」と3回唱えてください。

3.のんびり散歩をしてみてください。

 

いつもと同じ風景なのに赤いものが目につきませんか?

これは「赤いもの」を無意識に探してしまい (空白の原則)、

焦点が合うからです (焦点化の原則)。

 

いわば、脳に「空の箱」ができて(空白の原則)、

それに見合う情報がその箱に入る(焦点化の原則)というイメージです。

 

第1印象が大切なのもこのことからわかります。

「良い人そうだな」という箱を相手の脳に作ることができないと、

良い印象を持ってもらえなくなるのです。

 

3.の快・不快(痛み)の原則については、

疲労度分類表(高円寺南診療所版)

を説明させていただくときに詳しくお話しします。

 

参考文献:「NLPの基本が分かる本」 山崎啓支(やまざき ひろし)著書

 

次回は疲労度分類表を活用しながら、

交感神経が働き続けることによる弊害を見ていくことにします。

  

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