<はじめに>

 

 

前回は「動悸」に効果のあるツボを紹介しました。

 

 

「膻中」は乳頭を結ぶ線と胸骨の正中線と交わるところにあり、

 

 

「太淵」は親指の付け根の手のひら側にある手首にできるしわのある場所にあり、

 

 

「神門」は手のひら側で小指側のしわのできる部位にあるというお話でした。

 

 

 

今回は「胃痛・胃もたれ」に効果のあるツボを紹介しましょう。

 

 

<胃痛・胃もたれに効果のあるツボ>

2020-02-18 16-51

2020-02-19 16-20

 

 

 

今回は「中脘(ちゅうかん)」「足三里(あしさんり)」を紹介しましょう。

 

 

「中脘」は お臍から指4本分上にあります。

 

 

「足三里」は膝のお皿の下の外側にあるくぼみから指4本下にあります。

 

 

中脘は仰向けに寝た状態で息を吐きながら痛くない程度に押しましょう。

 

 

足三里はテニスボールやゴルフボールで正座をした状態で押し当ててみましょう。

 

 

毎回下手な絵で申し訳ないです。

 

 

 

杉並国際クリニック 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

<土曜日特集:統合医学(心身医学・漢方医学)カンファランス>

中国で新型コロナウイルス肺炎のガイドライン第6版(新型冠状病毒肺炎诊疗方案(试行第六版))が発表している文書は、先週ご紹介いたしました。

 

今回のガイドラインでは、治療薬として抗マラリア薬であるリン酸クロロキン(磷酸氯喹)が有効としています。日本では認可されないと思われます。また抗インフルエンザ薬のアルビドール(阿比多尔)の記載あります。日本の保健処方では「ラピアクタ®」です。ただし、新型コロナウイルスの治療目的では保険が効きません。


また中医(漢方)治療では漢方の注射薬も追加されたり、清熱への配慮に力が入れられたり、いろいろ変更がありました。

 

中医治療は「医学観察期」「軽症」「通常型」「重症」「重篤」「回復期」に分けて行ないます。

今回は、医学観察期の処方の一部についてその他の処方を紹介いたします。

 

1 医学観察期

 

臨床表現2:乏力伴発熱

推奨中成薬

金花清感顆粒 

金銀花、石膏、麻黄、杏仁、黄金、連翹、貝母、知母、牛蒡子、青蒿、薄荷、甘草


連花清瘟膠嚢(顆粒) 

連翹、金銀花、麻黄、杏仁、石膏、板藍根、貫衆、魚腥草、藿香、大黄、紅景天、薄荷、甘草

 

疎風解毒膠嚢(顆粒) 

虎杖、連翹、板藍根、柴胡、敗醤草、馬鞭草、芦根、甘草

 

<解説> 

臨床表現2:乏力伴発熱 

推奨中成薬とは、臨床症状として発熱を伴う倦怠感がある場合の推奨薬ということです。
 

上記3処方の中で、日本で何とか処方可能なものは金花清感顆粒のみでしょう。

これらも漢方の刻み調剤が可能な薬局では保険処方可能です。

エキス製剤での処方は、複数の処方を組み合わせても無理があります。

 

金花清感顆粒の構成生薬のうちで、以下は日本での表記と異なります。

金銀花=忍冬、黄金(黄金花)=黄芩、青蒿(セイコウ;クソニンジン)=茵陳蒿

 

連花清瘟膠嚢については、漢方の刻み調剤が可能な薬局でも保険調剤は困難です。

自費での処方であってもかなりの困難が伴うことでしょう。

連花清瘟膠嚢の構成生薬のうち、魚腥草(ぎょせいそう)とはドクダミのことで日本では十薬とも呼ばれ入手可能ですが、保険適

応外です。

 

板藍根(ばんらんこん)=細葉大青、貫衆(かんじゅう)きじのお、紅景天(こうけいてん)=ベンケイソウ、

これらの薬味を日本で適切に揃え調剤することも困難でしょう。

 

疎風解毒膠嚢(顆粒)についても、連花清瘟膠嚢と同様で、

虎杖=イタドリ、スカンポ(酸模)、板藍根(ばんらんこん)=細葉大青、敗醤草=女郎花、馬鞭草=熊葛、芦根=芦の根など保険調剤対象外の材料が多数を占めています。

 

 

杉並国際クリニックが推奨する漢方薬
中国政府の推奨資料をもとに、新型コロナウイルス感染症のPCR検査基準に達していないが、感染を否定できない段階で、初期症状の特徴に相応する漢方薬を挙げてみることにします。

 

胃腸の不調を伴う倦怠感がある場合 

第一候補:

「藿香正気散(かっこうしょうきさん)」(市販OTC薬)

 

第二候補:

