漢方治療に関しては一般社団法人 日本東洋医学会 一般の方へ

のHPを検索してみました。

ここには<漢方ストーリー>という読み物がりますので、お読みになってください。

ただし、具体的なQ&Aは掲載されていません。

 

そのため、以下のQ&Aを採り上げ、解説を加えてきました。

慶應義塾大学医学部漢方医学センターの漢方Q&A

 

富山県立中央病院 内科和漢・リウマチ科-Q&A

 

 

今回からは、三和生薬株式会社のHP「よくあるご質問」をご紹介いたします。

 

高円寺南診療所の立場から、<高円寺南診療所からのメッセージ>を加えます。

 

Q

漢方薬と西洋薬を一緒に飲んでも大丈夫ですか?

 

A

一般的には漢方薬と西洋薬を併用しても問題ないと考えられています。

 

しかし、病院で処方されている薬がある場合、ご自身で購入された漢方薬を併用することで予期せぬことがおこる場合もありますので、必ず主治医の先生にご相談の上、了解を得たうえで服用してください。

 

 

<高円寺南診療所からのメッセージ>

回答には問題があります。漢方の生薬のなかには、西洋薬との併用で注意を要するものがあることは、明確にしておかなければなりません。

 

なぜなら、単独でも副作用が生じることがある生薬は、併用する西洋薬によっては、その副作用の発現を強化してしまう可能性が検証されているからです。特に注意を要する生薬(主成分)は4つあります。

 

それは麻黄(エフェドリン)、大黄(センノシド)、附子(アコニチン)、甘草(グリチルリチン)です。これらについて生薬の副作用と、これとの併用に注意を要する西洋薬を挙げてみます。

 

 

○麻黄(エフェドリン)の副作用は、不眠、興奮、動悸、血圧上昇、発汗過多、胃腸障害、尿閉(前立腺肥大の人は特に注意)です。エフェドリンとはアドレナリン(エピネフリン)のことなので、交感神経を緊張(興奮)させることによって生じる作用です。

 

注意を要する併用薬:エフェドリン類・カテコラミン含有製剤、選択的モノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬、甲状腺薬、キサンチン系薬剤

 

特に注意すべき疾患:気管支喘息、甲状腺機能亢進症、心不全、高血圧症、パーキンソン病など

 

 

高円寺南診療所では気管支喘息に対して麻黄を含む漢方製剤を用いることは多いです。しかし、気管支喘息の治療薬としてはβ₂刺激薬の他、キサンチン系薬剤を用いることがありますが、控えめな量から用いています。逆にいえば、麻黄剤を適量用いれば、これらの西洋薬を用いずに済むか、あるいは併用しても少量で効果を引き出すことができます。代表的な漢方製剤は19小青竜湯(しょうせいりゅうとう)です。これは、朝食の前後のみ、1日1回服薬していただくようにしています。とくに朝が苦手な方には強力な味方になることが多いです。

 

 

○大黄(センノシド)の副作用は、下痢、腹痛、骨盤内うっ血です。

 

便秘に対する下剤として処方されるので、西洋薬の下剤を併用するに際しては、これらの副作用の出現に注意しなければなりません410附子理中湯(ぶしりちゅうとう)を除いて、下剤として用いられる漢方製剤には126麻子仁丸(ましにんがん)、84大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)にはそれぞれ4.0g、33大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)や61桃核承気湯(とうかくじょうきとう)にはそれぞれ3.0g、51潤腸湯(じゅんちょうとう)や134桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう)にはそれぞれ2.0gが含まれています。高円寺南診療所では、便秘の治療は漢方単独で済ませることが多いので西洋薬との併用はほとんどありません。しかも、1日1回夕食前もしくは眠前の内服として処方することを原則としているので、上記の大黄の量も三分の一になります。

 

 

○附子(アコニチン)の副作用は、嘔気、呼吸促迫、舌のしびれ、唾液分泌亢進、<重症例>四肢失調、呼吸障害、不整脈、痙攣などで死亡に至ることもあります。副交感神経亢進症状が以上に強くなりショックや中毒を来すことがあります。

 

原料は猛毒のトリカブトです。附子単剤として01ブシ末が漢方処方の調剤として用いられるほか、鎮痛、強心、利尿目的で錠剤で単独に用いられることがあります。漢方製剤に含まれる附子末の量は1.0g以下です。

 

1.0gの附子末を配合している漢方製剤は、05芍薬甘草附子湯(しゃくやくかんぞうぶしとう)29当帰芍薬散加附子(とうきしゃくやくさんかぶし)107牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)127麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)410附子理中湯(ぶしりちゅうとう)、0.5gのものは7八味地黄丸(はちみじおうがん)18桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)30真武湯(しんぶとう)などです。

 

高円寺南診療所では、浮腫みがあって冷えや痛みによる交感神経亢進症状が強いケースにしばしば用いて良好な成績を収めています。投与時間帯はケースバイケースですが、1日1回投与を原則としています。

 

 

○甘草(グリチルリチン)の副作用は、偽アルドステロン症(浮腫、高血圧、低カリウム血症)、重症例では横紋筋融解症があります。西洋薬の併用以前に多くの漢方薬が甘草を含んでいるため、漢方薬の併用にも注意を要します。西洋薬では、グリチルリチン製剤、カリウム排泄性の利尿薬(ループ系、サイアザイド系)などとの併用は注意することになっています。高血圧や心不全・肝不全などの治療に際しては特に注意を要します。

ここで掲載する内容は、一般社団法人日本アレルギー学会の

 

ホームページ<一般の皆さま>から引用したものです。

 

 

最後に高円寺南診療所からのメッセージを加えています。

 

花粉症④

Q

最近話題になっている舌下免疫療法とはどんな治療ですか。

 

