第114回日本内科学会講演会に参加して(その2)
(4月14~16日:東京国際フォーラム)
テーマ:超世代の内科学-GeneraltyとSpecialtyの先へ-
招請講演<がん幹細胞研究の進歩と治療開発>
赤司浩一(九大研究院・病態修復内科)氏の公演を聴いて(その2)
古くからのお馴染みの患者さんの中には<がん>幹細胞(ステム・セル)の最新研究など、
高円寺南診療所の日常診療には直接関係ないでしょ、などとおっしゃる方がいらっしゃいます。
実は、そうでもないのです。大腸がん、膵がん、前立腺がん、頭頸部がん、
など決して稀ではない様々ながん幹細胞が、続々と同定されています。
前回【先週】、がん幹細胞の治療抵抗性について簡単に触れましたが、治療抵抗性とは、
治療効果が上がらない、つまり、効かない、ということです。
がん幹細胞は、抗がん薬や放射線療法が効きにくいので、治療抵抗性なのです。
ただし、がん幹細胞の治療抵抗性である背景は、
がん幹細胞は、低酸素、酸化ストレスへの抵抗性が高いこと、
薬剤排出機構の亢進、DNA修復機構の亢進、
アポトーシス(プログラムされた細胞の死)の抑制などの特徴をもつこと、などが次々と報告されています。
低酸素や酸化ストレスは、がんの発生に関与していることから考えれば、
そうしてできあがったがん幹細胞が、低酸素や酸化ストレスに強いのは容易に頷けます。
《 予防に勝る治療なし》です。
がん幹細胞の研究は、がんの予防法の進歩にも貢献すると考えることができます。
癌細胞、がん幹細胞の発生を予防するためには、
たとえば、低酸素状態や酸化ストレスを抑止することが大切です。
こうした背景から考えると、医学的に管理されていない激しい競技スポーツは、
低酸素状態や酸化ストレスをもたらし易いので、がんを減らすことには繋がりにくくなります。
これに対して、水氣道や聖楽院でのボイストレーニングはどうでしょうか。
水中の有酸素運動や呼吸法により、全身の低酸素状態は解消され、
酸化ストレスをも軽減でき、がんの予防のためにも
優れた健康プログラムであるということがご理解いただけるのではないでしょうか。
高円寺南診療所は、がんの予防に対しても、大学の研究室とは異なった立場から、
独自の先進的な取り組みを続けています。