朝食前「香蘇散」、昼食前「半夏厚朴湯」、夕食前「苓姜朮甘湯」
     

時間薬理学的発想による処方例、いずれも健康保険適応漢方エキス製剤

 

発熱を伴う倦怠感を伴なう場合

第一候補:

「銀翹散(ぎんぎょうさん)」(市販OTC薬)

 

第二候補:

朝食前「麻杏甘石湯」、昼食前「辛夷清肺湯」、夕食前「滋陰至宝湯」
     

時間薬理学的発想による処方例、いずれも健康保険適応漢方エキス製剤

心療内科:うつ病治療薬と抗癌剤

うつ病はWHOによると2030年にはすべての疾患中で最も経済的打撃を与えると予想されます。

うつ病は基本的には回復する疾患とされ、通常では数カ月で回復します。

しかし、実際には30~40%は薬物に抵抗性(薬が効かないこと)を示し、1年以上回復しない場合もあります。

 

うつ病は、昔から精神科医が担当してきましたが、うつ病診療を行っている精神科医の多くが心療内科を標榜しているため、一般の方ばかりでなく医療界においてさえ心療内科が誤解されたままになって、しかもそれが定着してしまっているのが現状です。

 

しかしながら、残念なことに、ほとんどの精神科医は線維筋痛症に代表される、心身医学的アプローチが効を奏するような慢性疼痛性疾患の患者さんに対して積極的であるとは言えません。

皮肉なことに杉並国際クリニックで経験した線維筋痛症の方の多くは双極Ⅱ型障害を合併していました。

 

精神科で初診時にうつ病と診断される患者の約2割は双極Ⅱ型障害(うつ+軽躁)があり、単極性うつ病と誤診されるとの報告がありますが、簡便な印象判断ではなく、本格的な半構造化面接(M.I.N.I)に加えて軽躁エピソードについて念入りに病歴を聴取してきた杉並国際クリニックの経験例では、むしろ約7割が双極Ⅱ型で、単極性うつ病は2割にも満たない結果でした。

そこで精神科での抗うつ薬による治療が効かなかったという相談を受けると、まず双極Ⅱ型障害ではないかどうかを検討するようにしています。

 

 

うつ病の女性が乳癌になったとしたら・・・?

 

ホルモン療法薬(抗エストロゲン薬)

・タモキシフェン(ノルバデックス®):乳癌

妊婦には禁忌です。

選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)といって、乳腺では増殖抑制、子宮内膜や骨では増殖促進に働きます。

 

選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)

・パロキセチン(パキシル®):

❶ うつ病・うつ状態、❷ パニック障害、❸ 強迫性障害、❹ 社会不安障害、
❺ 外傷後ストレス障害(PTSD)

 

選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI):

パロキセチン(パキシル®)、フルボキサミン(デプロメール®、ルボックス®)、セルトラリン(ジェイゾロフト®)

 

これらは鎮静効果がないことから非鎮静系薬とみなされます。

過量服薬しても比較的安全で、かつ治療域が広いことから抗うつ薬の第一選択薬として用いられています。

しかし、その効果は従来薬の三環系抗うつ薬を上回ることはなく、重症例には適しません。

心電図上のQT延長という異常所見(薬剤誘発性QT延長症候群:重症不整脈の引き金となる)の出現があるため心疾患の患者への投与は控えます。

 

パロキセチン(パキシル®)は抗不安作用を併せ持もつ比較的強力な抗うつ薬ですが、内服中断により中断症候群に注意、フルボキサミン(デプロメール®、ルボックス®)と同様にP450(肝臓の薬物代謝酵素)を阻害するため、併用薬との相互作用に注意します。

また、セルトラリン(ジェイゾロフト®)と同様にP糖蛋白(細胞膜上に存在して細胞毒性を有する化合物などの細胞外排出を行う)を阻害するため、抗悪性腫瘍薬や強心剤であるジギタリス製剤との併用時は注意します。

 

タモキシフェン(ノルバデックス®)による乳癌の治療中に、パロキセチンを服用すると、乳癌による死亡リスクが増加したとの報告があります。

パロキセチンがCYP2D6(生体内の異物を代謝する主要な酵素の1つ)を阻害することにより、タモキシフェン(ノルバデックス®)の活性代謝物のエンドキシフェンの血中濃度が低下することが原因です。

基本的には併用を避け、エスシタロプラム(レクサプロ®)等への変更を検討します。

 

 

 

杉並国際クリニックの視点から

〝うつ病〝と一口に言っても、杉並国際クリニックでは、「うつ状態」の方の受診が多いです。代表的なのは、上記にも触れた①本人も気付いていないような軽躁エピソードの既往のある双極性障害Ⅱ型のうつ状態です。

その他に②ストレスの度合いが大きく本人が適応できなくなる適応反応症での一時的うつ状態、③ 2週間以上典型的なうつ病症状が続くが夕方には元気になる抑うつエピソード、また、④ 不満や他罰性のためにうつが遷延してしまう持続性抑うつ障害のケースもあります。