A 

アレルゲン免疫療法はアレルゲンを少量ずつ増量しながら投与し、アレルギー反応をおこしにくくする治療法です。

 

ハウスダスト(ダニ)や花粉などのアレルギーを対象に、海外では100年以上の長い歴史があります。これまでは皮下注射でアレルゲンを投与していたため、痛みがあったり、稀ですがショック反応を起こす危険性がありました。

 

一方、舌下免疫療法は舌下にアレルゲンを数分間ためてから飲み込む方法で、自宅で投与でき安全性が高いことが特徴です。

 

わが国ではスギ花粉症の舌下免疫療法薬が2014年10月から登録医療機関で処方可能になりました。これまで薬物療法しか行ってこなかった患者さんにも受け入れやすくなり、有力な選択肢が増えたと言えるでしょう。

 

 

 

【高円寺南診療所からのメッセージ】

 高円寺南診療所ではアレルゲン免疫療法として舌下免疫療法を採用しています。アレルゲン免疫療法を採用している第1の理由は唯一のスギ花粉症根治療法だからです。そして、もっぱら舌下免疫療法のみを用いている理由は高い安全性です。

 

皮下注射法はアナフィラキシー・ショックなど生命に直接かかわるリスクが高いため、外来診療のみで入院体制のない医療機関での実施は控えるべきだと考えています。また、治療の都度、受診をしていただかなくてはなりませんが、これを長期間続けることができる患者さんは極めて限られているのが現状です。

 

根治療法は<根気療法>だと思います。何でも便利になって、情報も入手し易い便利な時代です。ですから、根気の乏しい方が増えてきているように思われます。そうしたタイプの皆様へのメッセージは、自覚症状などの表面的な症状が改善しても病気がジワジワと進行していく病気がたくさんあるということです。アレルギーも例外ではありません。

 

治ったかどうかの判断は、素人である患者さんの自覚症状だけでは不十分なので、主治医と相談して正しい認識のもとに養生を続けてくださいますように。

ここで掲載する内容は、公益財団法人 骨粗鬆症財団のホームページから引用したものです。骨粗鬆症についてわかりやすい解説をしています。HPで確認することができます

 

骨粗鬆症は、長年の生活習慣などにより骨がスカスカになって骨折しやすくなる病気です。最初は、自覚症状はありませんが、ひどくなると骨折を起こし、寝たきりの原因となる場合もあります。多くは腰や背中に痛みが生じて医師の診察を受けてからみつかります。しかし、骨粗鬆症になってから治すのはたいへんです。骨粗鬆症にならないように、日ごろから予防を心がけることが大切です。

 

骨粗鬆症を予防することが、ほとんどの生活習慣病を予防することにつながります。そのために、高円寺南診療所では女性では、45歳以上、男性でも50歳以上の皆様に骨量計測を推奨し、骨年齢を算出し、骨粗鬆症の早期発見、早期対応に力を注いでいます。それでは、骨粗鬆症についてもっと詳しく勉強していきましょう。

 

それぞれのQ&Aのあとに【高円寺南診療所からのコメント】を加えました。

 

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Q1 

カルシウムの所要量の違いについて教えてください

 

2005年4月から、これまでの栄養所要量にかわって「食事摂取基準」が用いられるようになりました。

 

食事摂取基準の指標について

 

推定平均必要量: 50%の人が必要量を満たすと推定される1日あたりの摂取量。

 

推奨量:ほとんど(97~98%)の人が必要量を満たすと推定される1日あたりの摂取量。

 

目安量:推定平均必要量・推奨量を算定するのに十分な科学的根拠が得られない場合に設定される、良好な栄養状態を維持するのに十分な量。

 

目標量:生活習慣病の一次予防のために、日本人が当面の目標として摂取すべき摂取量(または、その範囲)。

 

上限量:ほとんどすべての人々が、過剰摂取による健康障害を起こすことのない最大限の量。

 

<カルシウムの食事摂取基準(mg/日)>

図1

1付加量は設けないが、目安量を目指して接することが勧められる。

2妊娠中毒症等の胎盤機能低下がある場合は積極的なカルシウム摂取が必要である。

3上限量は十分な研究報告がないため、17歳以下では定めない。しかし、これは、多量摂取を勧めるものでも、多量摂取の安全性を保障 するものでもない。

4目安量と現在の摂取量の中央値とが接近しているため、目安量を採用した。

5前後の年齢階級の値を考慮して、値の平滑化を行った。

 

 

【高円寺南診療所からのコメント】

日本人の食事摂取基準(2015年版)では、国民栄養調査の摂取量、腸管からの吸収率、骨代謝(骨吸収と骨形成のバランス)、尿中排泄を考慮し、1日の推奨量を18~29歳男性で800mg、30~49歳男性で650mg、50歳以上の男性で700mg、18歳以上の女性で650mgとしています。

 

また、カルシウムの過剰摂取により、高カルシウム血症など健康被害がみられることから、耐容上限量は、18歳以上男女ともに1日2,500mgと設定されています

 

平成27年国民健康・栄養調査におけるカルシウムの一般食品からの1日の摂取量は517.3mgでした。年代別では、平均のカルシウムの摂取量は40~49歳で456mg、50~59歳で496mg、60~69歳で560mg、70歳以上で567mgと推奨量や目安量や目標量などの指標に比べてカルシウムの摂取量は不足しています。

 

また、食品群別でみると乳類からの摂取が最も多く、次いで野菜、豆類、穀類、魚介類の順に多く摂取していました。

 

カルシウムは牛乳・乳製品、小魚、海藻、豆類、野菜などに多く含まれます。効率的にカルシウムを摂取するのには牛乳や乳製品が最適です。植物性食品は、牛乳や乳製品に比べ、カルシウムの吸収率はよくありません。

