今月のテーマ:全人的医療の実践
全人的医療とは、
1)特定の部位や疾患に限定せず、
2)患者の心理や社会的側面なども含めて幅広く考慮しながら、
3)個々人に合った総合的な疾病予防や診断・治療を行う医療。
でした。
今回は、上記のうち3)についてコメントします。
3)を、実践している代表は漢方医です。
漢方医は、個々人に合った総合的な疾病予防や診断・治療を実践しています。
漢方専門医は、個々人の体質や体調を評価したうえで手当てをします。
西洋医学の見立ては病名診断が基本なので、ひとたび診断が確定したら、
概ね独自のガイドラインによるフローチャート形式で治療の方法が提示される仕組みになっています。
いわゆる証拠(エヴィデンス)に基づく医療ですが、
これはあくまでも統計処理されたデータの集積をエヴィデンスとしているので、
目の前の個性豊かな個々人に、そのエヴィデンスそのまま適応できるかどうかは、かなり微妙な問題です。
優れた漢方専門医であれば、個々人の体質や体調のみならず、気質や気分を含め、
2)の患者の心理や社会的側面なども含めて幅広く考慮しています。
そういう意味では、漢方医学は20世紀にドイツ発祥の心身医学・心療内科よりもずっと以前から、
こうした医療を実践してきたことを再評価したいと思います。