 

いずれのタイプも早期察知・対応が大切です。

うつ病は身体症状で発症することがあり、その場合は身体疾患と診断されて治療が遅れてしまうことが多いと精神科医はしばしば指摘します。

しかし、他方、癌などの身体疾患を見落として漫然と向精神薬の投与を続けて手遅れになってしまうケースも稀ではないことも内科・心療内科医の立場から指摘しておかなければならないでしょう。

そのため、興味や関心の喪失や憂鬱さ、意欲低下といった精神面と同時に、睡眠障害や食欲低下、疲れやすさなどの典型的な身体症状以外の諸症状の出現についても注意深い観察が必要です。

 

実際に膵癌がうつ病と誤診されることは有名であり、乳癌患者がうつ状態になることも少なくないでしょう。

このような時代に、患者の精神面だけ、あるいは身体面だけを扱う臨床医学ばかりが展開を続けても日常医療の向上には繋がらない可能性が高くなりつつあります。

実際に、甲状腺疾患がスクリーニングされていないまま不適切な治療をなされているケースも多数経験してきました。たとえば、一般的に甲状腺機能亢進症は躁状態や不安傾向となり、逆に甲状腺機能低下症は抑うつ傾向となります。

 

このような臨床水準のまま、次々に副作用が多くリスクの高い抗癌剤が開発され、また、一方で、効果の差はわずかであるにもかかわらず、副作用において大きく異なる抗うつ薬が使用されている現実があります。

そうして、単独でも取り扱いの難しい薬剤同志を併用する必要が生じやすい超高齢社会においては有害作用のリスクは高まるばかりです。

 

癌医療と精神医療のインターフェイスにおいては、精神腫瘍学(サイコオンコロジー)という領域が誕生しました。

精神腫瘍学とは、がんと心の関係を精神医学、心理学、腫瘍学、神経学、免疫学、社会学、倫理学、哲学など自然科学・社会科学的手法を用いて探求する領域です。こうした心療内科を中心とする心身医学が正しく理解され、そして心療内科専門医が十二分に活躍できない限り、医療の多くの領域でAIの支援に大きく頼らざるを得ない時代に突入することになるのではないかと思われます。

 

<完>


杉並国際クリニック 飯嶋正広

 

❹ 対処行動(ソフト面)の問題

1)初動対応の遅れ:

感染者が集中する北部ロンバルディア州では、最初の市中感染が確認された2月下旬の時点で既に広範囲にウイルスが広がっていたとの分析があります。

患者急増に集中治療室の受け入れが追い付かず、人工呼吸器もたちどころに不足してしまいました。

⇒初動対応の遅れをなかなか認めようとせず、言い訳に終始するのは、イタリアだけでなくWHO、中国そして日本も同じ穴のムジナであるようです。

流行性の感染症の制圧の鍵は初動対応に罹っていると思います。初動が遅れ、しかも適切な対応ができないと、患者数の急増に加えて、重症化が進行し、それがまた患者のさらなる増加を招きます。

 

2)症状の重い人を優先的に検査する態勢:

医療現場は初動で混乱し、ANSA通信によると3月中旬までにロンバルディア州だけで約700人の医師や看護師も感染しました。

イタリア政府の衛生高等研究所幹部は、症状の重い人を優先的に検査する態勢が死亡率を高くした原因であるとも述べています。

⇒初動の対応が遅れたから、トリアージして重症患者を中心に対応せざるを得なくなったことは明らかです。

そして、人工呼吸器が不足すると、適応を60歳未満に限定して、リスクの高い重症の高齢者を排除したことも死亡数を増やす結果を招く原因になったのではないでしょうか。

大流行しているロンバルディア州の人口は約1000万人で、この一州でイタリアの人口の1/6を占める最大の州とはいえ、ただでさえ不足している医療従事者を700人感染させてしまったのは、最大の失策だったのではないかと思います。
   

イタリアの感染者数の累計が感染者累計1万7660人であるということは、ただでさえ不足している医師が膨大な件数のPCR検査に従事したことになります。

検査を受けた患者の陽性率の情報が手元にないため、より正確な推計はできませんが、少なくとも感染が判明した1万7千件の数倍以上のPCR検査を実施したはずです。

患者の収容施設や治療資源や十分な防禦体制が確保されていない状況で、有効な治療に結びつけられないまま、ひたすらに膨大な件数のPCR検査を強行していけば、医療従事者が次々に感染してしまいます。

そして、残された医療従事者の負担が更に増えて疲弊し、更なる感染に繋がってしまうと、医療体制は完全に混乱し、麻痺し、収集のつかない事態にまで発展してしまいかねないことは容易に理解できます。
   