 

植物性食品にはカルシウムの吸収を阻害するシュウ酸(ほうれん草に多い)、フィチン酸(豆、穀類に多い)などが含まれているからです。また、リンや食物繊維もカルシウムの吸収を阻害します。一方、吸収を促進させるものに、ビタミンD、クエン酸、CPP(カゼイン・ホスホ・ペプチド)という牛乳中のたんぱく質などが知られています。

 

牛乳・乳製品を中心に、小魚、海藻、豆類、野菜などの食品からバランスよくとりましょう。

 

脂質異常症などで脂質のとりすぎが気になる場合は低脂肪乳を利用したり、牛乳が苦手な場合は、チーズやヨーグルトでとったり、料理に加えたりして工夫することもお勧めです。

 

 

 

高円寺南診療所「最新の臨床医学」2019の週間プログラムです。

 

月曜日:内科Ⅰ(消化器・肝臓)

火曜日:内科Ⅱ(循環器・腎臓・老年医学)

水曜日:内科Ⅲ(糖尿病・内分泌・血液・神経)

木曜日:リウマチ科(リウマチ内科、整形外科領域)

金曜日:アレルギー科・呼吸器・感染症(呼吸器・感染症・アレルギー・膠原病;眼科・耳鼻咽喉科・皮膚科領域のアレルギー)

土曜日:心療内科(ストレス病・心身症、心身医学療法)

日曜日:東洋医学科(漢方・鍼灸)

 

なお「最新の臨床医学」2019は元旦(火曜日)から掲載を開始しました。

心療内科についてのQ&Aをご紹介いたします。

それは日本心療内科学会のHPです

 

 心療内科Q&Aのコラムを読むことができます。

 

Q&Aは、想定した事例です。Q&Aや疾患についてのご質問、病院の紹介等は、受け付けておりませんのでご了承下さい。※「質問」をクリックするとが表示されます。

 

高円寺南診療所に通院中の皆様が、一般論であるこのQ&Aを読んでいただくためには、実際に即した具体的な解説が必要だと考えました。そこで、「質問」「答え」の後に、<高円寺南診療所の見解>でコメントを加えることにしました。

 

 

「質問20」

30歳代の女性です。

 

幼い時からひどい頭痛がよく起きます。

原因はストレスではないかと思い、ストレス発散をしようと思っても、上手くできません。

 

夜眠れないことや胸が痛くなることもあります。

何とかしたいと思っているのですが・・・。

 

「答え」  

幼少時からの頭痛ということで、最近急に現れたものではなさそうですので、脳や頭の中に何らかの明らかな原因がある訳ではない「一次性頭痛」の可能性が高いと思われますが、一度、近くの内科や神経内科、脳外科で、検査の必要性を判断してもらうことをお勧めします。

 

その上で、「一次性頭痛」の可能性が高いということでしたら、一次性頭痛の代表的なものである「緊張型頭痛」か「片頭痛」か、どちらであるかの見極めが重要となります。

 

片頭痛は、片側だけの痛みのことが多く、痛みの性状は「ズキンズキン」という表現を用いられることが多く、吐き気や嘔吐を伴うこともあります。

 

また、普段気にならない音がうるさく感じたり、普段よりも眩しく感じたりすることや、日常生活動作で痛みが強くなることもあります。

 

さらに、頭痛の前に、チカチカと光るフラッシュのようなものが見える場合もあります。これらの一次性頭痛は、ストレスによって誘発されることがあることも知られていて、代表的な「心身症」(ストレスに影響を受ける身体疾患の総称)の一つです。

 

ストレスに関しては、ご自身で対処できない場合、心身症の専門家である心療内科を受診し、相談されることをお勧めします。

 

(吉内一浩)

 

 

<高円寺南診療所の見解>

率直なところ優秀な吉内先生の回答としてはいささか残念な内容です。相談者からの具体的な情報について、もう少し吟味を加えていただく必要があるのではないかと思います。

 

相談者は<胸が痛くなる>こともあると訴えています。また、個々の患者さん自身が<原因はストレスではないか>と思っていたとしても、心療内科専門医は、それを鵜呑みにせず身体を見る内科医としての自覚と責任をもって吟味を加える姿勢を忘れてはならないと考えます。

 

 

参考までに、日本心臓財団のHPからの引用をいたします。

 

公益財団法人 日本心臓財団

 

40歳、女性:胸痛

胸痛の発作が年数回あり、1回30分程度続きます。

 

右のこめかみに独特の頭痛を感じたとたん、一瞬で喉からみぞおちにかけて胸全体がつったように痛みます。ニトロールを服用すると5?10分で収まります。

 

現在、頭痛外来で片頭痛の予防薬(ゴシュユトウ)を処方してもらい、経過観察中です。

 

また、血圧を下げるため、ノルバスクも服用していますが、狭心症の薬でもあるので、服用を続けるようにいわれています。

 

循環器の医師より、片頭痛の薬が影響して血管を痙攣させている可能性があるため、当分の間、服薬をやめて様子をみてほしいといわれました。

 

片頭痛の薬の服薬をやめても大丈夫でしょうか。

 

<答え> 

偏頭痛は、脳血管が攣縮し、ついで拡張するときに起こるといわれます。このような人では冠動脈が攣縮しやすく狭心症が起こることもあるといわれています。

偏頭痛の薬は攣縮後の血管拡張を抑えるために、攣縮性狭心症にはよい影響がなく、担当医が服薬を中止するように指示したのはこのためでしょう。偏頭痛にも、狭心症にも、よい効果があるといえるものには、現在も服用中のノルバスクのようなカルシウム拮抗薬や交感神経ベータ遮断薬などがあります。