患者を救う立場の医療従事者を感染の危険から守り、一定期間継続的で安定した医療供給をはかれるような態勢を確保することが、パンデミック収束にむけて行政が留意すべき最優先事項であるということ、そしてPCR検査は態勢の整った施設に限定して最大限の支援を行い、これまで通り症例を限定して実施すべきであること、この2点を深く認識していただきたいものです。

杉並国際クリニック 飯嶋正広


❷ 人口構成で高齢者が多い

イタリア政府の衛生高等研究所幹部は致死率の高さについての説明で、欧州連合(EU)の昨年の統計によると、同国で人口に占める65歳以上の割合は22.8%でEU加盟国の中で最も高いという指摘があります。たしかに、高齢の感染者は病状が悪化しやすいため死亡率も高いです。

⇒ しかし、各国の比較のために2018年統計をみると、1位の日本についでイタリアは2位、たしかに欧州ではトップの高齢化率ですが6位のドイツ、12位のフランスと大差がないことがわかります。

 

1位日本(27.59%)、2位.イタリア(22.75%)、6位.ドイツ(21.46%)、
12位フランス(20.03%)、18位、スペイン(19.38%)、26位、英国(18.4%)

 

人口の高齢化は一因ではあるでしょうが、主要因ではなさそうです。どこの国でも似たようなものですが、イタリア政府の衛生高等研究所幹部が高齢者人口比率を引き合いに出すのは根拠としては、とてもお粗末だと思います。

こういう場合は、当局が真実を報道することを避けて、意図的に言及していない可能性があります。

 

 

❸ 医療体制(ハード面)の不備

その原因:医療従事者の人員不足、原因の原因:緊縮財政のあおり

医療関係予算は削られ2012~17年の間で全国で約760の診療科が閉鎖されています。イタリアのレスプレッソ(L’Espresso)誌はエリート層や学生を中心に読まれている主要なニュース週刊誌ですが、この雑誌は「新型コロナ感染拡大が起きる前からイタリアの医療体制は機能不全に陥っていた」と指摘しました。

「既に緊急事態は起きていた」との大見出しで、医師はすでに5万6千人、看護師は5万人不足していたとの分析を伝えました。

 

現在、ミラノやジェノバでは見本市会場やフェリー内を突貫改装し、数百単位ずつの病床を増設する案も浮上しています。

⇒緊急時に対応できる医療機関の大規模閉鎖や医療従事者の慢性的欠乏が続いてきた中で、にわかに改築した病院を建設したとしても、十分な設備や医療スタッフが不足していれば病院はまったく機能しないはずです。すると、次第にとんでもない悪循環が連鎖的に加速して起こることになります。

リウマチ科:痛風、関節リウマチ治療薬と抗癌剤

 

専門でありながら、つくづく厄介だと思う病気の代表は関節リウマチです。

 

病気そのものの説明が難しく、患者さんに理解していただくことが容易でないだけでなく、使用する薬剤の扱い方も一筋縄ではいかないからです。

 

関節リウマチをはじめとする膠原病の治療薬は、抗癌剤や、

代謝拮抗薬、核酸や蛋白合成過程の代謝物と類似構造をもつ化合物で、核酸合成を阻害するなどによって癌細胞を傷害します。

 

 

代謝拮抗薬(プリン代謝拮抗薬)

・メルカプトプリン(6-MP):急性白血病、慢性骨髄性白血病

< 尿酸生成抑制薬(アロプリノール、フェブキソスタット)との併用について >
尿酸生成抑制薬はキサンチンオキシダーゼという代謝酵素の働きを阻害します。そしてキサンチンオキシダーゼはメルカプトプリンの代謝酵素であるため、併用するとメルカプトプリンの血中濃度が上昇することによって有害反応が生じやすくなります。

 

・アロプリノール(ザイロリック®)は痛風、高尿酸血症を伴う高血圧症における高尿酸血症の是正に用いられる治療薬です。この薬を併用する場合は、6-MPの処方量を通常量の1/3~1/4に減量します。

 

・フェブキソスタット(フェブリック®)も痛風、高尿酸血症の治療薬ですが、癌化学療法に伴う高尿酸血症にも用いられるので特に注意しなめればなりません。メルカプトプリンやアザチオプリンを使用している場合には骨髄抑制を生じるため併用禁止とされています。

 

・アザチオプリン(イムラン®、アザニン®)は免疫抑制剤〔代謝拮抗薬(プリン拮抗薬)〕であり、臨床の用途は以下のように広範囲わたっています。

 

❶ 移植時拒絶反応抑制(ⓐ腎移植、ⓑ肝・心・肺移植)

 

❷ (ステロイド依存性の)クローン病の寛解導入および寛解維持、
   ならびに(ステロイド依存性の)潰瘍性大腸炎の寛解維持

 