 

 

私がここで指摘しておきたいのは、相談者には生命の予後に係る狭心症の可能性があるのではないか、と疑ってみることが心療内科を含む一般内科医にとっては必要なステップではないか、ということです。

 

たしかに、片頭痛(心臓財団では偏頭痛と記載していますが同じです)と攣縮性狭心症とが併発しやすいことを知っている内科医は限られているとは思われます。しかし、患者さんが訴える複数の症状のうち生命の危険に直接かかわる徴候については、精神科医であっても無関心であってはならないことなので、ましてや少なくとも一般内科医であることを支柱とすべき心療内科医にとってはなおさら注意を喚起しておく必要があるように思われます。

 

このQ&Aを他山の石とせず、日々、自己吟味と反省を繰り返しながら2019年を迎えたいと思います。

 

 

高円寺南診療所「最新の臨床医学」2019の週間プログラムの予告です。

 

月曜日:内科Ⅰ(消化器・肝臓)

 

火曜日:内科Ⅱ(循環器・腎臓・老年医学)

 

水曜日:内科Ⅲ(糖尿病・内分泌・血液・神経)

 

木曜日:リウマチ科(リウマチ内科、整形外科領域)

 

金曜日:アレルギー科・呼吸器・感染症(呼吸器・感染症・アレルギー・膠原病;眼科・耳鼻咽喉科・皮膚科領域のアレルギー)

 

土曜日:心療内科(ストレス病・心身症、心身医学療法)

 

日曜日:東洋医学科(漢方・鍼灸)

 

 

なお「最新の臨床医学」2019は元旦(火曜日)から掲載を開始します。

漢方治療に関しては一般社団法人 日本東洋医学会 一般の方へ

のHPを検索してみました。

 

ここには<漢方ストーリー>という読み物がりますので、お読みになってください。

 

ただし、具体的なQ&Aは掲載されていません。

 

そのため、以下のQ&Aを採り上げ、解説を加えてきました。

慶應義塾大学医学部漢方医学センターの漢方Q&A

 

富山県立中央病院 内科和漢・リウマチ科-Q&A

 

今回からは、三和生薬株式会社のHP「よくあるご質問」をご紹介いたします。

 

 

高円寺南診療所の立場から、<高円寺南診療所からのメッセージ>を加えてきました。

 

Q

漢方薬にも副作用はあるのですか?

 

A

西洋薬と比べれば、とても少ないですが副作用はあります。むくみ、胃もたれ、軽い発疹のような場合が多いですが、食物アレルギーがあるように、天然物だから安全とも限らないからです。いつもと違う異常を感じたら服用を中止し、すぐに医師またはお買い求めの薬局・薬店にご相談ください。

 

 

<高円寺南診療所からのメッセージ>

新しい漢方薬を処方された場合は、通常2週間以内に再診し、好ましくない症状が現れていないことを確認することが大切です。3週間あるいはそれ以上の長期処方を希望される方でも、新しい薬を始める時には慎重であってほしものです。

 

 

① 西洋薬と比べれば、とても少ないですが副作用はあります。

 

特に注意しているのは、間質性肺炎です。間質性肺炎の頻度は低いものの死亡例も報告されています。高円寺南診療所では、関節リウマチの専門診療を行っているので主薬のメトトレキサートを処方しますが、この薬も間質性肺炎のリスクがあり常に監視しています。

 

動脈血中酸素分圧濃度(SpO₂)の測定を日常的に行っているのは、早期発見のためです。平成元年開院以来、すでに3件経験しましたが、服薬中止にて速やかに改善しました。

 

 

② むくみ、胃もたれ、軽い発疹のような場合が多いです。

 

次に、注意を要するのは偽アルドステロン症です。浮腫(むくみ)、高血圧、低カリウム血症などを呈するこの病態の原因になっているのは甘草です。甘草は漢方薬の7割に含まれている生薬成分であるため、特に、他の医療機関からも漢方薬を処方されていないかどうかを再確認してください。

 

甘草の主成分はグリチルリチンという配糖体成分であり、その吸収は腸内細菌に負うところが大きいため、個人差が大きいことがしられています。そこで、高円寺南診療所では、やむを得ず重複して継続処方する際には合計2.5g以上にならないようにしています。 漢方薬製剤の中には一日3回服用すると甘草の量が3g以上になるものがあります。

 

 

リストを作成します。高円寺南診療所での処方頻度が高い漢方製剤は下線を施しました。

 

いずれも1日1回1包の時間帯処方で、安全に効果を挙げています。

 

 

8.0g:

401甘草湯

 

6.0g:

68芍薬甘草湯(1日1包眠前のみ、こむらがえり、に)

 

5.0g:

05芍薬甘草附子湯(1日1包眠前のみ、慢性疼痛、に)

 

3.0g:

19小青竜湯(一日1包朝食前のみ服用、花粉症、喘息に)

35黄芩湯、56五淋散、炙甘草湯、77芎帰膠艾湯、

82桂枝人参湯(一日1包、拍動性頭痛、胃もたれ、に)

120黄連湯

 

 

③食物アレルギーがあるように、天然物だから安全とも限らないからです。

 

食物アレルギーに似た病態として乳糖不耐症があります。

 

乳蛋白成分による牛乳アレルギーとは区別しますが、牛乳を飲むとお腹がごろごろするような方は、乳糖分解酵素であるラクターゼの活性が低い可能性があります。こうした方の初診時には、乳糖でコーティングしているツムラの漢方製剤は処方しません。実際に問題になることはほとんどありませんが、初回は用心に越したことはありません。

 

 

④ いつもと違う異常を感じたら服用を中止してください。

 