❸ (治療抵抗性の)リウマチ性疾患:
  全身性血管炎(顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症、結節性多発血管炎性肉芽腫症、高安動脈炎等)
  全身性エリテマトーデス、多発性筋炎、皮膚筋炎、強皮症、混合性結合組織病、
  難治性リウマチ性疾患

 

❹ 自己免疫性肝炎

アザチオプリンは免疫抑制剤であるため、生ワクチンを接種すると発症してしまう惧があるため、各種の生ワクチンによる予防接種は禁忌とされます。

 

 

代謝拮抗薬(葉酸代謝拮抗薬)

・メトトレキサート(MTX):急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、絨毛性疾患、乳癌、骨髄腫、悪性リンパ腫、関節リウマチ
< NSAIDs(ロキソプロフェン、ジクロフェナク)との併用について>
NSAIDsの腎プロスタグランジン生成阻害作用により、腎血流・糸球体濾過速度が低下し、メトトレキサートの腎排泄量低下を起こします。メトトレキサートを大量投与する場合は併用を避けますが、単独でも様々な副作用がみられます。

 

まず、ロキソプロフェン(ロキソニン®)は、以下の疾病に用いられます。

 

❶ 関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頚肩腕症候群、歯痛、手術後・外傷後、抜歯後の消炎・鎮痛

 

❷ 急性上気道炎の解熱・鎮痛
消化性潰瘍、重篤な血液・肝・腎障害、アスピリン喘息、妊婦への投与は禁忌とされます。

 

次いで、ジクロフェナク(ボルタレン®)は、以下の疾病に用いられます。

❶ 関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、頚肩腕症候群、歯痛、手術後・外傷後、抜歯後の消炎・鎮痛以外に、変形性脊椎症、腱鞘炎、骨盤内炎症、前眼部炎症、神経痛、後陣痛、月経困難症、膀胱炎

 

❷ 急性上気道炎の解熱・鎮痛
消化性潰瘍、重篤な血液異常、肝・腎障害、高血圧症、心機能不全、アスピリン喘息、妊婦、インフルエンザ臨床経過中の脳炎・脳症
降圧薬として用いられるK保持性利尿薬のトリアムテレン(トリテレン®)との併用で急性腎不全の報告があり、併用禁忌です。トリアムテレン(トリテレン®)は、高血圧症(本態性、腎性など)の他、心性浮腫(うっ血性心不全)、腎性・肝性浮腫の治療に用いられます。無尿、急性腎障害、高カリウム血症、腎結石では服用禁忌とされます。

 

 

杉並国際クリニックの視点から

杉並国際クリニックでは、専門診療科の一つにリウマチ科を標榜し、関節リウマチに対して日常的に免疫抑制薬〔代謝拮抗薬(葉酸代謝拮抗薬)〕である抗リウマチ薬メトトレキサートを処方しています。

 

この薬が関節リウマチの主薬が抗癌剤の一つとしても分類されていることを知りショックを覚える方は少なくありません。そして、関節リウマチの治療のために高頻度に使用される薬剤相互の有害作用の出現の可能性については、患者さん自身も常に注意を払っていただいておく必要があります。

 

また、関節リウマチよりも高頻度で診療している痛風の治療薬も抗癌剤との相互作用に配慮しなければならない薬剤があります。

痛風やその基礎疾患である高尿酸血症の治療薬として、原因のメカニズムにかかわらず尿酸生成抑制薬を第一選択として用いている医師が多いようです。

 

杉並国際クリニックの方針としては、日本人に圧倒的に多い尿酸排泄低下型の病態に対しては、尿酸排泄低下薬を処方しています。

関節リウマチは女性に多く、痛風は男性に多いため、従来であれば、両方の治療を並行して行うことは少なかったのですが、最近では少しずつ増えつつあります。そして、何よりも代表的な消炎鎮痛剤の2剤は単独でも様々な副反応を招くことも心にとめておかなければなりません。

 

急性上気道炎の治療目的で、解熱鎮痛のため目的で処方するときも、安易にサリチル酸系であるNSAIDsを処方せず、アセトアミノフェンを処方するようにしています。

ただし、アセトアミノフェン(カロナール®)だからといって決して安全ではありません。

 

市販の感冒薬を、自己判断で過量に内服した後に受診した患者に、事情を知らずにこの薬剤を処方すると重篤な肝障害を来す可能性があります。

また、NSAIDs薬と同様に、消化性潰瘍、重篤な血液・肝・腎障害、重篤な心機能不全、アスピリン喘息には投与禁止です。

ですから、データや情報不足の初診の急性上気道炎その他の急性熱性疾患の患者に消炎解熱剤を処方するのはとてもリスクが大きいとさえいえるでしょう。

 

<明日に続く>

消化器内科:消化性潰瘍(胃潰瘍・十二指腸潰瘍)治療薬と抗癌剤

 