発熱、咳嗽、呼吸困難を来した場合には直ちに連絡し、内服を中止してください。

ここで掲載する内容は、一般社団法人日本アレルギー学会のホームページ<一般の皆さま>から引用したものです。

 

 

最後に高円寺南診療所からのメッセージを加えています。

 

 

花粉症③

Q 

花粉症の治療にはどんな薬物が用いられるのですか。

 

A 

花粉症の治療には様々な特徴をもった薬剤が使われます。もっとも広く用いられているのは抗ヒスタミン薬というものです。

 

内服が多いですが鼻への噴霧薬としても使われます。くしゃみや鼻水に有効でかつ即効性があります。ただ、鼻づまりに対しては効果が落ちます。

 

抗ロイコトリエン薬、抗トロンボキサン・プロスタンジン薬は特に鼻づまりに対して高い効果がありますが、効果が十分にみられるまで時間がかかります。ヒスタミンやロイコトリエンなどを化学伝達物質と呼びますが、これらの放出を防ぐ化学伝達物質遊離抑制薬、あるいはTh2阻害薬と呼ばれる薬は鼻づまりにも効果がみられますが、やはり効果の発現に少し時間がかかりますので、これらの薬は症状が強く発現してから単独で使用してもすぐに改善効果は得られません。

 

鼻噴霧用のステロイド薬は効果が強く、くしゃみ、鼻水、鼻づまりのどの症状にも効果が見られます、1~2日で効果が出現し、スギ花粉症の症状がある程度強い方には不可欠で、多くの場合他の薬と組み合わせて処方されます。

 

漢方薬は一般的には効果はマイルドでその発現にも時間がかかりますが、高い効果がみられる方もいらっしゃいます。

 

これらの薬はいずれも副作用を生じる可能性があり、合併する疾患によっては投与が出来ないもの、あるいは他の薬との飲み合わせに注意が必要なものがあり、医師、薬剤師との相談が必要です。

 

また一般的ではないのですが、花粉飛散ピーク時に症状が非常に強い方には短期間ステロイドの内服薬の投与、鼻噴霧用の血管収縮薬の投与が行なわれることもあります。ただ、これらは長期投与すると副作用の発現がみられ注意が必要です。

 

 

花粉症の治療薬

 

抗ヒスタミン薬

即効性がある(特にくしゃみ、鼻汁)

鼻閉に効きにくい

眠気や口渇を伴うものがある

 

 

化学伝達物質遊離抑制薬、Th2サイトカイン阻害薬

効果発現に時間がかかる(数日~2週間)

鼻閉にもやや効果

眠気や口渇はない

 

 

抗ロイコトリエン薬、抗トロンボキサン薬

特に鼻閉に効果が高い

効果発現に時間がかかる(数日~4週間)

 

 

点鼻ステロイド薬

強力で鼻閉、くしゃみ、鼻汁に有効

刺激になることがある

 

 

漢方薬

効果はマイルドで発現に数日は必要

著効を示す患者がいる

 

 

 

【高円寺南診療所からのメッセージ】

花粉症の治療では、漢方薬は欠かせません。

 

漢方薬のコメントで「効果はマイルドで発現に数日は必要」とコメントされていますが、効果発現に数日を要するような漢方薬ばかりでなく、速効性のある漢方薬もあります。

 

「著効を示す患者がいる」とのコメントもありますが、この解説文の執筆者は花粉症の治療の経験が豊富なアレルギー専門医であるとしても、漢方治療についてはあまり熱心ではないか、あるいは経験が浅い方のように拝察いたします。

               

速効性を期待して処方する漢方薬の両横綱が、19番小青竜湯と28番越婢加朮湯です。

 

花粉症の症状の中でもアレルギー性鼻炎としての3大症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりです。臨床上は、くしゃみ・鼻汁型と鼻閉型に分類しますが、もちろん、両者の合併例もふつうにみられます。

 

そして前者には19番小青竜湯、後者には28番越婢加朮湯が著効することが多いです。

 

しかも、一日一包ずつで良く効いてくれることが多いです。そのためには、処方上の工夫と内服上の注意が必要です。

 

 

19番小青竜湯のエキス製剤は、起床後朝食前の空腹時に湯に溶かしてからゆっくり内服すると、目覚めが良く、頭も目も鼻もスッキリしてく通勤・通学中のくしゃみや鼻水も減るので重宝します。

 

また、28番越婢加朮湯は就寝前に同様に内服します。鼻粘膜の浮腫みが改善して口呼吸が改善され、望ましい鼻呼吸に戻るので熟睡しやすくなります。

               

花粉症の初期であれば以上の漢方薬で十分です。ただし、激しい鼻汁やくしゃみがある場合では、夕食後に抗ヒスタミン薬を追加します。

 

この場合でも、漢方薬をベースとして使用していると抗ヒスタミンは再少量でも有効性を発揮してくれることが多いです。

               

また、すでに慢性的な鼻閉を伴うものでは、抗ロイコトリエン薬に加えて、点鼻ステロイド薬を処方します。これも漢方薬をベースとして処方すると鼻閉の効果発現までの時間は短縮されます。

 

 

なお解説では、<花粉飛散ピーク時に症状が非常に強い方には短期間ステロイドの内服薬の投与、鼻噴霧用の血管収縮薬の投与>について注意を促していますが、とても大切な指摘だと思います。

 

とくに、市販の鼻噴霧剤は速効性がありますが、効果が一過性なので習慣性になりがちです。そして常用者になると主成分の血管収縮薬によって、点鼻性鼻炎や慢性副鼻腔炎を併発してしまうリスクが高まり、実際に、そうしたケースが散見されるので注意してください。

ここで掲載する内容は、公益財団法人 骨粗鬆症財団のホームページから引用したものです。骨粗鬆症についてわかりやすい解説をしています。

 

骨粗鬆症は、長年の生活習慣などにより骨がスカスカになって骨折しやすくなる病気です。最初は、自覚症状はありませんが、ひどくなると骨折を起こし、寝たきりの原因となる場合もあります。

 

多くは腰や背中に痛みが生じて医師の診察を受けてからみつかります。しかし、骨粗鬆症になってから治すのはたいへんです。骨粗鬆症にならないように、日ごろから予防を心がけることが大切です。

 

骨粗鬆症を予防することが、ほとんどの生活習慣病を予防することにつながります。そのために、高円寺南診療所では女性では、45歳以上、男性でも50歳以上の皆様に骨量計測を推奨し、骨年齢を算出し、骨粗鬆症の早期発見、早期対応に力を注いでいます。それでは、骨粗鬆症についてもっと詳しく勉強していきましょう。

 

それぞれのQ&Aのあとに【高円寺南診療所からのコメント】を加えました。

 

 

Q

「電気で血液がさらさらになる椅子」が骨粗鬆症の原因に? 健康診断で「骨粗鬆症」と診断されました。

 

昨年から利用している“血液がさらさらになる電気を流す”という椅子が原因でしょうか。

 

A

身体に害がない程度の電流であれば、骨には何の影響もありません。

 

50代の男性で骨粗鬆症がある場合、原因は男性ホルモンの不足が考えられますが、通常はもっと若い頃から骨粗鬆症の兆候があるはずです。

 

そのほかに、ステロイド剤を長期間のんでいたり、胃や腸の手術をして、栄養の吸収率が悪くなっているなどの原因がない場合、本当に骨粗鬆症かどうか確かめる必要があります。

 

デキサ(DXA、二重エネルギーエックス線吸収法)で腰椎の骨密度を測ってもらってください。

 

 

【高円寺南診療所からのコメント】

「電気で血液がさらさらになる椅子」が骨粗鬆症の原因になる可能性はあります。ただし、それは直接的な原因ではなく、あくまでも間接的な原因という意味です。

 

原因はすべて直接的なものであることを前提に、医師は話をすることがありますが、患者さんは必ずしもそうではなく、間接的な影響や誘因、増悪因子などを含めて漠然と<原因>という言葉を使用していることがあるという認識を臨床医は持っている必要があると思います。

  

質問者は、「骨粗鬆症」と診断された方とのことです。

 

その他に、“血液がさらさらになる電気を流す”という椅子を昨年から利用されているようです。質問者の疑問に応える前に、臨床医として大切なことは、質問者の質問の意図と背景を考えてみるという手続きを省略しないことだと思います。

 

まず、この方はなぜ、“血液がさらさらになる電気を流す”という椅子を利用するようになったのでしょうか。

 

このような質疑応答では明らかではありませんが、日常診療であれば、必ず問い返して、経緯をうかがうように心がけたいものです。

 

経験的に推測されることは、この様な相談をされる方は“血液がさらさらでない”と思われる何らかの背景があるのでは、ということです。

 

多くの場合は、自覚症状の有無にかかわらず、健康診断等で、血清脂質(LDLコレステロール、中性脂肪など)の数値が高かったり、糖尿病あるいはその予備軍であることを指摘されたりされているようです。

 

また血圧が徐々に高くなってきたり、動脈硬化を指摘されたりしている可能性も推測できます。さらに、歩行速度や歩行継続時間が短くなったり、動悸や息切れなどの初期の心不全症状がみられたり、めまいや一過性の意識消失発作を自覚されているような方もしばしば見受けられます。

 

そして、もしこのような背景を持つ方が、“血液がさらさら”にしたいということで、そのような電気を流す椅子を購入して日常的に愛用し始めることによってどのような行動の変化がもたらされるかを想像してみてください。

 

このような健康器具に魅力を感じる方の特徴は、「運動嫌い」です。毎日の運動量の目安として、歩行量の計測と記録が有用ですが、健康のためということで毎日、熱心に電気椅子に腰かけ暮らしている方の運動量はおかがでしょうか。電気椅子を購入する以前の運動量より増えていることを期待できるでしょうか。

 

質問者は、<昨年から利用している“血液がさらさらになる電気を流す”という椅子が原因でしょうか。>とお尋ねになっているのですから、その質問の意図をもう少し吟味して回答することが親切というものではないでしょうか。

 

つまり、質問者は、必ずしも電気椅子が骨粗鬆症の直接の原因と考えているわけではなく、電気椅子を利用するようになってから、余り運動をしなくなっていることを自覚されている可能性もあります。

 

公益財団法人 骨粗鬆症財団のホームページの質疑応答での質問者は、骨粗鬆症との関連を切り口として健康管理全般についてのアドバイスを求めている可能性があります。

 

回答者は医師の立場から、こうした点についても配慮して回答する必要があるのではないかと思います。そうでなければ、質問者のニーズに答えたことにはならないからです。

 

こうしたチグハグなコミュニケーションは、なにもQ&A欄のみではありません。残念ながら、過度に専門分化してしまった現代の外来診療にも広くはびこっているのが現実です。

心療内科についてのQ&Aをご紹介いたします。

それは日本心療内科学会のHPです

 

心療内科Q&Aのコラムを読むことができます。

 

Q&Aは、想定した事例です。Q&Aや疾患についてのご質問、病院の紹介等は、受け付けておりませんのでご了承下さい。※「質問」をクリックするとが表示されます。

 

 

高円寺南診療所に通院中の皆様が、一般論であるこのQ&Aを読んでいただくためには、実際に即した具体的な解説が必要だと考えました。そこで、「質問」「答え」の後に、<高円寺南診療所の見解>でコメントを加えることにしました。