胃潰瘍や十二指腸潰瘍という病気を知らない方はいないでしょう。それどころか経験者の方も少なくないはずです。消化性潰瘍であると思っていたら癌になっていたという方、消化管以外の癌が見つかって、抗癌治療を始めたといった話題は、もはや日常茶飯事です。

 

小分子・分子標的治療薬

分子標的治療薬の副作用の特徴として下痢が挙げられます。そして、心毒性、間質性肺炎、腸管穿孔、動静脈血栓症、出血などが生じ、致命的になることもあるため、初期症状を捉えて適切に対応する態勢をとる必要があります。

 

最近の分子標的治療薬では、上記の諸症状に加え、皮膚症状、創傷治癒遅延など、従来とは異なる種類の有害作用(副作用)が出現するので、抗悪性腫瘍薬による有害作用の特徴を把握して対応することが重要とされます。

 

 

EGFR阻害薬 

事前の遺伝子検査によりEGFR遺伝子変異をもつ肺癌で効果が高いです。

また、食事の影響を受けやすいので、服用時間の指示を守ることが必要となります。

いずれのEGFR阻害薬についても、単独の使用でも急性肺障害・間質性肺炎の併発に注意を要します。

そして、発熱、呼吸苦などの症状が観察された際には、常に間質性肺炎の存在を疑って検査を行うことが望ましいとされます。しかし、早期発見は難しいのが現実です。

 

 

ゲフィニチブ:(EGFR遺伝子変異陽性の手術不能または再発)小細胞癌
 

食後投与が望ましいです。pH6以上では薬剤がほとんど溶けないため効果が低下します。
そのため、pHが低下する(胃内が酸性環境となる)食後に内服することが勧められます。とくに日本人の高齢者は無酸症が多いため、空腹時の服用では薬効が低下すると考えられます。

 

エルロチニブ:(切除不能な再発・進行性で癌化学療法施行後に増悪した)非小細胞肺癌、(EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な再発・進行性で、癌化学療法未治療の)非小細胞癌、(治癒切除不能な)膵癌
 

高脂肪食、高カロリー食後は空腹時に比べて、AUC(生体内に取り込まれた薬物量の指標の一つ)がほぼ2倍増加するため、副作用が増強しやすいとされます。そのため、食事の一時間以上前か、食後2時間以降の空腹時に服用します。

 

 

BCR/ABL阻害薬

ダサニチブ:慢性骨髄性白血病、(再発性または難治性のフィラデルフィア染色体陽性の)急性リンパ性白血病

 

マルチキナーゼ抑制薬

パゾパニブ:悪性軟部腫瘍、(根治切除不能または転移性の)腎細胞癌
制酸薬(ランソプラゾール、オメプラゾール、エソメプラゾール)
この併用により臨床効果への明確な影響については報告されていないので、リスクベネフィットを考慮して併用を検討することになります。
胃内のpHが上昇した条件下(胃の酸性度が低下した状態)では、分子標的治療薬の吸収が低下し、効果が減弱する可能性が考えられます。

 

 

杉並国際クリニックの視点から

杉並国際クリニックでは、上記の抗癌薬を処方することはありませんが、上記の制酸剤を日常的に処方しています。

ですから日常的に頻用している制酸剤との相互作用に注意しています。これらの薬剤、すなわちオメプラゾール(オメプラゾン®)、ランソプラゾール(タケプロン®)、エソメプラゾール(ネキシウム®)はプロトンポンプ阻害薬(PPI)と呼ばれる一群で攻撃因子抑制薬に分類されます。

その特徴は、強い酸分泌抑制薬であり、ピロリ菌除菌の補助や逆流性食道炎の第一選択薬です。疾患によって保険処方機関に制限があります。

 

適応は広範にわたり応用範囲が広いです。具体的には、ピロリ菌除菌の補助や逆流性食道炎の他に、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、非びらん性胃食道逆流症、ゾリンジャー・エリソン症候群、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、早期胃癌に対する胃内視鏡的治療後胃などで処方します。

 

特に後2者は、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)投与時や低用量アスピリン投与時の胃潰瘍または十二指腸潰瘍の再発抑制の目的でも処方可能です。

 

杉並国際クリニックは、専門診療科の一つにリウマチ科を標榜していますので、関節リウマチ、変形性関節症、痛風などの治療のため非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)の処方の需要が高いです。

 

また、低用量アスピリンの使用の目的は、解熱・鎮痛ではなく、血栓形成を予防する目的で使用しています。

それは狭心症(慢性安定狭心症、不安定狭心症)、心筋梗塞、虚血性脳血管障害(一過性脳虚血発作、脳梗塞)における血栓・塞栓形成抑制、また最近では冠動脈バイパス手術(CABG)あるいは経皮冠動脈形成術(PTCA)を施行する人も増え、それらの術後における血栓・塞栓形成抑制にも必要な薬剤として処方しています。

 

プロトンポンプ阻害薬(PPI)は安全な薬剤ですが、単独投与でも副作用として頭痛、めまい、検査値の異常としては肝機能(AST,ALT)やガストリンを上昇させることがあります。

長期投与では大腿骨頸部骨折、市中肺炎、クロストリジウム・ディフィシル感染症なども報告されています。またPPIを処方するにあたっては、抗癌剤との相互作用だけでなく、抗ウイルス剤との併用禁忌もあり、注意を要します。

エイズ(HIV-1)感染症治療薬のリルピビリン(エジュラント®)、アタザナビル(レイアタッツ®)が併用禁忌となります。

 

日常診療で多い消化性潰瘍(胃潰瘍、十二指腸潰瘍)では、生活習慣改善が重要であり、過度のストレスや暴飲暴食を避けることからはじめたいものです。

逆流性食道炎・胃食道逆流症でも、単に薬物療法に委ねるだけではなく、運動や食事療法など生活習慣を改善することを見直すべきでしょう。水氣道®は杉並国際クリニックが全世界に向けて発信している理想的な運動療法です。

 

水氣道®を日常生活の習慣に取り入れることで、上記の様々な病気の治療や予防、再発に役立つだけでなく、薬の削減や副作用の減少、早期発見・早期対処などさまざまなメリットがあることが確認されています。

 

<明日に続く>

杉並国際クリニック 飯嶋正広

 

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❶ 疫学統計上の限界(その2:米国感染症対策センターの推計をもとに)

アメリカの感染症対策センターが、COVID-19ウイルスの感染力などのデータをもとに、米国での感染者数と死亡者の数を推計しています。
 

もし、① 米国が一切の感染症防禦対策を行なわなかった場合を仮定すると、

感染者数:2億1900万人、死亡者170万人
という数字をはじき出しています。

 

米国の人口は3億2775万人(2018年5月米国国勢局)ですから、

米国内でのCOVID-19ウイルス感染の蔓延率=2億1900万人/3億2775万人=66.8%致死率=170万人/2億1900万人=0.78%

 

これに対して、

② 米国政府が積極的な対策を講じた場合は、

感染者数:1億6000万人、死亡者20万人

米国内でのCOVID-19ウイルス感染の蔓延率=1億6000万人/3億2775万人=48.8%致死率=20万人/1億6000万人=0.125%

 

昨日の推計では、プレリアスコ教授の推計に基づくイタリアでの致死率は約0.7%でした。

米国感染症対策センターの推計した致死率0.78%に近似した数字になります。

 

また、ドイツの報告数をもとに計算した致死率は0.2%でしたが、米国が対策を講じた場合の致死率の0.125%に近い数字です。

対策介入を行うことによって減らすことが期待できる致死率は、0.78-0.125=0.655%です。

 

米国の同センターによる推計の方法について詳細の情報は得ていませんが、
米国での最悪の事態での致死率はイタリア型で、有効な対策が施された場合にはドイツ型になるという見方も可能かもしれません。

逆に言えば、ウイルス対策においての成績表は、イタリアが劣等生的、ドイツが優等生的ということになるかもしれません。


そのように考えると、適切な介入が行われることによって期待できる減少効果の絶対数は感染者では、

2億1900万人-1億6000万人=5900万人

死亡者のでは、

170万人-20万人=150万人

減少率を計算すると、

感染者では、

5900万人/2億1900万人=26.9%

死亡者では、

150万人/170万人=88.2%

 

死亡者の割合を9割近く減らせるのだとしたら、とても素晴らしい成果だといえるでしょう。

 

最終的には、死亡者数を減らすことですから、米国の感染症センターが、COVID-19感染症に対する有効な手立てとしてどのような対策を具体的に想定しているのかは、とても興味深いポイントです。

 

 

第3節:医師感染の場合は「地域医療と院内感染予防考え対策を」
 

医師ら医療従事者が新型コロナウイルスに感染した場合の医療機関の診療継続に関しては、釜萢氏は、「いろいろな場面で問題になっている。地域医療を守る視点と院内感染予防を考えながらそれぞれの事例で対策を講じなければいけない」と述べました。

 

兵庫県が外来診療と新規入院患者受け入れを当面停止することを求めましたが、11日に通常通り診療したとの報道があった北播磨総合医療センター(同県小野市)の事例では、「それぞれ事情が違うので一概には言えないが、開設者の市と病院が協議をして選択をしたということだ。県の要請はあったが、その地域の医療を守るためには必要な判断だと聞いている」と述べ、今後の参考になる事例だとの見方を示しました。

 

しかし、同センターではその後、医師2人目の感染者が出たため外来、新規入院受け入れを休止しました。
 

 

厚労省の通知ではこの他、発熱や上気道症状を呈する患者の診療が困難な場合でも、少なくとも帰国者・接触者外来や、診療可能な医療機関への受診を勧奨することを求めています。