 

 

「質問19」40歳代の男性です。

身長165㎝体重85㎏と肥満しているせいだと思いますが、日中身体が重だるく、仕事の能率が上がりません。

 

眠気に襲われることもよくあり、困っています。

 

夜は「いびきをかいてよく寝ているわよ!」と家族には言われるのですが…。

 

 

「答え」

体格(肥満度)の指標として、Body mass index(BMI)が用いられることが多く、体重(kg)を身長(m)の2乗で除して計算されます。

 

標準は22とされ、日本人の場合、25以上を肥満と定義されています。

 

身長165cmで体重85kgの場合には、BMIが31.2と肥満の状態にあります。

 

肥満の場合に、よく合併する疾患として「睡眠時無呼吸症候群」があります。

 

これは、主に、睡眠中に気道(口から肺への空気の通り道)がふさがってしまうために、呼吸が止まってしまうことが一晩に何回も生じるため、日中に眠気に襲われてしまう病気です。

 

成人では、高血圧、脳卒中、心筋梗塞につながる危険性が指摘されていて、適切な治療が必要です。

 

まずは、睡眠時無呼吸症候群であるかどうかの検査が必要ですので、お近くの内科や睡眠専門の医療機関を受診されることをお勧めします。

 

(吉内一浩)

 

 

<高円寺南診療所の見解>

こうした症例は、高円寺南診療所でも確実に増えてきました。肥満(症)と睡眠時無呼吸症候群とは密接なかかわりがあることは確かです。しかし、このQ&Aがなぜ、日本心療内科学会のHPに掲載されているのかについては、少しわかりにくいのではないかと思われます。

 

眠時無呼吸症候群とは、簡単にいうと睡眠中に通常10秒間以上持続する換気停止(無呼吸)のエピソードが反復してみられる症候群です。

 

 

さて、その前に、肥満(症)について解説します。肥満は「身体に脂肪が過剰に蓄積した状態」であり、過体重と区別する必要があります。つまり、身長と体重だけで肥満の判定はできません。このケースの場合も例外ではありません。

 

したがって、<身長165cmで体重85kgの場合には、体格指数(BMI)が31.2と肥満の状態にあります。>というのは厳密に言えば誤りです。ただし、一般的には臨床的有用性から、WHOの基準では30以上、日本では25以上を肥満と判定します。

 

この症例は、WHO、日本、いずれの基準でも肥満になります。日本の基準では第Ⅱ度の肥満と判定されます。

 

肥満には病態が不明な単純性肥満と肥満になる基礎病態が明白な症候性肥満とがあり、大部分は前者です。

 

この質問のケースでは、肥満Ⅱ度の他に、日中の眠気・仕事の効率低下(集中力・判断力の低下?)、身体の重だるさ、夜間のいびきが報告されています。これらは確かに、睡眠時無呼吸症候群の症状に一致します。

 

軽症では無自覚に過ごしていることもある反面、重症になると、このケースのように全身倦怠、知的能力低下が生じ、さらには、頭重、抑うつ気分、性格変化が見られるようになります。

 

したがって、この症例が睡眠時無呼吸症候群であるとしたら、すでに軽症ではなく中等症から重症へと移行するステージに至っている可能性があります。このように、睡眠時無呼吸症候群では、中等症あたりからさらに重症化すると、気分や性格あるいは行動の異常が出現し易くなるので、心身医学的なアプローチが求められることになります。

 

この睡眠時無呼吸症候群が長期にわたると、肺胞性高血圧、肺胞低換気、ウ診不全、多血症などをきたします。治療としては病因、病態、重症度に応じてアセタゾラミドなどによる薬物療法やC-PAP療法などがありますが、いずれも対症療法に過ぎません。

 

肥満を伴う睡眠時無呼吸症候群の場合、患者さんだけでなく医師でさえも、呼吸管理のみに注意が向いてしまって、体重コントロールなどの重要な基本的健康管理が二の次になってしまうことが少なくありません。

 

高円寺南診療所では、このようなケースでは、原則として覚醒および起床時間、毎日の運動量(歩数計の歩数)と定時の体重計測の記録を必須として、場合によっては食事に内容なども適宜記録していただいております。これは、セルフモニタリングの技法を用いた行動療法です。

 

つまり、心療内科では、内科的な管理に加えて、行動療法あるいは認知行動療法など、その基本となる治療技法を駆使することができます。それによって、肥満を伴う睡眠時無呼吸症候群は、病態に基づいたより根本的な治療を行うことができるといえるでしょう。

漢方治療に関しては一般社団法人 日本東洋医学会 一般の方へのHPを検索してみました。

 

ここには<漢方ストーリー>という読み物がりますので、お読みになってください。

 

ただし、具体的なQ&Aは掲載されていません。

 

そのため、以下のQ&Aを採り上げ、解説を加えてきました。

 

慶應義塾大学医学部漢方医学センターの漢方Q&A

 

富山県立中央病院 内科和漢・リウマチ科-Q&A

 

今回からは、三和生薬株式会社のHP「よくあるご質問」をご紹介いたします。

 

 

高円寺南診療所の立場から、

<高円寺南診療所からのメッセージ>を加えてきました。

 

 

Q

漢方薬はどれくらいで効果が現れるのですか?

長く飲まないと効きませんか?

 

A

例えば風邪のような急性疾患では「証(しょう)」(Q1を参照)が合えば服用後数十分で効果が出ます。

 

慢性疾患の場合は、一般に有害作用の有無は2週間以内にチェックし、効果判定は1ヶ月程度を目安にします。全く変化がなければこの時点で再度処方を検討します。

 

いずれにしても、継続か変更かの判断は薬局・薬店に相談することをお奨めします。

 

 

<高円寺南診療所からのメッセージ>

漢方薬は証の合う病人に適切に用いれば症状を頓挫させることも可能です。たとえば、激しい咳に効く甘草湯、喉の痛みに効く桔梗湯、くしゃみ・鼻水の特効薬の小青竜湯、喘息発作に効く麻杏甘石湯、こむら返りに効く芍薬甘草湯などがあります。

 

また、1日単位で効果が現れる漢方薬も多数あります。なぜなら、そもそも漢方薬は急性期の病気に対して一日以内で効き始める処方を基礎にしているからです。

 

西洋医学でも、病気は臨床経過から、大別して急性疾患(急病)と慢性疾患(慢病)とに分類することがあります。その中間として亜急性というのがありますが、亜急性を冠しての病名は亜急性甲状腺炎くらいです。これはウイルス感染によるものです。因みに急性(化膿性)甲状腺炎は細菌感染、慢性甲状腺炎は自己免疫疾患であるなど、原因も治療法も全く異なります。

 

漢方では急病のうち発熱を伴う感染症(傷寒)、慢病の多くは雑病、などの呼称があります。3世紀の初めに、長沙(湖南省)の太守であった張仲景が記したとされる「傷寒雑病論」は、現在では2部に分かれ、傷寒(急性熱性病)については「傷寒論」、雑病(慢性病)については「金匱要略」として伝わっています。

 

「傷寒論」では、傷寒の病態を三陰三陽(六病位)と呼ばれる6つのステージに分け、それぞれの病期の病態と、適応処方を記しています。

 

「金匱要略」では、循環器障害、呼吸器障害、泌尿器障害、消化器障害、皮膚科疾患、婦人科疾患から精神疾患までの慢性病の治法を論じています。

 

急病と慢病が同時に存在する場合、漢方では、まず急病の治療を先行して、その後に慢病の治療をはじめるのが原則とされています。

 

高円寺南診療所では、急病については、通常3日以内に何らかの改善させることを目標に処方を決定しています。同じく急病でもこじれてしまった状態で来院された方の場合は長引くことがありますが、それでも1週間をめどにして処方します。長くても2週間程度で症状が緩和することを期待しますが、効果が乏しい場合には、処方内容を再検討します。

 

ですから、高円寺南診療所では、治療効果判定に1ヶ月程度をも要することは比較的少ないです。

 

なお、現在、中医学では「傷寒論」の六病論を経絡と結びつけ、六経説として捉えているようです。 これは急病に対する治療法を慢病に応用していることの表れだと考えます。

ここで掲載する内容は、一般社団法人日本アレルギー学会の

ホームページ<一般の皆さま>から引用したものです。

 

最後に高円寺南診療所からのメッセージを加えています。

 

Q

花粉症の治療にはどんなものがありますか。

 

A 

花粉症は、原因となる花粉が鼻に侵入してこなければ症状は起きませんから、治療の第1歩は原因花粉と接触しないことです。

 

そのためには、花粉飛散情報を利用して外出や窓の開閉の工夫をして花粉曝露を避ける、マスクや眼鏡を利用して侵入する花粉の量を減少させる、職場、学校、自宅の中に花粉を持ち込まない、などの対策が重要です。

 

しかし、完全に花粉曝露をシャットアウトするのは困難です。たとえマスクをしても呼吸や会話に伴ってマスクの隅から花粉は侵入してきます。その他、もっとも広く行なわれているのは薬物療法です。いろいろな特徴をもった薬剤がありますので症状に合わせて使うことで高い効果がみられますが、

 

ただあくまで症状を抑えるもので、根本治療にはなりません。現在唯一根本治療の可能性を持つのは特異的免疫治療(減感作療法)と呼ばれるものです。さらに、薬物などの治療に改善がみられない方には手術治療も検討されます。

 

治療に当たっては当然ですが、ご自分の症状や困っていることを正確に伝え的確な治療、アドバイスを受けるためにも医師とのコミュニケーションを十分に取ることが大切です。

 

 

【高円寺南診療所からのメッセージ】

たしかに、完全に花粉曝露をシャットアウトするのはほぼ不可能です。個人的な努力によって、ある程度までの対応は可能ですが、極論すれば、国家的あるいは国際的レベルでの環境改善などの抜本的な対策が必要です。

 

花粉症対策を現実的に考えるならば、薬物療法を活用することになります。花粉症に対して現在唯一根本治療の可能性を持つのは、特異的免疫治療(減感作療法)です。最近では、アレルゲン免疫療法と呼ばれることが一般的です。

 

このアレルゲン免疫療法とは、アレルギー疾患の病因アレルゲン、つまりアレルギーを引き起こす原因物質を投与していくことにより、アレルゲンに暴露された場合に引き起こされる関連症状を緩和する治療法です。

 

これには大きく分けて、皮下免疫療法(SCIT)と舌下免疫療法(SLIT)があります。高円寺南診療所で採用しているのは、アナフィラキシーショックが生じるリスクが低く、より安全な舌下免疫療法(SLIT)です。

 

ただし、すべての花粉症患者さんが舌下免疫療法の対象となるわけではありません。現在までのところ、花粉症としてはスギ花粉症のみに限定されています。

 

さらにすべての医療機関で実施できる治療法ではありません。施行医は、アレルギー領域の専門的知識と経験を十分に持った医師であることが要求されているからです。

 

高円寺南診療所所属の医師はアレルギー専門医資格を持っていますが、それだけでは認められないため、専用の講習会を受講し、試験をパスして処方医としての認定を受けることができたため、すでに実施しております.

 

スギ花粉以外の花粉症は、薬物療法が中心です。これについては、次回解説します。