 

 

杉並国際クリニックの現状

以下のStepは個人レベル(臨床レベルa)と集団レベル(公衆衛生レベルb)の両側面から検討すべきものであると考えます。

 

<パンデミック対策の6Step>

Step1:1次感染源となる病原体からの汚染による初感染を防ぐ

 

Step2:1次感染(宿主動物ーヒト感染)しても発症させないようにする

 

Step3:感染症として発症しても軽症で済むようにする(Step3a)
同時に2次感染(ヒトーヒト感染)を防ぐ(Step3b)

 

Step4:感染症が軽症で済まない場合でも重症化を防ぐ(Step4a)
    同時に2次・3次感染と再発を防ぐ(Step4b)

 

Step5:感染症が重症化しても長期化や死亡に至らないように支援する(Step5a)
    同時に2次・3次感染と再発を防ぐ(Step5b)

 

Step6:感染流行地への支援をする

 

Step7:地球の温暖化防止をはじめ地球環境の保護へ向けて国際協力をする
今回の新型コロナウイルス(COVID-19)については、すでにパンデミック(世界的流行)の状況となっています。

したがって、わが国の国策として目下重点を置いているのは、私共がみる限りにおいてはStep4およびStep5が中心のようです。手薄なのは、は、上記のうちStep2と3を除く、少なくとも3つのStepのすべてを包括的に考慮して指針を明らかにする責務があります。


杉並国際クリニック 飯嶋正広


【ローマ共同】

イタリアでは新型コロナウイルスに感染した死者が14日までに1,266人に達しました。

 

感染者累計1万7660人に対する致死率は約7.2%で、他国に比べ突出して高いことが気になります。

その要因について、いろいろな議論がでています。

感染拡大に拍車を掛けたとされる推定要因について収集できた情報をもとに、4つの見解をもとに検討してみたいと思います。

 


❶ 

疫学統計上の限界(その1:ミラノ大学プレリアスコ教授の見解等をもとに)
   

ミラノ大のファブリツィオ・プレリアスコ教授(ウイルス学)は地元メディアに「誰にも正確な致死率は分からない」とし、当局が把握していないケースを含めれば感染者総数は10倍にも膨らみ、致死率は下がるはずだと予測しました。

⇒ このうち、感染死亡者数は比較的明確であるのに対して、感染者総数を把握することは困難です。このことは、プレリアスコ教授の指摘通りです。ですから、その予測は説得力があります。

 

そしてプレリアスコ教授の仮説に基づいて試算すると、イタリアでの感染者の実数は1万7千人の10倍の17万人超にも上りうるということになります。

 

さて、ここで感染者総数を分母とし、感染死亡者数を分子とすると、

致死率=感染死亡者数/感染者総数

となります。

 

感染者総数である分母が10倍になれば、致死率は10分の一、すなわち約0.7%程度になります。

ちなみに日本ではPCR検査陽性者数を感染者数とするならば、

3月16日0:31時時点でPCR陽性者数:565人、死亡者数:24人

したがって、致死率=24/798=3.0%

 

最近発表されている中国での感染者数:80,844、死亡者数:3,199人
したがって、致死率=3199/80844=4.0%

 

同様にドイツでの感染者数:3795人、死亡者数:8人
したがって、致死率=8/3795=0.2%

 

PCR検査を精力的に実施している国ほど分母が大きくなるために致死率が低くなるといえるでしょう。

そのように考えると、感染者がきわめて少ない日本は、PCR検査の実施件数自体が制限されているためである可能性もあるという見方もできるのではないでしょうか。

 

最終的なアウトカムを死亡者数とするならば、ドイツの致死率は極めて低いことが注目されます。ドイツの実際の致死率も理論上0.2%を上回ることはないことになります。ただし検査をするほど致死率は減少することになります。

 

ところで私は、平均寿命が近接している先進国間においては、実際の致死率はほぼ同程度ではないかと考えています。これを仮に前提として考えるならば、とりあえず致死率は最大でも0.2(ドイツ統計データ)~0.7%(イタリア推計データ)と仮定することができるでしょう。

 

そうすると、日本の実際の感染者数は、24人の死亡者を元に逆算すると

ドイツ統計データからは24×100/0.2=12,000人、

イタリア推計データからは4×100/0.7=3,429人

 

そこで、最少に見積もっても日本ではすでに12,000人以上の人が感染している可能性があるのではないかと推定することができます。
 

 

実際に、感染していても発症しないでいるケースも多数報告されているだけでなく、症状が出現しても一定の基準に達していない人は検査を受けることができないため、この推論には一定の根拠があると思います。当面の間、日本での死亡者が一人増えるたびに、感染者の推定人数を最低でも500人増の修正を加えるくらいが妥当であるかもしれません。